女騎士、経理になる。／第7話「ブラック・スワン」(11)

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シーサーペント『海の藻屑と消えろぉ！』

ｸﾞｫｫｫｵｵｵ!!

朱眼船長「…今だ！撃てぇーｯ!!」

ﾄﾞﾝｯ…ﾄﾞﾝｯ…
　ﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝｯ…!!

シーサーペント『ぐわぁ!?な、生意気な…』

ｻﾞﾌﾞｰﾝ!!

女騎士「やつが頭を水に沈めたのだ！」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

盾衛兵「この船の下を通り抜けていきます!!」

ｺﾞﾘｺﾞﾘｺﾞﾘ…
　ｷﾞｨ…ｷﾞｨ…

衛兵長「この音は？」
銀鱗航海士「やつの背びれが船底をこする音ですね」
槍衛兵「うう…船が傾いて…このままじゃ転覆しちまうよぉ!!」
朱眼船長「くっ…持ちこたえておくれ…」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

ｺﾞﾘ…ｺﾞｯ…ｺﾞ…ｺ…
　ｼｰﾝ
衛兵長「やった！転覆せずに耐えきった！」
朱眼船長「…いいや、甲板に耳をつけてみな」
女騎士「…!?」ｶﾞﾊﾞｯ
　ﾎﾞｺｯ…ﾎﾞｺﾎﾞｺ…
　　ｻﾞｧｧｱ
女騎士「この音は？」
朱眼船長「どこかにデカい穴が空いたらしい。この船はもうダメだ」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

女騎士「そんな…羚羊号が沈むだと!?」
朱眼船長「残念だが、脱出用のボートで逃げるしかない」
女騎士「しかし…」
盾衛兵「ああっ、シーサーペントが向きを変えました！またこっちに突っ込んできます！」
女騎士「…どうやら、四の五の言っていられないようだな」
朱眼船長「そういうことだ」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

女騎士「避難の準備を進めてくれ。私は、今度こそマストの上から一撃を狙う」
朱眼船長「本気で言ってんのかい？」
女騎士「無論だ。先ほどの一撃でやつの攻撃パターンは読めた。それに、とっておきのマジックアイテムを準備してあるのだ。こんなこともあろうかと」
朱眼船長「…そうか」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

朱眼船長「せいぜい、マストから落ちないように気をつけるんだね！」
女騎士「言われるまでもない」
朱眼船長「…お前たち！ボートの準備をするよ！」
海賊たち「「「アーイ！」」」
朱眼船長「衛兵さんたちは船倉から水樽(みずだる)を持ってきておくれ。ありったけの真水をボートに積むんだ！」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

衛兵長「く…。こんなときまで偉そうに命じるとは…」
剣衛兵「命じるとは…」
朱眼船長「そんなことを言っている場合かい!?さあ、さっさと動け！」
衛兵長「ちっ…」
ﾜｰﾜｰ!!
　ﾔｰﾔｰ!!
女騎士「…ふむ、ここがマストの頂上か。稲光の瞬間には遠くまで見える」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

シーサーペント『よくも…よくも、この私の顔に傷をつけてくれたな…！』

女騎士（やはり、思ったとおりなのだ。やつは物理攻撃しか持っていないらしい。…魔法で嵐を呼ぶことはできても、直接の攻撃手段は体当たり、のしかかり、噛みつきぐらいしかないようだ…）

ﾋﾟｶｯ…ｺﾞﾛｺﾞﾛ…

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

シーサーペント『なんだ？あのマストのうえの人間は？』

ｻﾞｧｰｻﾞｧｰ
　ｺﾞﾛｺﾞﾛ…ﾋﾟｶｯ…

女騎士「こんなこともあろうかと」ｺﾞｸｯ
女騎士（デュランダルはクリティカル率大幅上昇の付加効果がある。今飲んだ『会心の秘薬』で、次の一撃は確実にクリティカル・ヒットになる…）

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

女騎士「さらに、こんなこともあろうかと」ぬりっ
女騎士（この『雷神の精油』を刃に塗ることで、デュランダルに雷属性が付加される。水属性のシーサーペントはひとたまりもないはず…）

シーサーペント『…ふふふ、貴様から喰らってやる！』
女騎士「…望むところだ！さあ、来い!!」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

ｸﾞｫｫｫｵｵｵ!!
女騎士「はぁぁあああ!!」ﾊﾞｯ

ｶﾞｷﾝｯ
　ﾋﾟｶｯ…
ｺﾞﾛｺﾞﾛｶﾞｼｬｰﾝ!!

