デマこい!

「デマこいてんじゃねえ!」というブログの移転先です。管理人Rootportのらくがき帳。

2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『這いよれ!ニャル子さん』に見る日本の家族/父の不在と母なる呪い

一般的に「父は社会性の象徴・母は許容の象徴」だと言われている。物語において「父との対峙・母の許諾」は、たびたび描かれてきた。しかし日本のアニメやマンガ、ライトノベルでは、この例に当てはまらないものがちらほら見られる。「父の不在と母なる呪い…

子供を“とりあえず私立”に入れるのは感心しません。

社会的地位の高い人たちが、口を揃えて言う。 「子供を私立の小中学校に入れましょう」 どんなにレベルの低い私立でも、治安や進学率という点で公立校に比べればずっとマシだ。彼らの発言の根底には、自分の子供だけしあわせならそれでいい、という自己中心…

世界の中心で愛を叫んだオタク/海外のイベントにどんどん参加しようよ!

先進国の大都市は、どこも街並みがよく似ているという。 日曜日の朝、ロンドンはスタバのコーヒーから始まる。テムズ川のほとりをランニングウェアを着たビジネスマンが走っている。耳にはもちろんiPod nanoのイヤホン。大道芸人たちはブロンズの塗料で化粧…

うそをうそと見抜けないと今を生きるのは難しい/データよりも常識にもとづいてモノを言う人たち

新入社員に「社会人なら日経新聞を読め」と説教するおっさんは多い。が、これは「紙面の主張をコピペできるようになれ」という意味ではない。新聞は資格試験の教科書ではないし、丸暗記なんて無意味だ。私たちは観測と検証にもとづいて思考するべきで、誰か…

中国での商標登録を急いだほうがいいという話

全国数万人のパトリオットたちは、このニュースに怒り心頭のことだろう。 中国が「森伊蔵」の異議認めず 商標局、伊佐美なども - 47NEWS http://www.47news.jp/CN/201204/CN2012041801001032.html 日中関係についての議論は「政治」にご熱心なみなさまに任せ…

「学歴社会」を終わらせるには

「学歴社会は終わった」という言葉が空虚なのは、実際にはぜんぜん終わっていないからだ。いわゆる「言論人」たちは、いったいどんな人々のどういう状況を指して「学歴社会」という言葉を使っているのだろう。たぶんその社会に、私たち10代・20代の姿はない…

ぼくらはヒーローになりたいわけじゃない/『花埋み』感想

自分に子供ができたらどんな名前をつけるか……よく妄想する。 (もしも娘ができたら「子」のつく名前がいいよなー。あ、でも、ありきたりなのはやっぱりダメ。かといって薫子とか桜子みたいな四文字系は私の娘にしては雅やかすぎるかも。たとえば姉妹で一つの…

インプットとアウトプットは別々に!/たとえばアニメしか見ないやつにアニメは作れない

このところ本業が殺人的な忙しさに突入しており、心を病んでしまいそうなので脳内Blu-rayで劇場版ストライクウィッチーズを再生しながら仕事をしている。頭の中でシャーロットの登場するシーンを無限リピートしながら、ひたすら手を動かしている。すでに充分…

ゆとり社員が仕事しないのは当たり前です

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); モンスター社員という言葉があるらしい。いわゆる給料泥棒だ。勤務態度は不真面目で、なおかつわがままな言動で周囲を振り回す。簡単には社員をクビにできない日本の雇用制度を逆手にとったフリーライダ…

一族の首長となったプロ・ブロガー/評価経済を成立させるもの

氷菓 (角川文庫)作者: 米澤穂信,上杉久代,清水厚出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2001/10/31メディア: 文庫購入: 17人 クリック: 956回この商品を含むブログ (571件) を見る 完全にタイミングを逸したけれど、「評価経済」に…

女の子の魔法がとけるとき

プラダを着た悪魔 2枚組ブルーレイ&DVD&デジタルコピー (初回生産限定) [Blu-ray]出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン発売日: 2012/04/21メディア: Blu-rayこの商品を含むブログを見る 太古の昔から、物語には共通の…

『バブリィ・おやつ・デリバティブ』

本作は『知識ゼロから学ぶ簿記のきほん』のスピンオフです。 「先生!」とケイリちゃんは手をあげた。「おやつを三〇〇円まで持って行ける権利を、証券化してもいいですか?」 五年生の全員が体育館に集まっていた。 先生たちは気が早い。まだ九月になったば…

『ギムレットには早すぎて(4)』

「ギムレットには早すぎて(1)」 「ギムレットには早すぎて(2)」 「ギムレットには早すぎて(3)」 ■現在校正中につき、非公開■

『ギムレットには早すぎて(3)』

初:「ギムレットには早すぎて(1)」 前:「ギムレットには早すぎて(2)」 次:「ギムレットには早すぎて(4)」 【3】 「いつになったら、息子を返していただけるんですか」 彼女の頬はげっそりと痩けていたが、口ぶりはしっかりしていた。嵐のあと――…

『ギムレットには早すぎて(2)』

前:「ギムレットには早すぎて(1)」 次:「ギムレットには早すぎて(3)」 【2】 日没と同時に降り出した雨は、深夜になっても止む気配がなかった。 雲の上で誰かが雑巾を絞っているような、ぽたぽたと歯切れの悪い降り方だ。どうせなら、ガソリンスタ…

『ギムレットには早すぎて(1)』

【1】 夜の電話は、悪い知らせだ。 三十年もこの仕事をしていれば、その程度の勘は働く。眼を開けると、カーテンの隙間から漏れた光が天井に縞模様を描いていた。携帯電話の赤と緑が点滅している。バイブレーションのくぐもった音が、枕元で急き立てる。液…

女ひとりのジハード/映画『鉄の女 マーガレット・サッチャー』感想

"――I cannot die washing up a teacup" 映画『鉄の女 マーガレット・サッチャー』が面白かった。 みどころは何よりもメリル・ストリープのそっくりさんぶり! 年末モノマネ紅白なんか目じゃないぐらい、みごとに化けていた。リアルタイムで彼女の映像を見た…