デマこい!

「デマこいてんじゃねえ!」というブログの移転先です。管理人Rootportのらくがき帳。

MTG Arenaの俺のデッキを見てくれ!

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■俺のデッキを見てくれ!

 というわけで前回の記事では、ヒストリック環境のメタゲームを考察しました。

 この環境でオリジナルデッキを握るなら、あの記事に挙げた約20種類のデッキに勝てる必要があります。少なくとも遭遇率の上位のデッキには、勝率5割超を目指したいところです。

①最速4キルの墓地から始動可能なコンボ
②それを上回る速さで横展開するアグロ
③墓地絡みでアドを取るミッドレンジ
④ラスゴを連打するコントロール
⑤ナーセットによるドローロック

 ヒストリックの仮想敵を要約すると、上記の通り。

 この環境で戦うために、私は『UB Witch-Go』というデッキを組みました。

 

■UB Witch-Go

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 まず戦績から言うと、2021年4月27日から調整を始めて、3日間でダイヤ3まで到達しました。ランク戦で安定して勝率5割超を出せるポテンシャルはあると自負しています。私自身はちょっと本業のほうが忙しくなってしまったので、この続きの調整を読者のみなさんにバトンタッチするために今回の記事をしたためた次第です。

 このデッキは「《セッジムーアの魔女》を使いたい」というコンセプト〝のみ〟で組まれています。まずは、キーカードである《魔女》がどんなカードなのかを考察し、参考にした過去のデッキを紹介しましょう。続いて、各カードの選定理由や他の採用候補について考察を進めていきます。

 

▼魔女はヤンパイなのかメンターなのか?

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《セッジムーアの魔女》は3マナ3/2「威迫/Menace」付きのクリーチャーです。インスタントやソーサリーを使ったときに、1/1のトークンを生み出すという《若き紅蓮術師》や《僧院の導師》に似た能力を持っています。さらに《魔女》だけが持っている除去耐性として「護法/Ward-3点のライフを支払う」という能力を持っています。彼女が対戦相手のコントロールする呪文や能力の対象となったときに、その対戦相手が3点のライフを支払わなければそれを打ち消すという能力です。

「使ってみたい!」と感じるカードと出会った時、私は過去の似たカードや、それを使ったデッキを検索します。たとえば《若き紅蓮術師》なら、モダンで一世を風靡した『マルドゥ・パイロマンサー』で使われていました。また《僧院の導師》であれば、現在はヴィンテージの『メンター』デッキが主戦場です。しかし過去には、スタンダード、モダン、レガシーのそれぞれで『エスパー・メンター』と呼ばれるデッキのキーカードになりました。

 では《セッジムーアの魔女》は、《紅蓮術師》と《導師》のどちらに近いカードなのでしょうか? 違いはどこにあるのか?

 まず能力の誘発条件を確認すると、《魔女》と《紅蓮術師》は「インスタントまたはソーサリー」であるのに対し、《導師》は「ノンクリーチャースペル」です。したがって、アーティファクトやプレインズウォーカーを唱えた場合にもトークンを出せる点が《導師》の強みだと分かります。各種《Mox》や《Black Lotus》を唱えた場合にもトークンが出るわけで、ヴィンテージで使われている理由です。なお、《魔女》だけの特長として、呪文を唱えたときだけでなくコピーした際にもトークンが出ます。たとえば(ヒストリックではイリーガルですが)《狼狽の嵐》で相手の呪文を弾いた場合にも大量のトークンが出る。

 続いて、出てくるトークンの質を確認しましょう。

《紅蓮術師》の場合、出てくるトークンはバニラの1/1です。一応、エレメンタルという部族シナジーの恩恵を受けやすいクリーチャータイプを持っています。が、部族デッキは一般的に生物たっぷりのビートダウンとして組まれるのに対し、《紅蓮術師》を有効活用するには生物の数を極力減らす必要があります。そのため、部族シナジーを活かすのはちょっと難しい。

《導師》の場合、出てくるトークンには「果敢/Prowess」と書かれています。何枚かの呪文を唱えただけでも10点以上のクロックに膨らみ、あっという間にゲームを終わらせる打点になります。白という防御的な色でありながら、かなり攻撃的なカードです。

 これらに比べると《魔女》から出てくるトークンは「邪魔者/Pest」です。ストリクスヘイブン以前には数えるほどしか印刷されていないクリーチャータイプであり、部族シナジーを得るのは困難です。また、死亡時には1点ライフを回復すると書かれています。《紅蓮術師》でも《導師》でも、出てくるトークンでチャンプブロックし続けて時間を稼ぐという展開はよく見かけるでしょう。そういう展開になった際に、ライフを温存できる点が《魔女》の特長です。

 本人たちの基本スタッツを比較すると、一番貧弱なのは《紅蓮術師》です。タフネス1点と2点は大きな違いであり、ヒストリック環境では《波乱の悪魔》や《棘平原の危険》で落とされるかどうかを左右します。《導師》は基本的には2/2のクマにすぎませんが、スペルの数次第で、4/4や5/5というスタッツまで成長可能です。一方、《魔女》には「果敢」がありませんが、最初からパワー3を持っています。ヒストリック環境でいえば《探索する獣》や《鉄葉のチャンピオン》をチャンプブロックできるサイズです。

 他の2体にはない《魔女》だけの特長は「威迫」の存在です。

 たとえば相手の場に8/8くらいの《豆の木の巨人》が1体だけ居座っている状況を想像してください。こういう状況のときに、こちらは《選択》を1枚でも引けば一方的に殴ることができます。こちらはスペルにより生成されるトークンで巨人をチャンプブロックできるのに対し、相手は「威迫」を止められないからです。

