法律・会計・税制――私たちを取りまく現在の諸制度は、どれも根本的な部分で非効率さを残している。「ルールを決めて」「その通りに運用する」なんてのは機械の仕事だ。コンピューターにやらせろよって思う。
こういう機械万能説に対してよくある反論は、「人の社会は複雑だからルール通りにはいかない部分もある、最後には人間の判断が必要」だというもの。だけど、そういう「遊び」のあるシステムなんて、想像しているよりも簡単に設計できると思うんだよね。人命が関わるのに冗長系のないシステムなんてありえない!
いま欲しいのは「どうやって制度をダイエットしていくか」という発想だ。
それこそカラダの動きをウェアラブルセンサーで感知して、なにか違法行為をしようとしたらスマホのアプリが教えてくれるぐらいにならなくちゃ。スマホに記憶した『電子六法』を参照して、「これ違法だけどおk?」って注意してくれる、そんなアプリ。
現行の法規や制度はあまりにも複雑&例外が多すぎて、とてもじゃないけどそんなアプリは作れない(たぶん)。だから弁護士は価格面での優位性を保てる。でもさ、この社会のルールなんだから、本当はこの社会の誰もがお手軽に利用できなくちゃだめじゃないか? 法律相談は300円でダウンロードできるようになるべきだと思うの。
「制度の効率性」って、とても大事だ。
よく「無人島に行って役に立つのは理系知識、文系の学問は無意味」みたいなことを言う人がいるけれど、私たちの豊かさと文系の知見――とくに制度設計の知見は密接不可分だ。
たとえば私が今日のお昼に食べたファーストキッチンのエビかつバーガー。衛生規則がなければ安心して食べられないし、交通規則がなければ材料を店まで運べない。交通事故死者を誰よりも減らしたのは、医者でも技術者でもなくシートベルト着用を義務づけた人だ。
ナイジェリアは豊かな石油資源に恵まれているが、制度面がボロボロだ。おかげで現在でも福岡県程度のGDPしかないし、その利益は一部の権力者に独占されている。
優れた制度は、豊かさの土台を作る。
安価で誰にでも利用できる「効率的な制度」は、豊かさの源なのだ。
今から「効率的な制度」を作り直そうとしたら、かなり大がかりなリセットが必要になる。設計思想そのものは憲法に記されているけれど、その思想を実現する方法をゼロベースで組み立て直さなくちゃいけない。結局、「機械にできる部分」を少しずつ増やして置き換えていくという、気の長い作業になりそう。
では、そういう「気の長い作業」が始まるのがいつになるのだろう……と考えて見ると、「ルールのあるものは機械にやらせたほうが早い」という発想が常識以前の考え方になった世代からだよなーって思うのです。
具体的には小学校の図画工作で簡単なアプリを組むようになった世代が、50代、60代になってから……ではないかと妄想している。
アプリ作成が小学校のカリキュラムに取り込まれるのにあと10年、その子たちが50代になるのにそれから40少々……。
いまから50年ちょっと後ぐらいに、ようやく法制度の電子化が始まるのでは。それまでは「抜本的な改革」なんて、旧世代の法体系の焼き直しでしかない。本当の改革・効率化が進むのは50年以上先だ。それまでは「改革」なんて嘘っぱちだ。法改正のたびにセミナーの講師が儲かるだけだよ。
未来の六法はPerlで書かれている、かも。
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※たとえば国際会計基準(IFRS)について「基準が曖昧すぎる!」という反論を目にします。が、あれは制度設計をしようとしているのではなくて、もっと根本的な部分の「設計思想」にコンセンサスを作りましょう、というモノなのではないでしょうか。すべてはまだ始まったばかりなのだ!