──────────
▽プロローグ
▽第１話「フライド・コカトリス」
▽第２話「ガバメント・オブリゲーション」
▽第３話「リテラシー」
▽第４話「ウェル・シェイプト・カップ」
▽第５話「プライス・オブ・ライフ」
──────────
幼メイド「おかえりなさいませ～」 銀行家「お仕事の首尾はいかがでしたか？」 女騎士「この港町は景気がいいのだな。これが回収してきたお金だ」ﾁｬﾗ… 幼メイド「この街は貿易でうるおってるのですよ～」 銀行家「…おや？5,000G足りないようですが？」 女騎士「そ、それは…」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
銀行家「なるほど、中央市場の肉屋ですね」 女騎士「返済日には、まだ猶予があるはずだ」 銀行家「とはいえ子供だけで店を経営していると聞いています。少し心配ですね…」 女騎士「あの子たちが借りたお金を踏み倒すと？」 銀行家「いいえ。お金よりもその子たちの生活が心配なのです」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
銀行家「精霊の御名において、あまねく人の子は平等な存在として生まれるはず。なのに、子供のうちから働かねばならないとは…」 幼メイド「だんなさまは変わった考えをお持ちなのですよ～」 銀行家「こら、口が過ぎますよ。そういえば今日の宿題はもう済んだのですか？」 幼メイド「ぷぅ～」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
銀行家「ともかく肉屋に貸したお金は来月が期日です。その子たちは、月末までにお金を用立てられそうでしたか？」 女騎士「う、うむ」 銀行家「よかった！あのお金が返ってこないとマズい…と、番頭が申しておりました。女騎士さんの言葉を聞いて安心しましたよ」 女騎士「う…」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
女騎士（あのダークエルフは自信満々だったが…） 女騎士（…しかし、商売に絶対はないとも言っていた） 女騎士（よし、ここは正直に告げよう！） 女騎士「じつは──」 幼メイド「だんなさま～、そろそろお時間では？」 銀行家「おっと、そうでした。お客様をお迎えしなければ」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
女騎士「お客様」 銀行家「ええ。女騎士さんにも新しいお仕事をご依頼したいと考えています」 女騎士「誰が来るんだ？」 銀行家「3名いらっしゃいます。港街商会、王立商会、老練工房それぞれの代理人です」 幼メイド「だんなさま～、おめしものをどうぞ～」 女騎士「その真っ黒な法衣は…」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
港街商会「ああ、銀行家さん！お待ちしていました！」 王立商会「いつもご苦労」 老練工房「よろしく頼みます」 銀行家「みなさん楽になさってください。書類はこちらですか？」 女騎士「…まさか銀行家さんが『公証人』の資格を持っていたとは」 幼メイド「さすがはだんなさまなのです～！」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
銀行家「ご紹介しましょう。こちらの港街商会さまは、うちの銀行のお客さまです。そして、王立商会さまと老練工房さまは、どちらも帝都の会社です」 女騎士「なるほど」 銀行家「そしてみなさま、こちらの女騎士さんは会計のプロフェッショナルです」 客たち「「「おおーっ」」」 女騎士「」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
銀行家「港街商会さまは、老練工房さまから工芸品を仕入れておいでです。一方、この街で取れた海産物を、王立商会さまに販売していらっしゃいます」 港街商会「この街で作った魚の干物や貝の塩漬けは、帝都でも人気があるんですよ」 pic.twitter.com/SNhvHnDUcg
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
銀行家「この後すぐ、帝都に向けて隊商が出発します」 王立商会「荷馬車に商品の積み込みが終わりしだい、すぐに立つつもりだ」 女騎士「ここから帝都まで…片道６日はかかるな」 銀行家「急なお願いで恐縮なのですが、女騎士さんにもご同行していただけないでしょうか？」 女騎士「は？」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
港街商会「あなたは武芸の道にも秀でていらっしゃるそうですね。隊商の護衛をお願いしたいのです！」 女騎士「しかし私には肉屋が…」 銀行家「肉屋？」 女騎士「いや、その…」 人夫「ダンナさまがた、いつまで書類仕事をしてるんです。こっちの準備は済みましたよ」 王立商会「よし、出発だ！」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