 実際に使ってみると、《魔女》は想像よりも「ライフを削る性能が高い」と感じます。上記のとおり「威迫」を持っていることも一因ですが、「護法」も良い仕事をします。たとえば場に出して、トークンを1体も出さずに除去されてしまったとしましょう。あまり望ましい展開ではありませんが、それでも、この場合の《魔女》は「相手の手札1枚とマナを使わせて3点のライフを奪う3マナのソーサリー」のような存在になったと見做せます。ジェネリック《荒廃稲妻》みたいなカードになるわけです。

 相手の目線では、《魔女》は決して放置できるクリーチャーではなく、ピン除去を使わざるをえません。もしもそれをカウンターできれば、相手のライフ損失は6点、9点と増えていきます。

 たしかに《魔女》から出てくるトークンには「果敢」と書かれていません。それでも、たとえば毎ターン2体ずつトークンを生成したとして、クロックは3点→5点→7点と増えていきます。あっという間に「人を殺せるクロック」になるわけです。1/1のトークンだろうと、たくさん並べば強い。《紅蓮術師》を愛用していたプレイヤーならご存じの通りです。

 最後に、マナコスト。MtGのカードではもっとも重要な数値です。

《紅蓮術師》は2マナなのに対して、《魔女》は3マナです。彼女を採用した時点で、相棒に《ルールス》を指定することはできなくなります。これは明白なデメリットでしょう。また、《立身+出世》で釣り上げることもできません。『ラクドスアルカニスト』のようなデッキで《魔女》を使う際には工夫が必要になるでしょう。

 さらに青を足したデッキで打ち消しを構えるシーンを想像すると、2マナの《紅蓮術師》であれば4枚の土地が並べば安心して召喚できます。一方、《魔女》は5枚の土地が並ばないとカウンターを構えながら出すことが難しい。現在のハードカウンターが基本的に3マナであることを考えると、土地を6枚まで伸ばさなければならない場合もあるでしょう。「それってもう《魔女》を出すより青ギアハルクを出したほうが強くない?」という疑問が脳裏をよぎります。

 なお、マナコスト3点にはメリットもあります。ヒストリック環境では、これが除去耐性として機能するのです。この環境の基本のピン除去は《致命的な一押し》と《血の長の渇き》であり、3マナ以上の生物はこれらを強く使わせません。ついでに《軍団の最期》も弾けます。

 

 決め手となったのは、やはりマナコストでした。また、思ったよりもライフを詰める性能が高いことも決め手でした。この2つの理由から、私は《魔女》を、《紅蓮術師》よりは《導師》に近いカードだと判断しました。

 

 

エスパーメンターはどんなデッキだったか

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 ヒストリック環境には《Black Lotus》は存在しないので(当たり前)、ヴィンテージのような『メンター』は組めません。参考にするべきは過去の『エスパーメンター』だと判断しました。

《僧院の導師》にはない《セッジムーアの魔女》の特長として、黒であることも挙げられるでしょう。雑な言い方をすれば、エスパーメンターは「黒の手札破壊と除去」「青のドローサポート」「白い《導師》」で構成されたデッキです。これを青黒の2色にまとめられるのは、《魔女》の強みだと言えるでしょう。多色土地の限られているヒストリック環境なら、なおさらです。

 上記スタンダード版エスパーメンターは、メインでは打ち消しをほとんど採用していません。おそらく《導師》の高い打点を活かす攻撃的なデッキとして構築されているのだと思われます。メインで採用されている打ち消しは《オジュタイの命令》と《シルムガルの命令》の2枚。一応、《勇敢な姿勢》の破壊不能付与により、クロックパーミッションのような動きができます。が、このこと自体が「《導師》の打点を活かす」というデッキコンセプトを感じさせます。

《導師》の打点を活かすには「果敢」を誘発させる必要があり、自分のターンで呪文を使ったほうがいいということになります。手札破壊やボードコントロール呪文――。第1メインフェイズのソーサリータイミングで唱えても充分に強い呪文ばかりが選択されているのは、そのためでしょう。

 

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 モダン版のエスパーメンターでは、4枚の打ち消し呪文を積んでいるリストを発見しました。《呪文嵌め》と《差し戻し》が2枚ずつです。ハードカウンターが積まれていない点を見ると、やはりこちらも、じっくり構えるタイプのデッキには見えません。モダンであれば《マナ漏出》が使えるはずですが、1マナで唱えられる《呪文嵌め》と、手札の減らない《差し戻し》が優先されている点は注目に値します。

 また、このレシピでは《思考掃き》で墓地を肥やすという当時流行っていたメカニズムが採用されています。墓地を第二の手札として使い、《瞬唱の魔道士》でアドバンテージを稼いだり、《黄金牙、タシグル》を高速で召喚したりするわけです。《未練ある魂》が4枚積まれているのも、《思考掃き》を積んでいる影響でしょう。もちろん《思考掃き》がなくても、フラッシュバック呪文が《僧院の導師》と相性バツグンなのは言うまでもありません。

 

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 レガシー版のエスパーメンターでは、ハードカウンターを2種5枚採用したリストを見つけました。《否定の力》と《意志の力》です。さすがは「Willを持っていないほうが悪い」と言われる環境のデッキです。この他のスペルの内訳を見ると、手札破壊4枚、ピン除去は6枚、ドロー操作は11枚、PWが3枚。注目すべきは2枚の《発掘》でしょうか。生物のどれを釣っても強い。

 また、《導師》から出てくるトークンには「人間」と書かれていません。そのため《導師》の隣にトークンが1枚でも出ていると、《心を一つに》を1マナで使えます。このレシピの場合は《悪意の大梟》というノンヒューマンと、《瞬唱の魔道士》というヒューマンとでカウントを水増しできることもポイントでしょう。《心を一つに》を唱えやすい構成になっています。

 現状の『Witch-Go』は、このレガシー版エスパーメンターに近い構成のデッキになりました。

 

 

