高卒派遣から一部上場企業の本社・経理部に転職した人の話を聞いた。
大学時代の友だちが京都に遊びに来たので、だらだらと飲んでいた。お店はこちら:
奇天屋
http://r.tabelog.com/kyoto/A2602/A260201/26006221/
※日本酒の品ぞろえがすごい、私にとっては天国のようなお店。メニューに載っていないお酒もたくさんある。
この友だちは超大手の人材サービス会社に勤めている。今をときめく若き女性総合職であり、酒豪。肉食系というよりもうわばみ系だ。高給取りのお金持ちなので、私はいつも彼女にタカッている。私が「お酒強いね」と言うたびに、彼女は「はぁ!? そんなことねーし!」と口を尖らせる。この日も「あたしを酒豪キャラにすんじゃねーよ」と言いながら、二合とっくりを一瞬で空にしていた。二軒目のバーではテキーラを飲んでいた。
で、その時に聞いた話:
彼女の会社で経理職員を新しく雇うことになったそうだ。
人材業界では新卒採用を絞る傾向にあるらしい。彼女の会社もご多聞(たぶん)に漏れず、中途採用に力を入れている。とくに経理部などの専門知識が必要な部署では、経験者しか雇わない。
採用面接には最終的に二人の候補が残った。一人は大手製造業で経理を経験してきた30代のベテラン経理マン。もう一人は高卒派遣で中小企業の財務・経理を担当していた20代だ。
この30代はかなりの高スペックだ。泣く子も黙る有名大学を卒業し、小学生でも知っている企業に勤めてきた。一昔前なら引く手あまたの超優良な人材だ。比べて20代派遣はパッとしない。勤めていた中小企業も無名だし、「あたし高卒やからね、仕事をもらわれへんのや」と書いた履歴書の字が震えていたかどうかは分からないけれど、とにかくボーナスなんて都市伝説という世界で生きてきた。
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しかし採用されたのは高卒派遣の20代だった。
知らない人のためにちょっとだけ解説すると、「経理部」は会社のあらゆる数字を扱う部署だ。売上から費用、原価、税金、機械装置の耐用年数から故人への寄付金額まで、すべての数字が経理部に集まってくる。経理部はその数字をもとに、国や証券取引所に提出する書類を作っている。
会社が大きくなれば、それだけ扱う数字の件数も増える。そのため大企業の経理部では分業体制が敷かれている。たとえば原価計算の担当になった人は、売上原価を算出する仕事しかしない。税務担当者は一年中、税金の計算をしている。自分の担当外の仕事をする機会は滅多になく、この30代ベテラン経理マンもそういう職場で働いていた。
一方、この高卒20代は派遣でありながら、ありとあらゆる仕事をさせられていた。銀行との事務手続きから始まり、日常的な会計業務、税金の申告と納付、果ては決算作業にいたるまで、一手に引き受けていたという。ちなみに簿記は二級で、必要にかられて取ったそうだ。いつの時代も中小企業は慢性的な人手不足だ。できる人には何でもやらせるのだ。
かくして彼は、高卒派遣:一歩まちがえればワーキングプアという立場から、超大手企業の本社経理部という花型部署に転がり込んだのである。
まあ、誰だって彼を採用するよね。経験している仕事の幅が広すぎる。
学歴の壁はいまだに分厚く、ひっくり返すのは簡単ではない。彼はかなり特殊な例だし、そもそもメチャクチャ優秀な人なのだろう。たまたま学校の勉強が苦手だっただけで、地頭はすごく賢いはずだ。とはいえ彼の成功談は、「受験に失敗したら人生終了」といった考えが誤りだと勇気づけてくれる。
どうすれば彼のように学歴の差を飛び越えることができるのだろう。彼のどういう行動が成功に繋がったのだろう:チャンスを無駄にしない、与えられた仕事に全力投球する――わりとありふれたコトしか分からない。
ただ、「寄らば大樹」の発想で大手企業の工場に就職しても、転職に有利になる職能は身につかない。キツイ言い方かも知れないが、低学歴な人が大手企業に入っても、中途半端な仕事で飼い殺しにされるだけだ。普通に新卒採用で入社しちゃうと低学歴は絶対に出世できないのだ。お金をもらえるポジションは、高学歴の“優秀な”人たちで席が埋まっている。デタラメすぎる現実だ。
学歴も資格もない人は、中小企業で責任の重い仕事をこなしたほうが将来が開ける。かもしれない。
有名な大学を出ていたからといって優秀だとは限らない。直線定規では曲線を測れないように、単一のモノサシで人間を測るなんてバカげている。くだらない学校教育のせいで「優秀でない」というフザケた烙印を押された人こそ、ベンチャーや中小企業に飛び込むべきなのだ。
やってみなきゃ分かんないコトって多いじゃん。
あなたの本当の「優秀さ」が見つかるかもよ?
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※しっかし、「大卒=優秀」って原始人レベルの発想だよなぁ。。。選民思想っぽくてコワイ。