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▼次回：第８話
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女騎士「船長のおかげで、友人たちに叱られずに済みそうなのだ。感謝している」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
朱眼船長「それはこっちのセリフだよ。あんたはあたしらにチャンスをくれたんだ」
女騎士「生き延びるチャンスを？」
朱眼船長「いいや、違う」
女騎士「？」
朱眼船長「正しいことを為すチャンスさ」
朱眼船長「あたしは今まで、間違ったことばかりをしてきた。死んでも償えないほどね。あたしの魂は、大地よりも重たい負債を抱えている」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
女騎士「…うむ」
朱眼船長「今死ねば、あたしは負債を踏み倒すことになる。けれど生きていれば、少しずつ返済していける。…あんたのおかげだよ。ありがとう」
女騎士「そうか…。ならばこれからも、私たちの会社に力を貸してほしいのだ」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
朱眼船長「喜んで！…なあ、お前たちもそうだろう？」
海賊たち「「「アーイ!!」」」
朱眼船長「それから、あんたのご友人にも感謝することだね。その鎧はもらい物だと聞いたよ？」
女騎士「うむ、そうだな…」
女騎士「…この鎧がなければ、シーサーペントもろとも海に沈んでいただろう。『暦表』がなければ、今も大海のどこかを漂っていたかもしない。友人たちがいなければ、私は今ここにいない」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
銀鱗航海士「その表の贈り主には、私からも感謝を述べたいですね」
女騎士「うむ！いずれ機会があるだろう」
衛兵長「んー、ごほん。我々は魔族というものを少々誤解していたようだ」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
剣衛兵「…ようだ」
朱眼船長「なんだい急に」
衛兵長「この航海での働き…。評価してやらんでもない」
剣衛兵「…でもない」
槍衛兵「あんたらすげえよ！勝っちまうなんて！」
盾衛兵「この任務について良かったです！」
片耳ゴブリン「どうしたです？衛兵さんたち、悪いものでも食べたです？」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
衛兵長「なんだとぉ！」
剣衛兵「…だとぉ！」
片耳ゴブリン「そんなときはこれを飲むです！」ﾈﾁｬｯ
衛兵長「何だ、その黒いドロドロは…」
剣衛兵「ひどいニオイです…」
片耳ゴブリン「あっしの一族の秘薬ですよ～」
片耳ゴブリン「さあ、飲むです！遠慮はいらないです～！」ﾈﾁｬﾈﾁｬ
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
衛兵長「や、やめろ！」
剣衛兵「それを近づけるなぁ～！」
女騎士「おおっ、みんな！あれを見るのだ！」
朱眼船長「要塞のうえに兵士が並んで…旗を振っているね」
銀鱗航海士「私たちの船を出迎えてくれるようです！」
祝砲 ﾄﾞﾝｯ…ﾄﾞﾝﾄﾞﾝ…
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
兵士たち ﾜｧｰ!!
女騎士「…できればこの光景を、あいつに見せてやりたかったのだ。特益の出る瞬間を」
朱眼船長「もうすぐ着岸だ。しんみりしてるヒマはないよ」
女騎士「そうだな。私は、こちらの大陸でやるべきことがある。すべてはこれからなのだ──」
▼2週間後、帝都・王宮──。
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
ショタ王「…で、これが黒鳥号の元船長がかつて書いた契約書だな」
司祭補「はい、精霊教会の大図書館に保管されていましたわぁ」
ショタ王「そして、こっちが彼の残した航海日誌…」
色白青年「先日ようやく新大陸から届きました」
財務大臣「…」ｷﾞﾘｯ
ショタ王「この2つの文書…筆跡は完全に同じだな。専門家ではないぼくが見ても分かるほどだ」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
財務大臣「さ、さすがは陛下…。ご慧眼かと…」
ショタ王「洋上に捨てられたものを拾った場合、それは拾った者の所有物になる…。そういうルールで間違いよね、大臣？」
財務大臣「相違ありません…」
色白青年「…少なくとも、人間国の法律ではそういう決まりになっております」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
ショタ王「よく分かった。…この航海日誌には、はっきりと黒鳥号を遺棄すると書かれている。であれば、現在の黒鳥号の持ち主は、それを拾った女騎士さんの会社だということになる」
司祭補「まあ！それでは…」