▼Witch-Goのリストと各カード選定理由

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▽土地17枚

 4枚――――島

 2枚――――沼

 1枚――――ロークスワイン城

 4枚――――清水の小道 // 泥水の小道

 2枚――――水没した地下墓所

 4枚――――湿った墓

▽クリーチャー13枚

 4枚――――ひきつり目

 3枚――――ボーラスの占い師

 2枚――――厚かましい借り手

 3枚――――セッジムーアの魔女

 1枚――――スカラベの神

▽呪文30枚

 4枚――――選択

 1枚――――呪文貫き

 4枚――――血の長の渇き

 1枚――――塵へのしがみつき

 4枚――――思考囲い

 4枚――――大慌ての棚卸し

 1枚――――任務説明

 4枚――――襲来の予測

 2枚――――魔女の復讐

 2枚――――ジュワー島の撹乱 // ジュワー島の遺跡

 1枚――――ハグラの噛み殺し // ハグラの群れ穴

 2枚――――アガディームの覚醒 // 地下遺跡、アガディーム

 

▼サイドボード7枚(BO1用)

 1枚――――環境科学

 1枚――――壊死放出法

 1枚――――墨獣召喚学

 2枚――――害獣召喚学

 1枚――――殲滅学入門

 1枚――――マスコット展示会

 

 このデッキの基本的な回し方は、速めのコントロールもしくは遅めのクロックパーミッションといった感じです。打ち消しを構えながら更地に《魔女》が着地したら、後はだいたい何をされても勝てます。そういう状況を作るためのカードと、それらを探すための大量のドローサポートで構成されたデッキです。

 この記事ではカードを以下の5つのジャンルに分けて、それぞれの採用理由を解説していきます。

①ドロースペル

②手札破壊

③クリーチャー除去

④打ち消し呪文

⑤クリーチャー

 では、順番に見ていきましょう。

 

 

①ドロースペル

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 今回参考にしたレガシー版エスパーメンターには、じつに11枚ものドロースペルが搭載されていました。実際、ヤンパイ系のカードはドロースペルとの相性が最高です。「目の前の状況に対処するためのカード」を探しているだけで、1/1のトークンが生まれてアドバンテージを稼げるからです。

《恋煩いの獣》に殴られている?

 問題ありません。トークンを毎ターン生み出して、延々とチャンプブロックを続けましょう。こちらはドロースペルで手札を整えているだけなのに、お相手のバニラ生物を無力化できます。

《グルールの呪文砕き》が止まらない?

 問題ありません。このデッキならトークンを4体並べることなど朝飯前です。戦闘で相打ちして倒しましょう。こちらは手札を回しているだけなので、実質0対1交換です。《セッジムーアの魔女》なら4点ライフ回復のオマケまでつきます。

 

 現在のリストでは、《選択》4枚、《大慌ての棚卸し》4枚、墓地対策を兼ねた《塵へのしがみつき》1枚を採用しています。

 1マナのドロースペルとして《選択》を4枚採用していることに、議論の余地はないでしょう。ヒストリック環境には《思案》も《定業》も《血清の幻視》も《思考掃き》もありません。

 唯一、《選択》の対立候補となるのは《渦巻く知識》でしょう。実際、私も試してみました。その結論は「ブレストを使うにはフェッチが足りない」でした。ヒストリック環境には《寓話の小道》しかプレイアブルなフェッチランドがなく、ライブラリートップをリフレッシュする手段が足りないのです。《渦巻く知識》を強く使うためには、おそらく10枚くらいは山札をシャッフルする手段が必要です。

 また、《寓話の小道》は序盤に使うと弱いという問題も抱えています。1ターン目に《渦巻く知識》からスタートして一気に手札の質を高める、という動きがしにくいのです。一応、追加の疑似フェッチランドとして《廃墟の地》が存在します。しかし、こちらも土地をズラっと並べるような遅いデッキに適したカードです。

 2種類目のドロースペルとして《大慌ての棚卸し》を選んだのは、ハンドアドバンテージを稼ぎやすいからです。このカードは1枚目が泣いちゃうくらい弱いのですが、2枚目以降で急に強くなるという特徴があります。現在、青の2枚ドローできるスペルの基本は《予言/Divination》であり、3マナのソーサリーです。ところが2枚目以降の《大慌ての棚卸し》は、2マナのインスタントで2ドロー以上を期待できる。

 後述する《ボーラスの占い師》と合わせて、このデッキには大量のドロー操作カードが入っています。これらを駆使すると、簡単に2枚目以降の《大慌ての棚卸し》にたどり着けるわけです。このデッキには《物語への没入》や《執着的探訪》、《村の儀式》のような分かりやすくハンドアドバンテージを稼ぐカードがありませんし、それらを有効活用できるカードもない。比べて《棚卸し》の優れている点は、「ただ4枚投入するだけ」でいいことです。シナジーを考慮してお膳立てしなくても、4枚積みするだけで大量ドローを狙えます。

 なお、《心を一つに》を試していた時期もあるのですが、このデッキでは手札で腐りがちでした。人間のカウントが足りず、1マナで唱えられない場面のほうが多かったのです。もしも《ボーラスの占い師》がマーフォークではなく人間だったら、もっと強く使えたと思います。 

 この他、《大慌ての棚卸し》の対立候補になる2マナのドロースペルには《航路の作成》、《情報収集》、《熟考》、《発見 // 発散》などがあります。《航路の作成》はハンドアドバンテージを稼ぎやすく、また、残りの3種はデッキを3枚まで掘れます。デッキを掘れる深さで比較すれば、2枚目の《大慌ての棚卸し》と同じかそれ以上の性能を持っています。

