デマこい!

「デマこいてんじゃねえ!」というブログの移転先です。管理人Rootportのらくがき帳。

感想

APEX Legendsが神ゲーすぎる件(その②)

www.youtube.com 現在、社会現象に近いレベルで流行っている『APEX Legends』。 このゲームを2300時間ほど遊んだ感想記事の第2回です。 前回の記事では、かつてのFPSは実力差が出やすく、初心者に優しくないジャンルだったという話を書きました。運の要素が…

APEX Legendsが神ゲーすぎる件(その①)

www.youtube.com 先日、学生時代の友人から連絡がありました。 「お前、APEX Legendsやってるの?」 当時の彼は、テニスサークル所属の典型的な〝チャラ男〟であり、ゲームを――それも、シリアスな対人FPSを――プレイするような人ではありませんでした。 「今…

なぜシェアリングエコノミーは理想を実現できなかったのか

幸せな未来は「ゲーム」が創る 作者:ジェイン・マクゴニガル 早川書房 Amazon ゲーミフィケーション ―<ゲーム>がビジネスを変える 作者:井上 明人 NHK出版 Amazon 10年ほど前、「ゲーミフィケーション」という言葉が大流行しました。現実世界は「クソゲー」…

『ショーシャンクの空に』と人間の尊厳

ショーシャンクの空に(字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 「歴史上、最高傑作の映画を1つ選ぶとしたら?」 映画が好きだと自己紹介すると、そんな質問を返されることがあります。 これに対する映画オタクの平均的な回答は: 「えーっと、3つ…

『スパイダーマン』は〝人生の岐路〟の映画である

スパイダーマン (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 『スパイダーマン(2002年)』を再見しました。高校生以来です。 マーベルのヒーロー映画としては、もはや〝古典〟の1つに数えてもいいでしょう。ネタバレ全開で感想を書いていきます。ビタ…

映画『ジョーカー』を観る高校生が羨ましい。

映画「ジョーカー (原題)」US版予告 「暴力は正義感の欠如ではなく、むしろその過剰によって起きる」 これは進化心理学者スティーブン・ピンカーが『暴力の人類史』のなかで述べていることだ[1]。世の中の暴力事件の大半で、犯人は最初から「悪いことをやっ…

フミコフミオさんやっぱりすげえやって話

正直なところ、ちょっと困っている。 途方に暮れていると言ってもいい。 フミコフミオさんの新著『ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない』の話である。 ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない。ただ、今の職場にずっと……と考えると胃に穴があき…

アニメ『宝石の国』のちょっとキモい感想

小学五年生のころ、『新世紀エヴァンゲリオン』がクラスで流行った。少なくとも第11使徒イロゥルと戦うあたりまでは、単純にロボットアニメとしてドキドキワクワクできる作品だった。私の教室では男子よりも、少しマセた女子のほうが『エヴァ』にハマってい…

いつか、ニコニコ動画がキズナアイに殺される日。

つい先日、バーチャルYouTuberキズナアイの登録者数が100万人を超えた。 彼女は『ときめきメモリアル』の藤崎詩織や、初音ミク、あるいはちゆ12歳の系譜に連なるバーチャルアイドルの1人だ。特筆すべきは、海外での人気が先行したことだろう。動画のコメン…

映画『メッセージ』の感想

映画『メッセージ』本予告編 ようやく映画『メッセージ』を観ました。すげー面白かったし俺は楽しめたけど、「いったい誰に向けて作った映画なんだ?」感は否めない。これ、ガチガチなSFファーストコンタクトものを期待した人も、お涙ちょうだいなヒューマン…

大人なら知っておきたい「世界史」を映画で学ぶ

// 学校の歴史の授業がつまらないのは、2つの理由がある。 第一に、事実の羅列に終始しがちなこと。その時代を生きた人々のドラマを感じることはできないし、「人間社会はどのような仕組みで動くのか」という体系的なメカニズムを学ぶこともできない。 第二…

『ファインディング・ニモ』でお話作りを学ぶ

// 『ファインディング・ニモ』は、脚本の教科書に必ず登場する映画の1つだ。安心・安定のディズニー&ピクサー映画。現代的な「お話作り」の基本がすべて詰め込まれているような作品だ。映画としても文句なしで面白いので、お話を書くことが好きな人は観て…

ニッチを束ねて市場を作れ/Amazonに勝つ方法

今さらながらクリス・アンダーソン『ロングテール』を読んだ。正直なところ、あまり目新しさは感じなかった。内容が陳腐だからではない、本書の予言がほぼ的中したからだ。小売業界にとってAmazonの登場がいかに革新的だったか。そして、業界をどのように変…

ハリウッドのアクション映画と脚本革命

私は映画の感想を書き溜める習慣がある。 その中から、今回は5本の映画の感想をブログに転載したい。 『北北西に進路を取れ』 『リーサル・ウェポン』 『ビバリーヒルズ・コップ』 『クリムゾンタイド』 『ボーン・スプレマシー』 以上の5本だ。 北北西に進…

『アナと雪の女王』と『ベイマックス』と神話

先日、『アナ雪』を観た。 びっくりするほど面白かった。 白状すれば、あまり期待していなかったのだ。というのも、飲み友達の野郎どもがディスりまくっていたからだ。本当、いい意味で裏切られた。まあ、あの男どもが『アナ雪』をディスりつつ『ベイマック…

