デマこい!

「デマこいてんじゃねえ!」というブログの移転先です。管理人Rootportのらくがき帳。

2012-01-01から1年間の記事一覧

誰かの失敗を、人は「悪」と呼ぶ/映画『ダークナイト・ライジング』感想

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); クリストファー・ノーラン監督はハリウッド映画の“お約束”をあまり守らない。脚本も映像もとにかく情報量が多く、一昔前なら“観客に対して不親切”と評されただろう。しかし情報量の多さが観客たちを映像…

昨日の記事の補足的なもの

というより、最近繰り返し書いていることのまとめ、ですね。 たとえば日本では、鎌倉時代に牛馬耕や水車の利用が始まりました。農作業を省人化したことで人々には余暇が生まれ、工業・商業をする時間的余裕が生まれました。東海道の整備が進んだこともあって…

労働生産性を高くするたった二つの方法

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); そもそも労働生産性の定義は次の通りです。 【労働生産性】=【付加価値】÷【労働投入量】 そして、ここでいう【労働投入量】とは、以下のようなものだと私は考えています。 【労働量】=【労働者数】×…

夏休み向けエンタメ映画のご紹介

いよいよ8月も始まり、夏本番ですね。 いつもはライトノベルばかり紹介しているRootportですが、じつは映画も大好きです。個人的にこれだけは見ておけって映画を10本選んでみました。 もう夏休みだし、気軽に観られて面白い映画をお探しの方、どうぞご参考に…

自分が好きで何が悪い!

友人から、こんな話を聞いた。 彼女のお世話になった先輩が、会社を休んでいるらしい。30代前半の独身男性。半年前に違う部署に異動して、顔を合わせる機会が減った。そういえば最近見かけないなと思ったら、心を病んで休職しているという。先輩の異動先は会…

夏だけど桜の季節についてつらつらと考えてみる

黒板と教壇は、かならず教室の西側に配置される。これは右利きの生徒に対する配慮だ。学校の教室は南向きの場合が多いため、もしも教壇が東側にあったら腕の影で教科書やノートが見づらくなる。どんな当たり前の光景にも、なにかしら理由があるものだ。たと…

日本人の「語学力」はもっと高く評価されるべき

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); とある筋から「英語が使える日本人」の育成のための行動計画という政府文書の存在を知った。文科省が平成15年に作成した資料で、内容は「英語を喋ることさえできれば国際的に活躍できる!」という牧歌的…

文楽について一言いっておくか

日本は、政治哲学が弱いと言われている。政治家を評価するときに個人としての資質ばかりが注目され、政策は当事者間の利害調整だけで決定されてしまう。本来なら政治家や政府の行動一つひとつについて、それをする権利があるのかどうか検証すべきだ。正当性…

なぜ「人の話を聞く仕事」が必要になるのか/未来の仕事を考える(3)

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 承認欲求の時代だ。誰もが自分の話を、誰かに聞いてもらいたがっている。日本最大の小説新人賞には6,000を超える作品が集まり、Ustやニコ生では日夜、数えきれないほどの人が自分の言葉を配信している。…

コンテンツ産業が世界を覆いつくす日/未来の仕事を考える(2)

付喪神(つくもがみ)をご存じだろうか。箸や椀、杓子、楽器など、工業製品の妖怪だ。長く使われていた道具には魂が宿ると言われており、現在でも針供養などの風習が残っている。付喪神が登場したのは鎌倉時代だ。平安末期の『今昔物語集』にもよく似た怪異…

仕事をかんたんにする仕事/未来の「仕事」を考える(1)

モノの価格がどんどん下がっている。デフレのことではない、技術革新のおかげで、私たちの所得に対するモノの値段はダダ下がりを続けている。以前にも書いたとおり、米一俵の価格は昭和30年代には約4,000円だったが、平成15年には約1万5,000円、およそ3.5倍…

なぜ新聞は誤報をするのか?/電子時代の“誠実さ”について

このところ、新聞の誤報が目立つ。つい先日、日経新聞が任天堂について飛ばし記事を書いたばかりだ。新聞各社は気を引き締めて、誤報に注意しているものだと思っていた。その矢先に自衛隊の防災訓練について産経新聞が誤報を出した。一体どうなっているのだ…

映画『おおかみこどもの雨と雪』の母性信仰/子育ては1人では出来ません

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); ※この記事は、書かれた当時のブログ記事の流行にのっとり、意図的に「毒舌」な書き方をしています。苦手な方はお読みいただかないことをおすすめします。 おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)作者: 細田…

転職が増えると働けない若者が増える、かも。

「仕事」とは社会参加の方法だ。あなたが給料を受け取れるのは、あなたの行動・存在がカネを払うに値すると、社会から認められた証拠だ。カネを稼ぐことのできない人が不当に低く評価されてしまうのは、社会の一員だと見なされていないからだ。どんなに成績…

人をだます技術/現代のプロパガンダを開沼博先生に学ぶ

言葉には力がある。人の心を動かす力だ。 その力を手にすれば、世の中を意のままに操れる。だから歴史上の権力者たちは、言葉の選び方に慎重だった。より民衆の胸に響く言葉、より人々を熱狂させる言葉――。言葉は深く研究され、プロパガンダの技術が編み出さ…

10分でわかる「遺伝子」と「DNA」の違い

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 新聞やテレビでは「遺伝子」と「DNA」は同じ意味で使われている。しかし高校レベルの生物を学べば、この二つがまったく別次元のものだと解るだろう。とはいえ自分にとっての常識が、しばしば世間の非…

夏休みにおすすめ!知識ゼロから『利己的な遺伝子』を読むための読書ラリー

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 読書はダイビングに似ている。活字の海に飛び込んで、深く、深く、潜っていく。水底を流れるモノに触れて、ゆっくりと浮上する。そしてページから顔を上げたとき、目にする世界がまったく別の姿になって…

それでも経済的合理性は大切ですか?

