突然だが、私はシングルモルトが好きだ。今回は初心者のためのシングルモルト・リストを作ってみたい。
※シングルモルトって?
ウイスキーのなかでも、スコットランドの蒸留所で作られ、それぞれの蒸留所で瓶詰めされている製品のこと。日本酒の地酒が酒蔵ごとに味が違うように、シングルモルトは蒸留所ごとに豊かな個性を持っている。そういう個性の違いを楽しむのがシングルモルトの飲み方。だと思う。
ちなみに日本産のウイスキーにも単一の蒸留所で瓶詰めされているものがあり、それらもシングルモルトと呼ばれている。
1.基準となる“味”を知る
適当なハイボールをがぶ飲みしても、シングルモルトは充分に楽しめる。けれど、もっと深く嗜みたいのなら蒸留所ごとの味の違い・個性の違いに目を(舌を?)向けたい。個性を知るためには、まず“基準点”になる味を知っておくといいだろう。
そこでオススメなのが、次の二つだ。
ザ・グレンリベット 12年 700ml シングルモルトスコッチウイスキー ギフト箱入り スコットランド
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- 発売日: 2014/04/08
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グレンフィディック12年 700ml シングルモルト ウイスキー
- 出版社/メーカー: グレンフィディック
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※飲み方は?
最近ではハイボールが大流行しているけれど、あれはサントリーの陰謀だ。ソーダで割るという飲み方はどんなウイスキーにも適しているわけではなく、ときには個性を殺してしまいかねない。またオン・ザ・ロックも、じつはおすすめできる場合とできない場合がある。豊かな香りはシングルモルトの魅力の一つだが、冷やすと香りが閉じてしまう(場合がある)のだ。
個性の違いを知りたいのなら、まずはストレートで試したい。アルコール度数が強すぎるという人は、常温の水で倍に薄める“ツワイス・アップ”という飲み方がオススメ。なお私の場合はとりあえずストレートで注文して、少しずつチェイサーの水を加えながら味の変化を楽しんでいる。※あんまお行儀のいい飲み方じゃないかも。
2.スペイサイド
スコットランドの北東、スペイ川に沿って蒸留所のひしめく地域がある。“スペイサイド”と呼ばれるこの地域はスコッチウイスキーの一大産地になっており、日本酒でいう伏見や灘のような場所だ。上述のグレンリベット、グレンフィディックのどちらもスペイサイドの蒸留所だ。
この地域には魅力的な蒸留所が多すぎて、「絶対に飲んでおくべき一本」を選ぶのが難しい。ていうかスコッチ党としてはどんな地域のどんなウイスキーだろうと絶対に飲んでおくべきなんだよっ!と叫ばずにはいられない。絞り込むこと自体が不毛なのだが、それでも初心者向けにおすすめするなら、こちら:
シングルモルト ウイスキー ザ マッカラン 12年 700ml
- 出版社/メーカー: サントリー
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※シェリー樽って?
ウイスキーの茶色い色は、熟成中に樽からしみ出した木の成分だ。スコッチウイスキーの場合、おおむね2種類の樽が使われている。
1つはシェリー樽:シェリー酒はスペイン特産のワインの一種だが、その古樽には芳醇な香りがしみ込んでいる。その香りに目をつけたスコットランドの人々は、シェリーの中古樽を輸入し、ウイスキーづくりに再利用するようになった。シェリー樽で熟成されたウイスキーは色合いが濃くなり、独特の甘い香りが付く。
もう一つはバーボン樽:バーボンはアメリカで作られるトウモロコシを主な原料としたウイスキーで、内側を焦がしたオーク樽で熟成される。この古樽にはバニラのような軽やかな香りがしみ込んでおり、やはりスコットランドで再利用されている。
ちなみに私はシェリー樽を使わないタイプのウイスキーのほうが好きだったりする。
3.ハイランド
スコットランドの北部のことを総称して“ハイランド”と呼ぶ。ハイランド地域のウイスキーは軽やかで飲みやすい味わいを特徴としている。
グレンモーレンジィ オリジナル 10年 700ml 40度 箱付
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- 価格: 3,238円
- 出版社/メーカー: 国分
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※ポットスチルって?
スコッチウイスキーの蒸留装置のこと。銅で作られており、丸っこい外見がとても可愛い。
※カスクって?
ウイスキーは蒸留所ごとに個性が違うが、より根本的には樽ごとに味が違う。それら樽の一つひとつのことを“カスク”と呼ぶ。各蒸留所には“ブレンダ―”という職人がいて、複数のカスクから原酒を調合し、その蒸留所の製品の味を決めている。
4.ローランド
スコットランドの南部のことをローランドと呼ぶ。首都・エディンバラがあるのもローランドだ。蒸留所のひしめくハイランドやスペイサイドに比べて、ローランド産のシングルモルトは日本人にはなじみが浅い。が、決してウイスキー造りが下火なわけではなく、重要な蒸留所がいくつかある。なかでも絶対に押さえておきたいのが、こちら:
シングルモルト ウイスキー オーヘントッシャン 12年 700ml
- 出版社/メーカー: サントリー
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5.キャンベルタウン
スコットランド西部の小さな町。現在では2つの蒸留所しか残っていないが、1900年代初頭には30を超える蒸留所がひしめており、ウイスキー造りの中心地となっていた。
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※ピート香って?
スコッチウイスキーを特徴づける香りの一つで、日本人からは「正露丸みたいなにおい」と言われることが多い。この香りがウイスキーの口当たりを爽やかにしている。ピートとは泥炭(でいたん)のことだ。
泥炭とは、泥状になった石炭だ。スコットランドでは裏庭を掘り返せば採れるほどありふれた燃料で、古くから利用されていた。スコッチウイスキーは原料の一部に麦芽――つまり発芽させた麦を使っており、熱を加えて芽の成長を止めるという工程がある。その際、泥炭を焚いた煙で過熱すると、ピートのスパイシーな香りがつく。
なおピートを使っていない蒸留所もあり、たとえば前述のトマーチンはノン・ピーテッドのシングルモルトの代表格だ。しかし仕込みに使っている湧水にすでにピートの成分が含まれているため、遠くのほうにピート香を感じられる。
6.アイラ
アイラ島はスコットランド西部に浮かぶ、淡路島よりも一回り大きい島だ。たくさんの蒸留所があり、どこも非常に個性の強い製品を送り出している。
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7.アイランズ
アイラ島だけでなく、スコットランドの島々には蒸留所が点在している。それらを総称してアイランズ・モルトと呼ぶ。代表的なものとして以下の三つを挙げよう。
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◆ ◆ ◆
簡単に紹介するつもりが、ずいぶん長くなってしまった。これでもずいぶん端折っているし、ガチなスコッチファンの方からはお叱りを受けそうなぐらい噛み砕いている。すぐには語り尽くすことのできない奥深さもスコッチウイスキーの――とくにシングルモルトの魅力だ。
イ.シングルモルトは個性を楽しむもの
ロ.生産地は6つの地域に大別でき、それぞれ味に特徴がある。
ハ.6つの地域は次の通り:
・スペイサイド
・ハイランド
・ローランド
・キャンベルタウン
・アイラ
・アイランズ
だいたいこの辺りのことを押さえておけば、シングルモルトをすんなりと楽しめるようになるだろう。
最後に、私がいつも自室に置いている2本のウイスキーを紹介して、この記事を終わりたい。
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食後や就寝前のリラックスタイムに、こいつらをノージング・グラスに注いでちびちびと舐めている。正反対の味わいを持つ2本だが、気分にあわせて飲みたいほうを選んでいる。
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【お知らせ(2)】このブログが本になりました。
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