　ｻﾞﾊﾞｧｰ
朱眼船長「ゲホッ…ゴホッ…なんて水しぶきだ！」
銀鱗航海士「あの巨大なシーサーペントを、海の中に叩き込むなんて…」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

▼海中──。
ｺﾞｫｫｰ!!
　ｺﾞﾎﾞｺﾞﾎﾞ…
女騎士（斬撃の勢いで、敵もろとも海中に引き込まれたか。だが、ここまでは計算のうち…）

シーサーペント『人間にしては、そこそこやるようだな』

女騎士（…!?）
シーサーペント『とくにあの雷は、なかなか愉快な見物だったぞ？』

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

女騎士（そんな！手応えは充分だった！水属性の魔族なら、一撃で倒せるはず…。なのに、なぜだ!?）
シーサーペント『しかし、いつまでも私の顔にしがみついているつもりなら…このまま海底まで引きずり込んでくれる！』

ｺﾞﾎﾞｺﾞﾎﾞ…

女騎士（くっ…息が…）

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

シーサーペント『そのまま圧死するがいい！冷たく暗い海の世界をとくと味わえ！』
女騎士（冷たく…暗い…？）
ｺﾞﾎﾞｺﾞﾎﾞ…
女騎士（そうか！）
女騎士「…そこだぁ！」

ｻﾞｸｯ

シーサーペント『ぐわぁ!?』
女騎士「暗い海中では、貴様の光る眼はいい的だ！」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

シーサーペント『お、おのれ人間め…。片眼を奪われた恨み、いつか返してやる…』

ｺﾞﾎﾞｺﾞﾎﾞｺﾞﾎﾞ…

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

▼羚羊号、甲板──。
朱眼船長「お前は予備の帆布を持ってきな！そっちのお前はピッチを取ってきておくれ！じきにこの船は沈む！必要なものをボートに積むんだ!!」
銀鱗航海士「…船長、あそこを！」

ぶくぶく…
女騎士　ぷはぁっ!!

朱眼船長「女騎士さんだ！ロープを投げてやりな！」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

ｷﾞｭｯ…ｷﾞｭｯ…
女騎士「ふぅ、戻ってこられたのだ」
朱眼船長「無事のようだね」
女騎士「魔剣と、新しい鎧のおかげだ」
朱眼船長「やつは？」
女騎士「片眼を潰してやったら、深海へと逃げていったのだ。しばらくは戻ってこないだろう」
朱眼船長「逃げるなら今のうち…ってわけだ」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

女騎士「…それで、船は？」
銀鱗航海士「先ほど、手下に調べに行かせましたが…竜骨(キール)をやられたようです」
朱眼船長「まだ浮かんでいるだけで奇跡さ。いつ船体が真っ二つにちぎれてもおかしくない。…おい、脱出の準備はどうなっている？」
銀鱗航海士「8割がた終わっています！」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

銀鱗航海士「ただ、波が荒くてボートを降ろすのに難儀しそうです」
朱眼船長「放列甲板(ガンデッキ)に予備の菜種油の樽があるはずだ。樽の中身を船首(おもて)から流すといい。多少は波を抑えられるはずだ」
銀鱗航海士「分かりました！早速取りかかります！」
朱眼船長「波が収まったら…」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

朱眼船長「…お前は仲間を揃えてボートを海に降ろしてくれ」
銀鱗航海士「船長は？」
朱眼船長「あたしはまだやることがある。後を頼むよ！」ﾀﾀｯ
銀鱗航海士「せ、船長!?」
女騎士「しまった！私もだ！」ﾀﾀｯ
銀鱗航海士「ああっ、女騎士さんまで！…す、すぐに戻ってくださいよ！」

— Rootport (@rootport) 2016年9月4日

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