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1%の人々がすべきこと/投機マネーの大崩壊が来る前に

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あらためまして、あけましておめでとうございます。尊敬する人は映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場するDr.エメット・ブラウンのRootportです。SFとか大好きです。できることなら小学生時代に戻りたい!
今年もよろしくお願いします。




      ◆ ◆ ◆




いま、99%の人々が怒っている。
昨年の「ウォール街を占拠せよ」運動は世界中の経済人・政治家を動揺させた。彼らの信奉する金融資本主義を、真っ向から否定したからだ。金融業は貨幣の流動性を高め、企業の設備投資を活発化させ、結果として経済全体を豊かにする――これが金融業の大義名分だった。しかし現実には、投機マネーは社会を豊かにするどころか、人々の生活を圧迫し、不安定にしている。利子によるカネ儲けは実態の伴わない“虚業”であり規制すべき:少なくとも、ウォール街を占拠した99%側の人々はそう考えている。
確かに投機マネーと実態経済の乖離は問題だ。現在、投機目的で取引されるカネの総額は、現実の「モノの売り買い」に使われるカネの20倍とも100倍とも言われている。暴走を防ぐために規制が必要だ――という議論は避けられない。
しかし投機マネーは、ただ規制するだけでいいのだろうか。
このカネを利用して実態経済を膨らませるという議論があってもいいはずだ。





       ◆





金融資本主義には、2つの懐疑の目が向けられている。
1つは、99%の富をわずか1%の人々が独占するという圧倒的な不公平感だ。そうした「上位層」にもぐり込むには、多大な学費が必要になる。実質的に階層が固定化されているのだ。「自由」で「平等」な「民主主義」を信条とするアメリカでは、これは許されざる事態なのだろう。
もう1つは、投機マネーが実体経済に与える影響だ。投機目的で取引されるカネは、石油や食糧の価格を乱高下させ、気まぐれにバブルを崩壊させては莫大な数の失業者を生みだしている。アジア通貨危機の時のように、国家の存亡さえも左右するチカラを持っている。そうした「悲劇」があった時に、わりを食うのは持たざる者たち――つまり若者だ。リーマンショック以降、先進国の若年層では失業が深刻化している。正規雇用につけず、職能を身につけられず、ますます正規雇用につきづらくなる。この失業スパイラルは、もはや日本のフリーターの専売特許ではない。
金融資本主義に対するこうした不満や懐疑が噴出し、人々はウォール街を占拠した。

Occupy Wall Street We're The 99%

Occupy Wall Street We're The 99%

経済政策の目的は、「飢えた人を減らすこと」だ。
政治家や経済評論家は、やれ「GDPが〜」「経済成長率が〜」と専門用語を駆使して話をややこしくする。GDPも経済成長率も、それが私たち一人ひとりを豊かにするものでなければ意味がない。いかにして失業をなくし、働けない人を援助し、民衆を食わせていくのか:これ以外の目的を経済政策は持っていないし、持ってはならない。
金融業を駆使してこの目的を達成した例はある。古くはスイスの銀行がそうだし、最近では1人あたりGDP世界最高のルクセンブルクや、“砂上の楽園”を実現したドバイが当てはまる。
しかし、金融業は「物質的なモノ」を何一つ生み出さない。乱暴な言い方をすれば、あらゆる金融業は貸したカネの利子で儲けているだけで、物質的な豊かさを作るのは他の業界に任せている。私たちヒトが物質的な存在である以上、すべての国・すべての人が金融業で食っていくことはできない。
したがって「失業をなくす」「民衆を飢えさせず、豊かにする」という経済政策の大目標を金融業だけで達成できるのは、ごく限られた国・地域だけだと分かる。人類70億人のうちのほとんどは、それ以外の方法で食っていくことになる。
大部分の人間には、実態経済に根ざした生活がある。
しかし「投機」は一部の人間の気まぐれだ。
それが大部分の人間の暮らしを圧迫するのなら、「悪者」と見なされるのは当然だ。