 とはいえ、インスタントでありハンドアドバンテージも稼げるという点を考えると、やはり《大慌ての棚卸し》に軍配が上がるでしょう。

 この中で私が注目しているのは、ストリクスヘイブンで登場した《情報収集》です。インスタントで唱えることが可能になった《発見 // 発散》の《発見》モードであり、1マナ重くなった代わりに墓地に落とすカードを選べるようになった《思考掃き》のようなカードです。「墓地を第二の手札として使う」という戦略のデッキで使うと強そうですね。

 

 

 

②手札破壊

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  ヒストリック環境における1マナ手札破壊スペルは、《思考囲い》と《コジレックの審問》の2択です。一応、《強迫》や《抜去》も使えるのですが、受けの広さを考えるとわざわざ選択する理由はないと思います。現在のヒストリックは基本的にBO1なので、特定のデッキに強くするよりも、丸い構築のほうが丸い(※同語反復)

 次に考えるべきは、この2種類の手札破壊の枚数です。

 モダン環境のBG系デッキでは、これらを合計6枚ほど入れているリストが珍しくありません。手札破壊で相手を消耗させて《ヴェールのリリアナ》で蓋をする、という動きに必要だからです。また、《信仰なき物あさり》を連打していた初期型のマルドゥ・パイロマンサーでは、これら手札破壊を計7枚も採用しているリストが見受けられました。

 これらモダンデッキの発想に影響されて、私も最初は6枚ほどの手札破壊を採用していました。が、現在では4枚まで枚数を減らしています。結局、このデッキでは《セッジムーアの魔女》を守ることが重要だからです。手札破壊で除去スペルを落とすよりも、《魔女》を出して打ち消しを構えてクロックパーミッションしたほうが強いな? と気づいたわけです。

 ヒストリック環境では《集合した中隊》と《神の怒り》を落とせないと話になりません。そのため《コジレックの審問》よりも《思考囲い》を優先しています。もしも今後、赤単バーンのようなデッキが流行るようなことがあれば、《審問》を優先する機会があるかもしれません。

 

 

③クリーチャー除去

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 現在のリストでは4枚の《血の長の渇き》と、2枚の《魔女の復讐》 が採用されています。この2種に落ち着いた理由も、やはりメタゲームの結果です。高速のビートダウンに対応するためには軽量の除去が必須ですが、反面、《覆いを割く者、ナーセット》を始めとした強力なPWを並べる、ほぼノンクリーチャーで組まれるデッキも存在しています。それら両方に対応しようとすると、《致命的な一押し》では難しい。

《致命的な一押し》には、もう1つ問題があります。ヒストリック環境では、紛争を達成しにくいのです。《渦巻く知識》と同じく「フェッチランドが足りない」という問題を抱えています。

《灯の収穫》は、採用候補として検討に値します。というのも、このデッキの生物はすべて《灯の収穫》と相性がいいからです。《セッジムーアの魔女》から出てくるトークンを生け贄にできることはもちろん、《ひきつり目》も《ボーラスの占い師》も手札を減らさないカード――生け贄に捧げてもカードアドバンテージを失わないカードです。とはいえ、先手1ターン目に《ラノワールのエルフ》を出した相手に対し、返しの後手1ターン目にそれを除去する……という動きは、《灯の収穫》ではできません。

 採用されている生物群との相性を考えると、《無垢の血》も悪くありません。しかし、プレインズウォーカーに触れない点が厳しい。昭和のカードの泣きどころです。また、緑単エルフにせよオルゾフオーラにせよ、布告よけの小粒を並べるという動きをします。布告除去が効きにくい環境なのです。

 私見では、《無垢の血》はプロテクションや呪禁と書かれたごく少数の生物で戦うデッキに強い1枚だと思います。たとえば《夢さらい》をわずか1マナで対処できるなら、《無垢の血》は強い。しかし強く使える状況が限定的すぎるため、メインデッキからの採用は難しいと判断しました。

 

 続いて《魔女の復讐》について。

 この環境には横並べ系のアグロが多いので、中速以上のデッキならば全体除去は必須だと思います。少なくとも、ピン除去ではまったく追いつけない速さで横展開するアグロに対して、何らかの回答を持っておく必要がある。相手がグルールアグロなら、《セッジムーアの魔女》さえ出てしまえばチャンプブロックで何とか対処できます。とはいえ《魔女》を出すまでの時間を稼ぐ必要があり、緑単エルフが相手なら《魔女》を出しても間に合いません。

 このデッキは自分自身もクリーチャーを並べるので、普通の全体除去は使えません。《絶滅の契機》や《煤の儀式》は、このデッキではディスシナジーになってしまいます。

 また、4マナ以上の全体除去では後手番で間に合わないという事情もあります。《集合した中隊》は4マナです。《上流階級のゴブリン、マクサス》が着地するのもおおむね先手4ターン目です。その点、黒茶単デッキは上手く構築されていると感じます。マナファクトで加速することで、これら高速デッキに全体除去が間に合うように調整されているわけですね。《影の評決》は現環境でもっとも強い全体除去の1つですが、5マナという重さが玉に瑕。黒茶単のようなマナ加速のないデッキでは運用しづらいはずです。

 実際に使ってみると、《魔女の復讐》は想像以上に器用なカードです。

 緑単エルフやゴブリン、ディミーアローグによく刺さるのは言うまでもないでしょう。

 たとえばグルールアグロが《炎樹族の使者》から《通電の喧嘩屋》というルートで展開した場合、「人間」指定で流すことができます。《喧嘩屋》の隣に「速攻」モードの《グルールの呪文砕き》がいた場合は、「戦士」指定で流しましょう。《世界を揺るがす者、ニッサ》によって生物化した土地は「エレメンタル」指定で流すことができます。白単天使に対しては「クレリック」指定で配下の人間までまとめて流せるケースがしばしばあります。

 タフネス4のブロッカーを展開されてもご安心を。邪魔者トークンでチャンプアタックしましょう。現環境でこちらの《魔女の復讐》を読むことはほぼ不可能なので、無警戒にブロックしてくれるはず。1点でもダメージが入れば、《復讐》で流せる圏内に入ります。

 この他、「シャーマン」や「ドルイド」「ウィザード」「サメ」などの指定で流す場面もよくあります。《セッジムーアの魔女》が新設されたクリーチャータイプ「邪術師/Warlock」であることが(ごく地味ながら)《魔女の復讐》とシナジーを形成している……と言ったら、言いすぎでしょうか?