ショタ王「うん、レースの勝者は女騎士さんたちだと認めよう。要塞の管理権は、港街貿易株式会社のものだ。それから、もろもろの裁判は中止だ。捕らえていた人物を解放するように。…いいな、大臣。少し忙しくなるぞ」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
財務大臣「…か、かしこまりました」
司祭補「うふふ♪万事解決ですわ～！」
▼帝都、監獄塔・正面玄関──。
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
銀行家「…今回は災難でしたね。さあ、あちらに馬車を用意しています」
黒エルフ「まったく…。あのバカが心配かけるせいで、えらい目に遭ったわ…」
銀行家「ははあ…。そのセリフにも、いつもの覇気がありませんね。帝都の宿で少し休んだほうがよさそうです」
黒エルフ「いいえ、今すぐ帝都を発つわ。一刻も早く港町に戻って、仕事を再開しなくちゃ」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
銀行家「そうは言っても…。健康な体あってこそのお仕事ですよ。ここは私に任せてください」
黒エルフ「もう3週間も事業が止まっているのよ。顧客はみんな離れてしまったでしょうし、立て直せるかどうか…」
黒エルフ「だいいち、番頭さんはともかく、あんたに仕事を任せられるわけないじゃない」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
銀行家「なはは…面目ない…」
黒エルフ「今回だって、肝心なときに旅行に出かけちゃうなんて──」
富豪（？）「おお、これは銀行家さん！先日はどうも！」
銀行家「おや！いつもお世話になっております」
富豪（？）「いやあ、無事に解決したようで良かったですなあ。…まあ、もとより私は銀行家さんの無実を信じていましたがね！」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
銀行家「ありがたい限りです。今後ともつつがなくお付き合いしていただければ…」
富豪（？）「もちろんですとも！では、私はこれで…」
銀行家「ええ、ごきげんよう」
黒エルフ「…今の、誰？」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
銀行家「先代のころに、うちの銀行と取引のあった穀物商の方です。あちらも帝都に何か用事があったようですね」
黒エルフ「先日はどうも…って？」
銀行家「今回は大変なときに留守にしてしまい、申し訳ありませんでした。付き合いのある商家に挨拶回りをしていたのです」
銀行家「もしもうちの銀行が無くなったら、働いていた使用人たちが路頭に迷ってしまいます。受け入れ先を探していたのです」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
黒エルフ「それが、あの旅行の真相ってわけ…？」
銀行家「どこに出かけるかは秘密にする必要がありました。今回のような場合、先方に迷惑をかけかねませんからね」
銀行家「どなたも快く受け入れてくださるとおっしゃいました。そして、騒動が終わったあかつきには、またうちの銀行との取引を再開してくれると…」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
黒エルフ「じゃ、顧客が離れたとしても…」
銀行家「きっと、戻ってきてくれるはずですよ。すべて元通りというわけにはいかないでしょうけれど」
銀行家「ですから、ここは安心して休んで──」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
黒エルフ「いいえ、それこそ休んでいられないわ！あたしたちの仕事を待っている人がいるなら、働くっきゃないじゃない！さあ、馬車はどこ？今すぐ出発しましょう！」
銀行家「なはは…。これでは逆効果だったでしょうか…？」
▼魔都、勇者のアパート──。
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
勇者「…ただいま」
ｼｰﾝ
勇者「あれ？誰もいないの？」
賢者「…おかえり」
勇者「わっ！賢者さんか…びっくりした…。他のみんなは？」
賢者「助けに行った」
勇者「助け…って、まさか!?」
賢者「そう。…あのメイドの子…。勇者もすぐに行くべき」
勇者「それを伝えるために、賢者さんだけが部屋に残っていたんだね…」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
賢者「…勇者、窓の外を見て」
勇者「僕は裏通りからアパートに戻ってきたけど…表通りがどうかしたの？」ﾁﾗｯ
魔族たち ｿﾞﾛｿﾞﾛ…
勇者「な！道路を魔族が埋め尽くしているよ？」
賢者「大変なことになった…」
勇者「もしかして…僕たち、このアパートから出られない？」
— Rootport (@rootport) 2016年9月5日
賢者「表玄関からは、ムリ…」
勇者「うう～。どうしてこんなことに～？」
賢者「すべては、メイドの子のせい。あの子が、あんなことをしでかしたから──」
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