       ◆





現在の「実態経済と投機マネーとの乖離」は、1971年のニクソンショックが起点だ。金本位制の終焉により、“貨幣”は物質世界のくびきから解放された。地金による裏付けを必要とせず、“貨幣”だけが際限なく膨らみ続けることが可能になった。
それから1985年のプラザ合意による極端な円高進行、バブル経済失われた10年――と日本が世界経済に翻弄される様子は、吉川元忠『マネー敗戦』に詳しい。実体経済の裏側で、投機マネーはひたすら増え続けていた。

マネー敗戦 (文春新書)

マネー敗戦 (文春新書)

さらに1997年、アジア通貨危機が起こる。タイ・バーツを米国ヘッジファンドが売り浴びせたことに端を発する経済的混乱だ。これによりタイや韓国はIMFの介入を受けた。IMFの指導する鬼の財政緊縮により、水道などのインフラが高額になり、質が下がった。
この頃から投機マネーの実体経済に与える影響が無視できなくなる。「ハゲタカ」という言葉が流行し、ヘッジファンド悪者説が流れるようになる。
そして2001年の米国同時多発テロをきっかけに「石油戦争」が始まり、2005年のハリケーン・カトリーナを火口に石油バブルに火がつく。平成生まれのドライバーは信じられないだろうが、かつてカトリーナ以前には、レギュラーガソリンがリッター100円を切る時代があったのだ。
メキシコ湾沿岸はアメリカの代表的な油田地帯だ。が、ハリケーンの接近により産油を休止せざるをえず、さらに精製所なども被害を受けた。もともと中国の需要増により原油価格は上昇傾向だったが、このハリケーンをきっかけに急騰。価格が上がり続けるので「買って・売るだけ」で儲けを出せる状態になった。バブルの誕生だ。世界の総需要よりもはるかに大量の石油が売買されるようになる。
原油価格の高騰は、あらゆる産業のコストアップを意味している。企業はより安い燃料を求め、バイオエタノールの需要が高まった。「バイオ」と言うと得体の知れないもののように感じるが、バイオエタノールの正体は、サトウキビやトウモロコシなどを発酵・蒸留したもの――つまりラム酒やグレーンウイスキーである。呼び名が違うだけで、本質的には同じものだ。つまりバイオエタノール自動車とは、酒で動くクルマのこと。
バイオエタノールの需要増により、原料の穀物の価格が上昇。貧困国では飢餓が深刻化した。もちろん日本も無関係ではなかった。ちょっとマニアックな例をあげれば、アサヒビール『大五郎』やサントリー樹氷』等の甲類焼酎は、南米などで作られた蒸留酒(つまりバイオエタノール)を原料にしている。こうしたお酒の値段がちょっとだけ上がり、日本のお父さんたちのお小遣いを圧迫した。
2008年、秋。リーマンショック
世界中の職業安定所で失業者が長蛇の列を作った。日本ではこの年の六月に秋葉原無差別殺傷事件が起こっており、非正規雇用という不安定な生き方が社会不安・治安悪化の原因になると多くの人が気付いた。年末の“派遣村”の様子は、いまだに私たちの記憶に色濃く残っている。
金融業の生み出す儲けは、貸したカネの利子でしかない。いわば実態のともなわない幻のようなものだ。バブル崩壊は、その幻が消え去っただけだ。実態のともなわない投機マネーのバブルは、いつか必ず弾ける。
その時にわりを食わされるのは「持たざる者」だ。リーマンショックの時に就業機会を逃した世界中の若者たちが、今もまだ職を求めている。