 

 

④打ち消し呪文

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 選択肢が一番多く悩ましいのが打ち消し呪文です。ベストな1枚が決まらないからではありません。それが存在しないからです。もしも《対抗呪文》がリーガルなら脳死で4枚入れるのですが、実際にはそうではない。だからこそ、一長一短の呪文のなかでモアベターな選択をする必要があります。

 現状では、1枚の《呪文貫き》 と4枚の《襲来の予測》を採用しています。これに加えて、土地枠として《ジュワー島の撹乱 // ジュワー島の遺跡》が2枚入っています。後者は基本的に土地運用で、打ち消し呪文として当てどころがあればラッキーぐらいの感覚です。

 2マナ以下で唱えられる打ち消し呪文の候補には、《検閲》、《火消し》、《神秘の論争》などがあります。

 まず《火消し》からいえば、賞味期限が驚くほど短い。《マナ漏出》の3マナ要求がいかに強力だったのかを思い知らされます。現在のMtGでは、ゲーム展開を変えるほど強力なカードは3~4マナあたりから増えていきます。土地5~6枚あれば《火消し》をケアできるわけで、これはわりとすぐにたどり着く水準です。一方、《マナ漏出》の3マナ要求をケアするためには7枚ぐらいまで土地を伸ばす必要があり、かなりのロングゲームになることを意味しています。

 そもそもこのデッキでは、相手の致命的なスペルを打ち消すだけでなく、《セッジムーアの魔女》を守る必要もあります。《ショック》や《無情な行動》を打ち消せなければダメなわけです。これら除去スペルはごく軽量なので、《火消し》では役に立ちません。シミックフラッシュのように大量の打ち消し呪文を入れられるスロットはないので、《火消し》は候補から外れていきました。

《検閲》はさらに賞味期限の短いカードです。しかし、中盤以降はサイクリングによってドローに変換できるという強みを持っています。私見ですが、《検閲》は「打ち消しから漏れた危険なカードに対処する別の手段が入っているデッキ」でこそ輝くカードだと感じます。たとえば5テフェや《神の怒り》ですね。この手の盤面をひっくり返せるカードが採用されているのであれば、サイクリングでそれを探すことに意味が生まれます。

 ところが『Witch-Go』には、そういう1枚で戦況を変えるカードが(ほぼ)採用されていません。《魔女》を着地させるまでの延命手段と、《魔女》を着地させてから有利な盤面を固定するカードしか入っていない。構造的に《検閲》をあまり強く使えないデッキだと言えるでしょう。サイクリングした結果が《ひきつり目》ではどうしようもないわけです。また、サイクリングからは《魔女》のトークンが出ないこともマイナス要素です。

 1マナで唱えることができる点で《神秘の論争》は悪くない選択です。青い呪文が相手なら《マナ漏出》を超えるコストパフォーマンスを発揮します。が、この呪文が輝くのは、たとえば《創造の座、オムナス》のような「絶対に打ち消さなければならない青いカード」が環境を支配しているときでしょう。今のヒストリック環境にはそのような支配的アーキタイプが存在せず、《論争》が刺さる相手はディミーアローグぐらいです。そのローグにしても、肝心の《盗賊ギルドの処罰者》を弾けないという弱点を持っています。

 とはいえ、《ナーセット》や《出現の根本原理》など、《論争》を当てたくなるカードも決して少なくありません。環境次第ではメイン採用があり得ますし、BO3のイベントではぜひともサイドボードに取っておきたい1枚だと思います。

 3マナ以上の打ち消し呪文に目を向けると、選択肢が非常に多い。現在の打ち消し呪文の基準値が《取り消し》の3マナで設定されているからです。ここですべてを紹介することはできませんが、《至高の意志》、《悪意ある妨害》、《不許可》あたりは有力な候補として選択肢に入ってくるでしょう。

 大前提として、私は「モードのある呪文は強い」と考えています。その点で《至高の意志》は魅力的です。言語化するのが難しいのですが――昭和のマジックに比べて現在では平均的なカードパワーが向上した結果、60枚のデッキでは枚数が足りないと感じるのです。

 昭和の時代には、クロックパーミッションやミッドレンジ、ランプといった戦略は(ぼんやりとした概念としてしか)存在せず、アーキタイプとして確立されていませんでした。《スラーグ牙》や《エルフの戦練者》のような、1枚のカードで2~3枚ぶんの働きをするカードも、さほど多くありませんでした。現在のマジックは、昔に比べて「対処しなければならない盤面」が多様かつ複雑なのです。

 モードのある呪文は、そういう多様かつ複雑な状況に対処できる点が強い。60枚のデッキを、実質的に61枚以上に水増しすることができます。ミラージュの《魔除け》から、各種《命令》サイクル、《集団的蛮行》、最近のクソデカクリコマまで、モード選択のある呪文はただそれだけで(モードのない呪文よりも)強いと私は考えています。

《悪意ある妨害》と《不許可》は、単純に《取り消し》の上位互換です。

「諜報」によるドロー操作は地味ですが強く、《悪意ある妨害》を使えば手札の質の差で相手をじわじわと追い詰めることができます。また、「諜報」は墓地肥し手段にもなる点が重要です。《瞬唱の魔道士》のような墓地を第二の手札として使う手段があれば、より強く使えます。

