近頃では大学生の就職活動に、親たちがしゃしゃり出てくるようだ。18歳をすぎたら大人だ。どんな人生を歩もうと、その人の責任だ。しかし親たちは「子供の面倒を見たい!」という欲求をなかなか手放せない。
「20歳はまだ子供だ」と言う人は、自分がいままでどのように成長してきたのかを忘れている。そして、これからも成長し続けるという事実から目をそらしている。50歳からすれば20歳が子供っぽく見えるように、100歳から見れば還暦だって子供だろう。生きている限りヒトは成長を続ける。だからこそ、「ここから先は大人」というラインをどこかに引かなければ、私たちはいつまで経っても大人になれない。
人間は、子供ができると思春期が終わる。自分探しをやめて、子供のしあわせを追求するようになる。子育てのなかで親自身も成長していく。問題は子育ての“終わらせ方”だ。子供が一定の年齢を過ぎたら、ほんとうは子育てを“卒業”しなければいけない。精神的に次のステージへと進まなければいけない。ところが現在では、次のステージのロールモデルがない。“パパ”“ママ”を卒業して、どのような“おじいちゃん”“おばあちゃん”になればいいのか分からない。だから親たちは、いつまでも子育てから“卒業”できずにいる。
親は、いつまでも子供を甘やかしてはいけません。
子供は、いつまでも親に甘えてはいけません。
子供は自立した一人の人間として「親を利用してやろう」と考えるぐらいでちょうどいい。自分がどのような人生を歩むつもりなのか、親に判断をあおいではいけない。なぜなら、親たちは別の時代の人間だからだ。現在の私たちの直面している問題や、私たちの苦悩について、実際的には何一つ解決できないからだ。
私たちが親世代から学べるのは、本質的なことだけである。伴侶を見つけることのすばらしさ、子育てのよろこび……。数十万年前から変わらないヒトの営み。親たちが教えられるのは、そういう本質的なものだけだ。どんなに子供の将来を案じようと、親は、子の一生を見届けられるわけではない。「パパ・ママの精神性」から卒業して、次のステージに進まなければいけない。それが嫌なら子供と一緒に死ぬしかない。
就職や交友、交際、結婚といった実際的な問題について、親は無力だ。時代が変われば生き方は変わる。親世代の生き方は、もはや何一つ通用しない。親たちがいたずらに口をはさめば、子供をただ混乱させるだけだろう。
子供はいつか大人になる。
大人になった子供に対して親がしてやれるのは、祈ることだけだ。
しあわせを願いながら、祈ることだけなのだ。
※参考
2000人の保護者が押しかけた就活説明会で感じた“違和感”
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121102/238969/?rt=nocnt
日本の労働犯罪の多さはリアル北斗の拳と言われても仕方がないレベル
http://dennou-kurage.hatenablog.com/entry/2012/11/06/211011
有能な人材が辞めない職場
http://wirelesswire.jp/london_wave/201211060840.html
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