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 友人がFacebookにこんなことを書いていた。 駅で切符を買って、おつりを取り忘れた。すると後ろに並んでいた金髪のお兄ちゃんが「おつり忘れていますよ」と渡してくれた。日本っていいなーと思う反面、…

王様の耳は本当にロバの耳なのか/ネットの不確実性と公共の精神

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); ネットの情報は不確実だ。「こいつが悪者の顔だ!」と貼り出された写真が、ネタ画像のコラージュだったり、「こいつが悪者の家族だ!」と名指しされた人物が、縁もゆかりもない人だったり。真偽を疑わず…

なぜあなたはミスをするのか?/非効率なホワイトカラーと21世紀に求められる人材

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 日本人は労働生産性が低いという。特にホワイトカラーの仕事の効率化が急務だと言われている。「働き方を変えるべきだ!」と啖呵を切る人は多いけれど、ではどのように変えればいいのだろう。具体的施策…

生活保護の「現物支給」は百害あって一利なし!

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); あなたは小学六年生だ。いま、お年玉の使い方についてお母さんと議論している。あなたの言い分はこうだ: 「小学六年生にもなればお金の管理ぐらい自分でできる。学習教材とゲームソフトを買うつもりだ…

学校があるかぎり、いじめはなくなりません

重要なポイントは、大人も「いじめ」をするということ。 いじめは、あらゆる年齢層のあらゆる集団に存在している。にもかかわらず、いじめを学校の問題として語るのは、問題の矮小化にほかならない。いじめは子供だけの問題ではない。この社会に生きる私たち…

小学校の図画工作にスマホのアプリ作りが組み込まれるのは何年先になるかな……

法律・会計・税制――私たちを取りまく現在の諸制度は、どれも根本的な部分で非効率さを残している。「ルールを決めて」「その通りに運用する」なんてのは機械の仕事だ。コンピューターにやらせろよって思う。 こういう機械万能説に対してよくある反論は、「人…

「異性からの評価」を自己評価に重ねてはいけません

むかし、ウィスキーのジョニーウォーカーがこんなCMをやっていた。 雨の夜、男が街を歩いていると、貧しい身なりの女に声をかけられる。 「うちには病気の男の子がいます。どうか恵んでください」 男は彼女にカネを渡し、近くのバーに入った。 するとバーで…

脱原発のデモが批判される理由(わけ)/原発を“畏敬”していませんか?

多くの人が不安にさいなまれている。放射能の汚染は怖いけれど、エネルギー需給の逼迫も怖い。 計画停電や電気料金の値上げのせいで不景気になったら、今年の夏は企業の業績が悪化し、冬のボーナスは激減し、ローンの返済や子供の就学資金の工面が難しくなる…

正しい「議論」の組み立て方/ハンバーガーにピクルスは必要か?

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 世の中にはダメな議論が溢れている。 論点のすり替えや人格攻撃は当たり前、「議論=相手を言葉に詰まらせること」だと勘違いしている人はあまりにも多い。 空手やボクシングに「型」があるように、議論…

「わたし」の正体について

「わたし」が生み出された脳の神経系は遺伝子の集合的帰結であり、「わたし」を育てた社会は意伝子の集合的帰結であり、あらゆる「わたし」の判断・意志・思考は「誰か」と「誰か」の総和で、つまり「わたし」は個であると同時に集合で、断片であると同時に…

権力と煙は高いところが好き?/空を仰ぎながら「支配」について考える

ある社会でもっとも背の高い建物を見れば、その社会がなにに支配されているのか分かる――。これは神話学者ジョゼフ・キャンベルの言葉だ。中世ヨーロッパの街なら教会の尖塔、現代の都市なら商業施設、ニューヨークなら金融業者のテナントしたビルだ。科学的…

日本の若者はこれからもずっと不幸です/成功よりも「没落」の可能性のほうが高い理由(わけ)

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 日本社会の荒廃を、貧困層のせいにする人がいる。いわく、貧乏人は無計画に子供を作り、しかも教育にカネをかけないので、バカが増えるという。本当だろうか? あるいは教育コストの高騰で「豊かな人が…

「豊かさ≠幸福」だということ

「いまの若い人は俺が若いころよりも恵まれている」という言葉は、豊かさが幸福に直結した時代の人のセリフだ。 たしかに通信費が下がったとか飢餓が激減したとか、絶対的な尺度から見れば、現代人は過去100年でいちばん幸福であるはずだ。が、日本では多く…