 もしも《霊気貯蔵器》のような起動型/誘発型の能力を使うコンボデッキが流行るようであれば、《不許可》を強く使えるでしょう。 純粋な上位互換なので、ただ《取り消し》を入れるよりもお得感があります。

 とはいえ――。

 3マナ以上の打ち消し呪文は、そもそも《セッジムーアの魔女》と併用するには重すぎるという問題を抱えています。前述の通り、打ち消しを構えながら《魔女》を出すために6マナが必要になってしまうわけで、それなら青ギアハルクを叩きつけるほうが強いんじゃないか? と思うわけです。

 以上のような考察の末に、現状では《襲来の予測》を採用するに至りました。

 ハードカウンターでありながら「予顕」しておけば2マナで構えられる――土地が5枚並んだ時点で《セッジムーアの魔女》を出して攻めに転じることができます。また、《思考囲い》のような手札破壊に強い点も、今までの打ち消し呪文にはない特長です。「手札から逃がしておくことができる」という性質は、「青いコントロールデッキは手札破壊に弱い」という古くからの弱点を補ってくれます。

 1枚刺しの《呪文貫き》は、正直なところお洒落ポイントみたいなものです。が、今の環境では頻繁に見かけるカードではないので、ケアされづらいという点が強みです。4ターン目の《集合した中隊》や《神の怒り》をきっちり弾きたいですね。

《呪文貫き》の枠は、青単トラッシュのようなデッキなら《潜水》との選択になるでしょう。しかし、このデッキには《潜水》で守りたい生物が《魔女》しかいません。《ひきつり目》や《ボーラスの占い師》に除去を切ってもらえるなら、ハンドアドバンテージ的にはむしろ得をします。

 


 

⑤クリーチャー

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 調整の初期段階では、このデッキには《セッジムーアの魔女》しかクリーチャーが入っていませんでした。《魔女》以外のカードはできるだけインスタントかソーサリーのみで構築したほうが、《魔女》を強く使えるからです。しかし生物を《魔女》のみにした場合の泣きどころは、彼女を出すまで対戦相手にクロックで圧をかけることも、相手のクロックとライフレースすることもできない点です。「マジックの基本はクリーチャーである」という事実を思い知らされました。
 では、どんな生物であれば《魔女》と共存できるのでしょうか?

「やがて、命に変わるもの」は株式会社ミツカンの企業スローガンですが、このデッキの場合なら「やがて、スペルに変わるもの」が欲しい。《ひきつり目》にせよ《ボーラスの占い師》にせよ、インスタントかソーサリーを手札に引っ張ってくる能力を持っています。《魔女》を使うデッキに入れても、実質的にスペルの枚数を薄めなくて済むのです。

 まず《ボーラスの占い師》から解説すると、「ラヴニカへの回帰」時代には青白フラッシュで使われていました。構築で使われるレベルの強さは持っているカードだと言えます。この辺りは、キブラーバントで《海門の神官》が使われていたことや、最近の青白コントロールで《メレティス誕生》が使われていることを思い起こさせます。MtGはカードアドバンテージのゲームなので、手札を減らさずに展開できる生物はただそれだけで強い。

《ボーラスの占い師》の場合、1/3というスタッツも悪くありません。《ショック》や《砕骨の巨人》の踏みつけモードで落とされず、《死の重み》でも死にません。《ヴィーアシーノの紅蓮術師》のようなカードを使う赤単アグロなら大半の生物を止められます。ちゃっかりパワーが1あるので、遅いデッキに対してはクロックとして機能します。もちろん1体では大したプレッシャーになりませんが、《ひきつり目》と合わせて2~3点のクロックになれば無視できません。だからといって、相手目線で見れば《占い師》に除去は切りたくないはずです。

 MtGで遊んでいると「使ってみたら意外と強かった」というカードにしばしば出会います。《ひきつり目》もそういうカードの1枚でした。死亡時に「履修/Learn」が誘発し、ゲーム外(※アリーナならサイドボード)から「講義/Lesson」と書かれたカードを手札に加えることができます。

 レガシーの《悪意の大梟》やモダンの《氷牙のコアトル》が示す通り、1/1飛行は悪くない性能です。遅いデッキに対しては止めにくいクロックとして機能し、攻撃的なデッキに対しては航空戦力を止められます。もちろん《ひきつり目》に「接死」はないので、必ずチャンプブロックになってしまうのですが――。「ゲーム外からどんなカードを持ってくるか分からない」という履修能力は、ある程度の抑止力になるようです。対戦相手がリスク回避的なプレイヤーだった場合、《ひきつり目》を死亡させることを恐れてアタックをひかえる場合もあります。

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 現在、サイドボードには以上の6種7枚のカードを採用しています。

 この中で使用率がもっとも高いのは《害獣召喚学》で、《ひきつり目》と一緒に使うと、令和の《未練ある魂》 みたいな使用感になります。チャンプブロッカーからチャンプブロッカーを持ってくる動きは時間稼ぎ性能が高い。また遅いデッキに対しては「1点のクロックを破壊したら、ピン除去では対処できない2点のクロックに増えた」という状況が作れます。すでに《セッジムーアの魔女》が着地していれば当然強い。

「履修→講義」のメカニズムを含むデッキを組むときに、真っ先に候補として思い浮かぶのが《壊死放出法》でしょう。実際、強いカードです。《魔女》が出ていれば追加コストには困りませんし、追放除去である点は《クロクサ》等が暴れ回っている環境に適しています。なお、《英雄の破滅》と同じマナコストなので勘違いしやすいのですが、インスタントではなくソーサリーである点に注意を。「講義」カードはすべてソーサリーです。

 土地を極端に絞っているデッキなので、《環境科学》の使用頻度も高めです。緑っぽい効果ですが無色なのが良いですね。《渦巻く知識》を強く使うには山札のシャッフル手段が必要だと書きましたが、《環境科学》はその候補になりえます。このデッキでは、2点のライフゲインに助けられるシーンもしばしばありました。アグロデッキに対して貴重な1ターンを稼ぐことができます。

