デマこい!

「デマこいてんじゃねえ!」というブログの移転先です。管理人Rootportのらくがき帳。

普通をやめよう、生きるために

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トム・クルーズオーランド・ブルームキーラ・ナイトレイ。ハリウッドのスターには、学習障害の人が多い。歴史を紐解いてみれば、トーマス・エジソンレオナルド・ダ・ヴィンチアルベルト・アインシュタイン等々……。驚くほどたくさんの偉人たちが、学習障害だったと言われている。いずれも“天才”と呼ばれるタイプの人々だ。
そしてまた一人、歴史に名を残すであろう巨匠が自らの障害を告白した。


スピルバーグ氏、学習障害を告白「映画で救われた」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121003-00000046-asahi-movi


言うまでもなくスピルバーグ監督は天才だ。まず脚本が神懸かり的に面白い、そして映像作りが超絶うまい、さらに早撮り&低予算の制作にも秀でている。まさに映画を作るために生まれてきたような人物だ。13歳のころから8mmカメラをいじるようになり、大学在学中にユニバーサル・スタジオの掃除小屋をオフィスにして居候を始めた。彼の人生そのものが、まるで映画だ。
また同時代を生きる学習障害の偉人として、ジェイミー・オリバーを挙げたい。


Jamie Oliverの食の革命
http://blog.ladolcevita.jp/2010/02/15/jamie_oliver/


彼は1975年生まれ、まだ若い料理人だ。イギリスはごはんの不味さで悪名高いが、とくに学校給食は最悪の一言だった。脂ぎったフライドポテトや素材の分からない合成肉ばかりで、野菜はほとんど使われていなかった。そんな惨状に心を痛めていたジェイミーは、給食の改革運動に着手する。最終的に政府の首脳との会談にこぎつけ、子供たちの食事をより健康的なものに変えることに成功する。彼の活躍を描いたドキュメンタリー番組『Jamie’s School Dinner』は必見だ。



     ◆



なぜ著名人には、学習障害を持った人が多いのだろう。学習障害をもたらす脳の変化が、なにか天才的な能力のスイッチを入れるのだろうか。
そうではないと私は思う。なぜなら学習障害だからといって必ず成功を収められるわけではないし、むしろハンディキャップに苦しんでいる人のほうが多い。そして天才と呼ばれる人が、必ず学習障害を持っているわけでもない。たまたま著名人のなかにそういう障害を持つ人が目立つだけだ。相関はあるかもしれないが、直接的な因果関係はないだろう。
人は誰もが、何かの“才能”を持っている。
月並みな言葉だが、何かしらの得意なモノを持っている。障害の有無とは関係ない。熟練するのに必要なコストが他の人よりも低くて済む分野を持っているはずだ。そういう特別な分野のことを、才能と呼ぶ。しかし、その分野がどこなのか本人には分からない。周囲の人にも見抜けない。だから、ほとんどの人は自分の才能に気づく前に人生が終わってしまう。
また人はリスク回避的な生き物だ。人と違うことをして失敗するよりも、周囲の人々と同じことをしようとする。“ふつう”の生き方をしていれば、大成功は無いかもしれないが、大きく失敗することもなさそうだ。だから、みんな“ふつう”の生き方を選ぼうとする。リスクから逃げようとするあまり、才能を探す努力を放棄してしまう。
ところがスピルバーグやジェイミー・オリバーは、“ふつう”の生き方ができなかった。
たとえばジェイミーの場合、8歳のころからパブを営む両親の手伝いをしており、16歳で学校をやめて料理の専門学校へ、その後フランスで修業を積んでいる。日本料理への造詣も深い。人生のかなり早い段階で自分の生き方を決めているのだと推察できる。
またスピルバーグの場合も、17歳の時にユニバーサル・スタジオを初めて訪れ、厚かましくも人脈づくりに励んでいる。そして18歳からはカリフォルニア大学のロングビーチ校で映画を専攻、しかし仕事が忙しくなったため、結局、卒業は断念した。彼の場合も、早いうちから自分の才能を信じて、進むべき道を決めている。
彼らが成功を収めたのは、早い段階から自分の才能を磨いてきたからだ。逆にいえば、早いうちから“ふつう”の生き方を(ある意味で)あきらめていたからだ。その選択に“学校の勉強が苦手だったこと”が影響していないとは思えない。




いま、世界は“ふつう”の人が生きづらい時代へと向かっている。
あらゆる単純作業が機械に置き換えられ、人間の仕事が恐ろしい速さで減っている。創造的な活動だけを残して、人のすべきことは無くなりつつある。当たり前のことを当たり前にできるだけでは、とても生きていけない時代がやってくる。それが100年以上先なのか、それとも20年もかからないのかは判らない。しかし、遅かれ早かれ“ふつう”の人の居場所は無くなる。
障害を乗り越えた人々の活躍は、そんな時代を生きる私たちに勇気をくれる。「あなたは普通だね」と言われるのは、ほんとうはとても怖いことだ。今の時代、「普通の人」って最悪の蔑称だ。「ちょっと変な人」と呼ばれるぐらいでちょうどいいのだ。
普通をやめよう、生きるために。





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※今回の記事は、学習障害等を持たない人に向けて書きました。そのため、実際にそういう障害を持っている方やそのご家族に対しての配慮を欠いた内容になってしまっているかもしれません。万が一そうであれば、心よりお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。





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