映画『エリン・ブロコビッチ』が面白かったので感想書く

// 『エリン・ブロコヴィッチ』を観た。 もしもあなたがこの映画について何も知らないなら、おめでとう! 今すぐブラウザを閉じてTSUTAYAへダッシュだ! あらすじも調べなくていいからとにかく黙って観ろ級の傑作。130分の上映時間があっという間だった。 エ…

中国が世界制覇できなかった理由を「Civilization」から考える

// ニコニコ動画に投稿されている「17,000ヘクスの地球の歴史」というシリーズがとても面白い。 『Civilization』シリーズは、天才的ゲームデザイナーのシド・マイヤーが生み出した戦略シミュレーションゲームだ。プレイヤーは様々な文明の指導者となって、…

なぜ宗教で殺し合うのか/映画『アレクサンドリア』感想

2009年のスペイン映画『アレクサンドリア』を観た。ローマ帝国の衰退期に活躍した女性天文学者ヒュパティアの物語。地動説を研究していた彼女は、最終的にキリスト教徒によって処刑されてしまう。古代ギリシャに端を発する優れた知識・哲学の数々が、キリス…

見なきゃ損!クルマ映画の金字塔『ワイルドスピード』

先日、ひさしぶりに『ワイルドスピード』の第1作を見た。正直、目を疑うほど驚いた。ハリウッドのお約束からすれば、わりと滅茶苦茶な脚本だ。なのに、しっかり面白い。初めて見た高校生のころは分からなかったけれど、この映画の脚本は研究する価値がありそ…

あの人がいつも間違ったことを言う理由。/ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』感想

まずは簡単な算数の問題を1つ。 チョコレートとガムは合わせて110円です。 チョコレートはガムよりも100円高いです。 ガムの値段はいくらでしょう? どうだろう、すぐに正解が分かっただろうか? 行動経済学者ダニエル・カーネマンは、これとよく似た問題を…

2015年に観たアニメ個人的まとめ

ヒトの脳は時間を正しく認識できない。 印象深いできごとはつい最近起きたように感じるし、新しい情報にたくさん触れると時間の流れを遅く感じる。初めて歩く道は実際よりも遠く感じ、子供のころは1日が長い。時間の認識がこれほどいいかげんなのだから、気…

『オーバーロード』と『レイアース』とRPG

洗濯が終わるまでヒマなので、『オーバーロード』と『魔法騎士レイアース』とJRPGの話をしよう。 ■脳筋ヒロイン 最近、基礎教養だと思ってアニメ『魔法騎士レイアース』を見ている。第7話まで消化したけど、さすがに面白い。これをリアルタイムに見ていたら…

東京ゲームショウはインディーゲームで遊べ!

東京ゲームショウ2015に行ってきた。 子供のころに比べて、ゲームは「遠い世界」になってしまったような気がする。 かつては、おもちゃ屋の片隅に試遊機が置かれて、近所の小学生が列をなして遊んでいた。ゲームショウではすぐ隣に開発者が紛れ込んでいて、…

最強の「プロの犯行」/塚本晋也監督『野火』感想

ニコニコ動画の黎明期には「プロの犯行」というタグが流行った。 第一線で働いている(であろう)プロのクリエイターが、ニコニコ動画に高品質な作品を投稿していた。「野生のプロ」「振り込めない詐欺」……当時のニコ動には、混沌とした熱気が満ちていたよう…

面白いシナリオって何だろう?

恥ずかしながら未見だった『パルプ・フィクション』を見た。 なんか、今、色々と考えてしまった。 やっぱりデヴィッド・フィンチャーはすごいんだなーとか、そういうこと。 なんていうか、『ファイトクラブ』って最近流行りの脚本の方向性を決めた作品のよう…

自分の小ささを知る小説/『縮みゆく男』リチャード・マシスン著

リチャード・マシスン『縮みゆく男』を読んだ。スゴ本2014年ベストにも名を連ねていた作品だ。まったく、とんでもない小説を読んでしまった……。 『縮みゆく男』の主人公は、ある日を境に1週間できっちり1インチずつ身長が縮んでいくようになる。職場で大人と…

2014年に観たアニメ個人的まとめ

アニメと現実世界の壁が崩れようとしている。 私の妄想の話ではない。聖地巡礼が当たり前になり、政府が「クールジャパン」を掲げる時代だ。アニメは市民権を得つつある。 技術革新によりプレスコ作品をかんたんに制作できるようになり、さらに『みならいデ…

そうだ、SFってこういうものだった。/『インターステラー』感想

// 忘れかけていた「あの気持ち」を思い出させてくれる映画だった。 『インターステラー』はあまり難しく考えずに、童心に帰って観ることができる映画だ。クリストファー・ノーラン監督の作品にしては珍しい。エンディング・クレジットが終わり、劇場が明る…

『中二病でも恋がしたい』とは何だったのか

『中二病でも恋がしたい』はハーレムラノベものではない。 たとえば今期のアニメなら『六畳間の侵略者!?』等と比較すれば明らかだ。ヒロイン全員が主人公に対してラブ光線を出すのではなく、あくまでも主人公カップルとそれを見守る友人たちという構図にな…

夏だ!ホラーだ!スティーヴン・キングを読もう!

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 夏といえば怖い話だ。そして、怖い話といえばスティーヴン・キングである。 1974年に『キャリー』でベストセラー作家の仲間入りを果たしたキングは、今なおヒットメーカーの座を守り続けている。日本の…