あれから丸三年、世界は「大崩壊」を目前にしている。
ユーロ危機が現実のものになり、ドルすらも信頼されなくなった。財政最悪なはずの日本の円が、唯一の逃げ場と見なされてしまうような状況。なんという体たらくだろう。どうやら、こうしたバブル崩壊は周期的に起こるらしい。実態経済から大きく乖離した投機マネーは、ちょっとしたきっかけで元のサイズに戻ろうとするようだ。
ある人は、これを「資本主義の宿命だ」と言った。今のところ資本主義よりも優れた経済体制はない。したがって投機マネーの収縮はいわば必要悪のようなもので、大事なのは「崩壊」が起こったときに若者や貧困者をきちんとケアすることなのだ、と。もちろん、そうした施策が必須なのは論を待たない。しかし一般的に言って、不況の時には社会保障から順番に削られていくものだ。「大崩壊」という急激な景気悪化の際に、充分なケアを施せるとは思えない。
しかし、それでも「大崩壊」は来る。
投機マネーと実体経済との乖離を放置すれば、強烈な信用収縮がいつか必ず起こる。それが今年なのか20年後なのか分からないだけだ。
世界中の政治家や経済人たちが、「その時」を避けようと必死になっている。穴の空いた飛行船に継ぎ当てをしながら、無理やり飛ばしているようなものだ。本当は、墜落が決まっているにもかかわらず。
重要なのは、この飛行船「投機マネー」号を、うまく着陸させてやることだ。大崩壊の原因は投機マネーと実体経済との「乖離」なのだから、その差を埋めてやればいい。
いわゆる「規制論」は、この飛行船の高度を下げようとする発想だ。投機マネーを放置すれば暴走して自滅し、社会に再起不能なほどのダメージを与える。そうなる前にルールを整備してやろう。ごく当たり前の発想だし、カネの扱いがまったくの野放図でいいとは私も思わない。
しかし、規制論ばかりじゃつまらない
投機マネーの拡大を抑制する発想ばかりではなくて、実体経済の側を膨らませるやり方があってもいいはずだ。飛行船のたとえを使えば、地面のほうを隆起させてやる発想だ。地面の側がずずずっと盛り上がって飛行船に接地する。そういう“着陸”があってもいいんじゃねーの?
「乖離」を埋める方法は、なにも規制だけじゃないと思うのだ。





       ◆





ウォール街を占拠せよ」運動に話を戻そう。
彼らは「1%の人間が99%の富を独占しているのはおかしい」と主張している。
この主張を文字通りに受け止めれば、要するに上位層が所有している資産を俺たちにもよこせ――と言っているように聞こえる。たとえばカネ持ちに課税して、そのカネを社会福祉の拡大などで家計に流してやる。そういう政策を主張しているグループも少なくないようだ。「徴税権」という政府がもともと持っているシステムを利用して、富の再分配を果たそうとしている。
そもそも「1%が99%」の一番の問題点は、上位層の所有する「投機マネー」が実態経済に流出していないことだ。モノに対する投資・消費には使われず、もっぱら「幻」の売買に利用されている。その結果、投機マネーと実態経済との「乖離」が広がり続け、「大崩壊」という時限爆弾を生みだしてしまった。
つまり、「99%の富」が実態経済の側に流出するのなら、どんな方法でもいいのだ。
先述の「徴税→社会福祉→家計」とカネを流す施策は、本質的には「家計部門を通じて投機マネーを消費に向かわせる」施策だ。投機目的で「幻」の売買に使われていたカネが、家計に分配されることで、モノの消費へと回される。
だけどさ。
こんな遠回りをしなくたって、1%の人々が直接「モノに対する投資・消費」を行えばいいんじゃないの?
消費や設備投資に回されたカネは産業を活性化させ、新たな雇用を作り、私たち一人ひとりの消費を拡大させる:つまり社会を豊かにする。(※こう書くと「大量生産・大量消費の賞賛」だと勘違いされそうだけど、たとえば「高くても環境負荷の低い製品を選ぶ」のは、立派な「消費の拡大」だ)富裕層のカネを社会全体へと行き渡らせる方法は、なにも社会福祉だけではない。政府が関わらなくたって、民間部門の設備投資と消費によって達成できる。
現在の投機マネーは、それこそ実体経済の何倍もの規模に膨らんでいる。このカネが実体経済の世界に流れ込めば、どんなことでも実現できる。
では、投機マネーを消費や設備投資へと向かわせるとして、どのようなモノに使えばいいだろう。できるだけ人類全体の利益になる業界で、なおかつカネが掛かり、そして技術的にはいつでも実現可能なレベルに達しているもの――。





宇宙だろ、宇宙!