《マスコット展示会》はこのデッキの必殺技の1つです。そもそもコストパフォーマンスから言って、7マナ9点クロックが弱いわけがなく、そのクロックが3体のクリーチャーに分割されているのも強い。相手がコントロールデッキなら《神の怒り》で対処することを迫りますし、生物の多いデッキが相手でも4/4で地上を止めて2/1飛行で空から殴るという動きができます。
 以上4種類と比べると使用頻度が低めなのが《墨獣召喚学》と《殲滅学入門》の2枚です。《墨獣召喚学》を使うのは、たとえば《セッジムーアの魔女》で地上を止めたけどイマイチ攻め手に欠けてしまい、空から殴りたいときでしょうか。けれど大抵の場合は《マスコット展示会》を引っ張ってくるほうが強いです。また《殲滅学入門》は、相手にどうしようもない置き物を設置されてしまったときの保険として入れてあります。実際、このカードで《厳粛》コンボを突破して勝てたゲームもありました。

 

 話をクリーチャーに戻しましょう。
 このデッキで採用されている生物は残り2種類。《厚かましい借り手》と《スカラベの神》です。どちらも分かりやすい〝最強カード〟をそのまま入れただけですね。BO1では丸い構築が丸い(※同語反復)(※※2回目)

《セッジムーアの魔女》を誘発させるには生物を減らす必要があります。スペルとしても使える「出来事」生物は、《魔女》と共存させやすいジャンルだと言えるでしょう。対立候補は《残忍な騎士》や《願いのフェイ》で、どれが良いかは結論が出せていません。

 このデッキは青黒にもかかわらず、現環境で最強の青黒スペル《湖での水難》を強く使えません。そのため打ち消しと除去にそれぞれ枚数を割く必要があり、「盤面に干渉する力」が弱い――というか、薄まってしまっていると感じます。2マナで唱えられるテンポの良さと置き物にも触れる点を考慮して、《厚かましい借り手》が丸い選択だろうと(現状では)判断しています。「手札に戻してから《思考囲い》で捨てさせる」とか「もう一度唱えたところを打ち消す」みたいな、昭和のMtGから続くバウンスの使い方ができます。

 最後に《スカラベの神》について。

 マナカーブの頂点に重量級のフィニッシャーが欲しいと感じたので、この1枚を選択しました。ヒストリック環境での使用頻度こそ低いカードですが「出して無事にターンが返ってきたら勝ち」なカードであることは今でも変わりません。相手がアグロだろうとコントロールだろうと変わらずに強い。相手の《クロクサ》や《弧光のフェニックス》を追放して墓地対策としても機能してしまうのが胡散臭いですね。場に出てさえしまえばやりたい放題できます。

スカラベの神》が機能し始めると、《ひきつり目》は4/4飛行で死亡時に手札が増えるという生物になります。《ボーラスの占い師》を戻した場合も(高確率で)ハンドアドバンテージを稼げます。何というか、まあ……「強いカードは強い」という小学生みたいな感想しか出てきません。


⑥おまけ:呪文土地

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 このデッキでは《ボーラスの占い師》の当たり確率を高めるために、「土地としても場に出せるスペル」を5枚採用しています。これらの呪文土地のおかげで、実質22枚の土地が入ったデッキでありながら、実際には17枚まで土地を絞ることができました。ここも調整が足りていないと感じている部分です。ベストのバランスが分からない。

 思ったよりも強く使えたのは《アガディームの覚醒》です。X=3で唱えた場合、《ひきつり目》《ボーラスの占い師》《セッジムーアの魔女》のフルセットを釣り上げることができます。とくに《目》と《占い師》は再利用することでアドバンテージを稼げるカードなので、リアニメイト呪文との相性は良好です。原則として、呪文土地カードは表面が弱めに作られています。が、《アガディームの覚醒》は珍しく表面も強いカードだと感じました。

 

 

⑦おまけ:その他ユーティリティカード

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 ここで紹介から漏れているカードが1枚あります。《任務説明》です。

 先に相性から言えば、《セッジムーアの魔女》との相性は良好です。《任務説明》と、墓地から唱えたカードの2回分のトークンを生成できるからです。

 なぜこのカードがデッキに残っているかといえば、最初はモダン版のエスパーメンターを参考にしていたからです。《思考掃き》で墓地を肥やして《瞬唱の魔道士》でアドバンテージを稼ぐデッキですね。《情報収集》で墓地を肥やしてそれを第二の手札として使えたら強そうだと考えたのですが――問題は、ヒストリックに《瞬唱の魔道士》がいないことでした。

 墓地のインスタント&ソーサリーを参照するカードには、《神秘の聖域》や《プテラマンダー》がいます。土地を絞った結果、《聖域》をアンタップインさせるのが困難になってしまいました。また《プテラマンダー》は、たとえば3ターン目に《呪文貫き》を構えながら5/5飛行で出せるなら強いカードだと思います。が、現状ではそこまでの墓地肥しデッキを組むのは困難です。

《大図書館》は、書いてあること自体は強いカードだと思います。問題はやはり能力起動にマナが必要なことで、このカードを含めて3枚の土地をタップする必要がある。3マナ分を使って、なおかつアドバンテージを取れるかどうかは分からないカードです。比べると《Library of Alexandria》は強いカードだったのだな、と思います(当たり前)。

 墓地のインスタント&ソーサリーを参照するカードで、過去に「強いな」と感じたのは《洞察の絆》です。墓地から2枚までのスペルを回収できるこのカードは、墓地肥し性能の高いデッキで使うと「2枚探せる《魔性の教示者》」みたいな使用感になります。手札1枚を消費して2枚を回収するという動きだけでも、アドバンテージの面で優良なカードです。