荷馬車 ｶﾞﾀｺﾞﾄ…ｶﾞﾀｺﾞﾄ… 女騎士「うぅ…またしても勢いに負けて仕事を引き受けてしまった…」 女騎士「あのダークエルフ、本当に大丈夫だろうか…」 老練工房「女騎士さん、何ぶつぶつ言ってるんだい？」 女騎士「…自分の押され弱さを呪っていたのだ」 荷馬車 ｶﾞﾀｺﾞﾄ…
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
老練工房「ははあ…押され弱さ、ね。そのアンニュイな表情から察するに、恋の悩みだな？」 女騎士「は？鯉？」 老練工房「さては、あの銀行家さんのことを考えると夜も眠れねえな？」 女騎士「う、うむ。そうなのだ。月末までには答えが出るのだが…」 老練騎士「ひゅーっ！月末に！お熱いねえ」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
老練工房「…となると、あの注文は指輪なのかねえ？」 女騎士「注文」 老練工房「おっと、口が滑っちまった。…じつは銀行家さんからうちの工房に注文があったのさ。俺はただの代理人だから、銀行家さんが何を注文したかは知らねえよ。だけど月末までには納品することになってんだ」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
女騎士「その注文なら私も聞いている。帝都についたら受け取って、私が持ち帰ることになっている」 老練工房「なんだって？お嬢ちゃんに指輪を持ち帰らせるとは…あの銀行家さんもずいぶん無粋な真似をするね」 女騎士「いや、まだ指輪だと決まったわけでは…」 老練工房「ははは！照れるなって」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
～～～ 「お前ら、準備はいいな」 「親分、やつら、ただの流浪の民に見えますぜ」 「てめえの目はふし穴か？馬車の金具をよく見ろ、王立商会の紋章が入っているだろ。…変装は上手いがツメが甘えな」 「親分、『ふし穴』って何のことで？」 「うるせえ、さっさと矢をつがえろ」 ～～～
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
老練工房「カマトトぶりなさんな。昔から恋のゴールは指輪と相場が決まってるだろう」 女騎士「鯉のグールは指輪？話が見えないな」 女騎士「!!」 ……ﾋｭﾝｯ…ｶｷｨｨｲｲﾝ!! 老練工房「ひぃっ」 女騎士「なんだ、ただの石弓か。話を続けるが…」 老練工房「ば、バカ！盗賊だよ！」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
～～～ 「お、親分！あの女、後ろから飛んできた矢を叩き落としやがりました！」 「…な、何をビビッてんだ！まぐれに決まってる！」 「で、でも…！」 「うるせえ！ちっと狂ったが計画続行だ！あいつら全員、丸裸にしてやれ！」 「うっす！」 「「うぉぉおおお」」 ～～～
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
王立商会「くそ…だから隊商と同行するのは気乗りしなかったのだ！」 老練工房「あ、慌ててててても仕方ねえよ！金貨の1枚か2枚を渡せば…みみみ見逃してもももも」 盗賊団「ひゃっはー！ここがお前らの墓場だぁ！」 盗賊団「地獄で会おうぜぇぇえ！！！」 商会・工房「「ひぃぃぃいい」」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
女騎士「──てやっ！」 盗賊団「「「ｷﾞｬｰｯ!!」」」 女騎士「せいっ！」 盗賊団「「「ﾋｬｰｯ!!」」」 女騎士「とうっ！」 盗賊団「「「ｵﾀｽｹｰ!!」」」 盗賊団「「「ﾆ､ﾆｹﾞﾛｰ!!」」」 女騎士「なんだ、もうおしまいか？その程度では地獄には行けんぞ！」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
老練工房「ふ～！姉ちゃんのおかげで助かったぜ！」 女騎士「アークデーモンと戦うのに比べれば、ぞうさもない」 王立商会「アークデーモン」 老練工房「姉ちゃんは会計のプロフェッショナルだと聞いたが…いったい何者だ？」 王立商会「会計のプロは武芸にも通じているものなのだな」 女騎士「」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
▼６日後──。 女騎士「うぉぉおお！広い、広いぞ！それに何という人の数だ！今日は祭りか!?」 老練工房「帝都は初めてかい？」 王立商会「まったく、これだから田舎者は…」 女騎士「あの高い塔は何だ！」 老練工房「精霊教会さ」 女騎士「あの城は何だ！」 王立商会「国王さまの居城だ」
— Rootport(※減量中) (@rootport) 2015, 7月 17