半分ネタだけど半分は本気だ。
いったいいつまで、私たちはこの小さな惑星に縛られているのだろう。人類文明が始まってから、たったの4000年しか経っていない。私たちがこの先、何万年も地球だけで生きていくとは考えづらい。人類にとって次のステージは間違いなく宇宙だ。※SFとか大好きです!
民間による宇宙開発は、すでに空想の産物ではない。技術的には充分に可能なレベルに達している。たとえば米国スケール・コンポジッツ社の開発した宇宙船「スペースシップ・ワン」は、2004年に民間企業では初めての有人宇宙飛行に成功した。また今年の正月には日本の清水建設が月面メガソーラー構想を発表していた。無線操作の重機を月面に送り込み、月面で取れる素材を利用して巨大なソーラー発電施設を作る。月面では天候に左右されないので、最終的には地球の電力需要をおおむねまかなえるだけの発電量を期待できるはずだ――という夢のある計画。



スケール・コンポジッツ社公式サイト
http://www.scaled.com/



清水建設 月にメガソーラー構想
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120101-00000009-maiall-soci



宇宙開発はホワイトカラーに独占されてきた。JAXANASAに入るのは簡単なことではないし、大学を優秀な成績で卒業した人しか、この業界では働けなかった。しかし大規模な宇宙開発時代が来れば、そうも言っていられなくなる。大量のブルーカラーがいなければ巨大宇宙ステーションや軌道エレベーター月面基地は作れない。遠隔操作の重機を使うにしても、それを操縦する大量の労働者が必要だ。
宇宙産業が充分に活性化すれば、膨大な雇用を創出できるのだ。
先日、このブログのコメント欄で「日本の土建屋の将来について考察してほしい」とのご依頼を頂戴した。たしかに今の日本では、土建屋公共事業の利権で生き延びている「悪者」と見なされているきらいがある。先進的な産業の利ざやをかすめ取っている「お荷物」だ、なんて言葉も耳にする。しかし東日本大震災を経て、評価を変えた人は多いはずだ。地震から数日のうちに崩れた道路をつなぎ、あっという間に瓦礫を撤去し、復興の原動力となった。


日本の土木技術凄すぎワロタwww
http://news020.blog13.fc2.com/blog-entry-1358.html


この技術を支えているのは、日本人労働者の質の高さだ。真面目で勤勉な日本人というセルフイメージを私たちは持っているけれど、事実として諸外国のブルーカラーよりも識字率や資格取得率が高く、職場放棄も少ないらしい。たとえば世界最長の吊り橋・明石海峡大橋は、死亡事故ゼロで完成した。この規模の構造物の施工で事故死者を出さないのは、世界的にかなり珍しいという。このような質の高い労働者でなければ、危険な宇宙開発は務まらない。宇宙時代にこそ、日本のブルーカラーは真価を発揮するはずだ。
宇宙開発はいま、「技術はあるけれどカネがない」という情況におかれている。高度成長の直前のころの日本や中国みたいな状態だ。ここに大量の資本が流れこめば、たぶん私たちが生きているうちに一般人でも月まで行ける。
宇宙開発が本当に雇用を拡大するの? と懐疑的になる人もいるだろう。
しかし、グーテンベルク活版印刷を発明した時に、将来の新聞業界や出版業界の出現を予測できた人がいただろうか。まだ人々の移動手段が馬車だった時代、自動車産業がこれほどまでに大量の雇用を創出するとは、誰も予想できなかったはずだ。SEの人口は増え続けているけれど、電算機が実用化された第二次世界大戦以前に、今のIT業界を想像できた人はいなかった。電子工作のマイコンでピコピコと遊んでいる時代に、現在のビデオゲーム産業を予想した人はいない。
新しい産業は、それが本格化するまでは「夢のような話」に聞こえるものだ。
未来はもうそこまで来ている。影響力のある誰かが「これからは宇宙が儲かるぞ」とつぶやけば、世界の景色は一変するはずだ。たとえばウォーレン・バフェットのような人に、そういう流行を作り出してほしい。「富裕層を増税せよ」なんて下らないリップサービスをする前に、人類の未来を切り開くような分野へと投資し、その業界の発展と雇用を生みだしてほしい。彼らには、その力があるのだから。
宇宙開発は一例にすぎない。代替エネルギー開発や、食糧問題の解決につながるという「植物工場」の実用化など、人類の未来のために必要な産業分野はたくさんある。投機マネーは、放置すればいずれ消えてしまうあぶく銭だ。だったら「大崩壊」が来る前に、そういう産業へと使ってしまったほうがいい。カネの流れが太くなれば実体経済の側が発展し、投機マネーとの乖離が小さくなる。
似たような考え方をする人はいるもので、ちょっと古いけれどこんなレポートもある:


「十二年の沈滞」からの脱却:『社会投資ファンド』で民間投資需要を生み出せ
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/03020004.html
西村清彦氏(現・日銀副総裁)のレポート





       ◆





金融畑の人は、よく「安定志向を捨ててリスクを取れ」という。
けれど、本当にリスクを取ることができないのは金融業界の人間だ。俗に「金融工学」と呼ばれる理論を駆使して、あらゆるリスクを彼らは管理をしている。そこで用いられる数理モデルは現実の縮図でしかなく、たくさんの現象が切り捨てられている。その最たる例は、十数年に一度起こる極端な技術革新・産業革新だ。フォン・ノイマンのような天才が現れる確率、インターネットの実用化が進む確率――そういった確率は、究極の不確定要素として理論の外側に捨て置かれてしまう。学術的な経済学の分野では、そういう技術革新を織り込んだ理論も無いわけじゃない。が、それを金融の実務担当者が利用しているとは考えづらい。
とてつもない産業革新を、金融工学は予想できない。不確定要素だから投資できない。笑ってしまうぐらいリスク回避的ではないか。その臆病が、価格予想のしやすい証券へとカネを集め、投機マネーと実態経済との乖離を招いた。
リスクを取るべきなのは金融業界のほうだ。
数式では記述できない複雑な現実社会へと投資し、実体経済のカネの流れを膨らませるべきだ。モノへの投資は雇用を産み、社会全体の豊かさを底上げする。いわば自主的な再分配だ。それができないのならば、政府部門を通じた強制的な再分配もしかたないだろう。すでに多くの人がトービン税の導入を心待ちにしている。



1929年10月24日「暗黒の木曜日」をきっかけに始まった世界恐慌は、第二次世界大戦の遠因となった。大規模な信用収縮は世界に混乱をもたらす。第三次世界大戦がどのように戦われるかは分からないが、第四次世界大戦の武器は棒きれと石ころになるだろう。
伝家の宝刀「金融工学」は、グーテンベルクの発明を予見できない。フォードの誕生を予想できない。宮本茂の登場を予測できる方程式はない。現場の担当者たちは、1秒後の市場価格を追いかけるのに精一杯だ。それでも「大崩壊」は人類を破滅させる(かも知れない)。
人類の未来のことなんてこれっぽっちも考えていない連中に、人類の運命を左右するような「力」を与えていいの――?
これがウォール街を占拠した人々の真意だろう。



金融業界で働いている人に思い出してもらいたいのは、なぜ自分がこの業界で働くことを選んだのか、だ。
カネをがっつり稼いで、いいクルマいい女をはべらせて、ドンペリ開けながら暮らすため?
早めに引退して、テレビに映る同年代の失業者を「能力のないヤツら」とあざ笑うため?
そんなの、ハリウッド映画なら三流の悪役がすることだ。前半が終わる頃にはヒーローにやっつけられている。そんな目的で金融業界の門を叩く人はいないはず。
金融で、この世界を変えたかったんじゃないの?
カネの持つ圧倒的なチカラで、この世をいい方向へと導く。そういうヒーローになりたかったんじゃないの? 実務に忙殺されて忘れがちかもしれないが、金融業界に憧れていた頃の青臭い気持ちを、どうか忘れないで欲しい。



カネにはチカラがある。夢を現実にするチカラだ。
どうせなら、とびっきりデカい夢に投資しようよ。






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※やっぱ投資は世の中を豊かにするんッスよ、投機ではなく投資。





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