デマこい!

「デマこいてんじゃねえ!」というブログの移転先です。管理人Rootportのらくがき帳。

他者の作品に感想をつけるときの9ステップ

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【小説作品に感想を付ける際のフローチャート


1.あなたはその作者を好ましく思っているか?
Yes→2.へ進む。
No→あなたはその作品に感想をつけるべきではない。建設的な意見交換など絶対に不可能だから。


2.その作品を読了できたか?
Yes→3.へ進む。
No→「読むのをやめた場所」以上の情報を教える必要はない。「読者が飽きてしまった」という事実が判れば書き手にとっては充分で、それ以上の意見はただのお節介にしかならない。というか「飽きられちゃった」というだけで凹むから、そっとしておいて欲しい。



3.その作品の良いところを5つあげよう。なかでも特によかった点を1つ選ぼう。※この時点では、まだ「感想文」や「批評文」を書きはじめてはいけない。まずはメモ書きからスタートしよう。
□1つ目:(__________)
□2つ目:(__________)
□3つ目:(__________)
□4つ目:(__________)
□5つ目:(__________)
>特によかった点(__________)



4.その作品を通じて作者が何を言いたかったのか考えよう。あるいは、その作品を一言でまとめればどういう作品なのかを考えよう。
>この作品は(__________)ということを主張しようとしている。
>この作品は一言でいえば(__________)というお話だ。



5.前述の4.であげたテーマや内容は、読者であるあなたに充分に伝わっただろうか? 100%中、何%ぐらい伝わったと思うか。
□100%伝わった。
□70〜80%伝わった。
□50%ほど伝わった。
□それ以下



6.作中のどんな文章・言葉・構成から、あなたはテーマや内容を読みとったのか。
□作中に登場する(__________)という言葉を読んだから。
□作品の文章には(__________)という特徴があるから。
□作品の構成が(__________)というカタチを取っているから。
※以上の3つから最低1つは選ぶこと。



7.逆に、あまり伝わらなかった部分にはどんな原因が考えられるか。作中に登場する文言を用いて、できるだけ具体的に指摘すること。
>テーマや内容が汲み取れなかったのは(__________)という原因が考えられる。
※具体的な指摘ができない場合は「よく分からない」と明言すること。この部分を無理にひねり出すとケンカになる。
※また作品の表現方法について論じるべきで、間違っても作者の人間性には言及しないこと。「作者の人生経験が〜」「作者の価値観が〜」という意見は、小説を読むチカラが無い人たちの逃げ道だからだ。


8.上記7.であげた「原因」は、なぜ内容やテーマを伝える際の欠点となるのだろう。たとえば、あなたの敬愛するプロの作家ならば、どういう書き方でそれを伝えるだろう。
>7.が欠点となるのは(__________)という理由があるからで、そのことは比較対象である(__________)をみれば明らか。



9.ここまで来てようやく感想文・批評文をつける準備が整った。「伝わった部分」「伝わらなかった部分」を並べてみよう。総合点として、その作品は「面白い」ものだっただろうか? 批評文を書くとして、主張するべきポイントはなんだろうか? 後はふつうのレポートを書くときと同じように、「主張→理由」の順番で書いていけばよい。論文を書いた経験のない人は、いちど「パラグラフ・ライティング」でググるといいだろう。



※以上の「準備」をしたうえで書けば、どんな人でも建設的な意見交換ができる。大事なのはやっぱり「人は褒められて伸びる」生き物だということだろうな。





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