 やはり問題となるのはマナコストの重さで、4マナのソーサリーを問題なく運用できるデッキでないと、《洞察の絆》を採用するのは難しいと感じます。『Witch-Go』で4マナをタップアウトしてしまうのは、ちょっと怖いですね。

 スタンダード版のエスパーメンターは、打ち消しをほとんど含んでおらず、第1メインフェイズで唱えても充分に強いカードのみで構築されていました。そういうデッキで強く使えるクリーチャーが《永遠神ケフネト》です。《選択》のようなドロースペルがめくれるだけで強いし、《思考囲い》のような手札破壊がめくれると相手の手札をボロボロにできます。

《ケフネト》の問題は2つ。第一に、土地や生物がめくれてしまうと弱いので、《魔女》以上に生物の数を絞る必要があること。《ひきつり目》のような「やがて、スペルに変わるもの」でさえ、《ケフネト》を使うデッキではノイズになります。出来事生物とも相性は悪い。第二に、打ち消し呪文がめくれると弱いので、(青いデッキにもかかわらず)枚数を減らす必要があること。《タッサの介入》のような打ち消し以外のモードを選べるカードか、《ゼロ除算》のような打ち消しのようにも使えるバウンスカードでなければ共存できません。

 じつは最初期のバージョンの『Witch-Go』にはケフネトが採用されていました。が、今のヒストリック環境では打ち消しを多めに入れてクロックパーミッションしたほうが強いと感じたので、抜けていきました。

 

 

■マッチアップ

 最後に主要なデッキとのマッチアップについて書きます。

 まずコンボデッキに対しては、総じて有利です。クロックパーミッションはコンボに強いという定石どおりの戦い方ができます。根本原理リアニなら墓地からコンボ始動できるので、一度打ち消されても次のターンにもう一度チャレンジが可能です。しかし《セッジムーアの魔女》によるクロックの伸び方がバカにならないので、その「次のターン」を渡しません。《思考囲い》では《身震いする発見》のようなルーティングカードを優先的に落としましょう。

 コントロールデッキに対しても、おおむね有利だと感じます。生物がすべて手札を失わないやつらなので、相手の除去スペルを(事実上)死に札にできます。問題があるとすれば、全体除去を連打するタイプの大味なデッキが流行っていることでしょうか。こちらの打ち消しの枚数はさほど多くないので、相手の引いた全体除去の枚数のほうが多くて流されてしまう……というケースにしばしば出くわします。

 全体除去対策として《忍び寄るタール坑》が欲しいと感じるのですが、無いものねだりをしても仕方ありませんね。3ターン目までにUUとBBの両方のダブルシンボルを揃えたいデッキなので、《這い回るやせ地》のような無色マナしか出ないミシュラランドを入れるのは怖い。土地を限界まで絞っているデッキだという点も逆風です。

 アグロに対しては《魔女の復讐》が間に合うかどうかが勝敗を分けます。ヒストリック環境には部族シナジーを活かしたデッキが多いので、《魔女の復讐》が通りさえすれば有利です。とはいえ《集合した中隊》や《マクサス》で捲られる環境でもあります。きちんと三手読み、五手読みをして、丁寧に戦いましょう。

 明白に苦手なアーキタイプは、白単天使です。まずタフネス4点やマナコスト3マナが多く、《復讐》で流しにくいし《血の長の渇き》で潰しにくい。また、こちらは1ターン目からライフを詰めていくデッキではないので、相手のライフが「27点」という基準値を簡単に超えてしまう。さらに《セッジムーアの魔女》からトークンが出るだけで《魂の管理人》にライフゲインされてしまう……という三重苦です。

 救いがあるとすれば、白単天使はさほど支配的なデッキではないという点でしょうか。比較的安く組めて強い(そして回転率のいい)デッキなので、ランク戦での遭遇率は低くありませんが……。私が経験した水準であれば、ランク戦での勝率5割超を維持できると思います。反面、何らかの理由で白単天使がド流行りしたときには、『Witch-Go』を握るのは賢い選択ではないでしょう。

 

 

■最後に《魔女》の可能性について

 冒頭で書いた通り、《魔女》の特長の1つはそれが黒いことです。『Witch-Go』はこの特長を活かして「青黒2色でまとめたエスパーメンター」という方向性で調整しました。白に頼らずに使えるメンターであり、赤を触る必要のないヤンパイです。

 ラクスカラーで組むなら、今のヒストリック環境では《若き紅蓮術師》に軍配が上がると思います。ラクドスアルカニストがデッキとして完成度が高すぎるため、あれを超えるのは至難の業でしょう。

 しかしヒストリック環境に《僧院の導師》はいないわけで、オルゾフカラーで組むなら《魔女》を使わざるをえません。また、今までにないアプローチとしてゴルガリカラーを選ぶこともできます。スタンダード版のエスパーメンターは(打ち消しよりも)ボードコントロールを主眼にしたデッキでした。であれば、白・黒・緑というボードコントロールの得意な色で「メンターっぽいデッキ」を組むことも不可能ではないでしょう。《暗殺者の戦利品》や《大渦の脈動》、《消失の詩句》――。現環境で一番強力なボードコントロールスペルは、オルゾフやゴルガリに集中しています。

 青や赤を使わない場合の課題は、ドロースペルです。『Witch-Go』のように10枚近いドロースペルを入れることは不可能でしょうし、《信仰なき物あさり》もありません。ハンドアドバンテージを稼ぎつつトークンを出す手段として、他の方向性を探る必要があります。

 いずれにせよ、《セッジムーアの魔女》は初見時の印象よりもずっと強いカードでした。それを反映するように、紙の価格も高騰しているようですね。今後どんなデッキが現れるのか楽しみな1枚だと思います。

 

 

 

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