海外で仕事をするときに、真っ先に必要な語学力ってなんだろう。
自分の意思を伝えるためのスピーキング能力だろうか、書類を読みこなすためのリーディング能力だろうか。これは英語圏に限った話ではない。海外に移住して働く場合から、出張ベースで業務をこなす場合、そして日本にいながら電話等を介して仕事をする場合まで、いずれの場合でも、まずはリスニング・スキルが必要だと私は思う。
海外で(と)仕事をしている友人・知人は、みんなリスニング・スキルが抜きん出ている。スピーキングやリーディング、ライティングが人並みだとしても、リスニング・スキルだけはずば抜けている。世界を相手に仕事をする場合、まずは「聞く力」が重要らしい。
※なお私の語学力については、えっと、その、触れないでください……。
そもそもコミュニケーションの基本は「聞くこと」だ。相手が何を求めているのかを見抜くことだ。会話では「9聞いて1だけ話しなさい」と、中学生のころに読んだ『初デート完全攻略マニュアル』的な本にも書いてあった。求められてもいないのに飲み会の席で説教を始めたり、返事もないのに留守番電話をかけ続けたり……自分の言葉を押し付けるばかりでは、人間関係はうまくいかない。そもそも名文句で人の心をつかむのは簡単ではないし、演説ならまだしも日常会話では必要ない。だから「自分の意見を言う能力」は――スピーキングの能力は後回しでもいい。
逆にいえば、「自分の話を聞いてもらうと喜ぶ」という習性がヒトにはあるのだ。であれば、それを利用しない手はない。相手の言葉に耳を傾けて、ふむふむと機械的に相槌を返していく……案外それだけでも人の心をつかめるものだ。言葉や文化が違っても、この部分は人間だれしも同じなのだ。だからこそリスニング・スキルは重要だ。
それにリスニングができれば、大抵のことはできる。
読めない文章があれば、訊けばいい。書いた文章に不安があれば、正しい言葉づかいを訊けばいい。普段から相手の話をよく聴いていれば、良好な関係ができあがっているはずだ。すると、いざ自分の意見をうまく伝えられないときにも「こういうことが言いたいのですか?」と相手から助け舟を出してもらえる。たとえばスピーキングだけが得意な人は、自分の要求を突きつけることしかできない。相手の反応をうまく聞き取れなければ良好な関係など望めないし、仕事にならないのだ。
「リスニングさえできれば他の能力はいらない」と言いたいのではない。ほかの能力を伸ばす場合にも、リスニングの力が入口になると言いたいのだ。まず最初に身に着ける能力として、どんな力が必要になるのかを考えている。
先日、アメリカとイギリスで合わせて15年も働いている方とお話する機会があった。スピーキングにせよリスニングにせよ、私の英語力はその人の足元にもおよばない。が、その人の話す英語は典型的な日本訛りのEngrishだった。しかしそれでもリスニングは完璧で、早口なネイティブの言葉にごく普通に対応していた。だから15年も働き続けることができたのだ。
「英語力を伸ばすために、なにか特別なトレーニングはしましたか」と訊いてみた。
「なんにもしてないよ」とのお答えだった。「しいて言えば、中学3年生のころに1年だけマンツーマンの英会話教室に通っていた。それが今の英語力の源流になっているかも」
マンツーマンでは、自分から英語を使わざるをえない。おかげ英語を使うことに対する抵抗感がなくなり、長期間の国外生活にも適応できるようになったという。
たとえば文法の違いや、発音の違い:
「日本人はなぜ英語が苦手なのか」という疑問に対して、日本語と英語の語学上の差異がしばしば指摘される。しかし、こういう差異が問題になるのは、英語学習に対してすでに高いモチベーションを持っている人だ。そうでない圧倒的多数の人――日本で暮らすなら英語なんていらないとうそぶく人――が英語を苦手としているのは、そもそも英語を使う機会が少ないからだ。
京都で暮らし始めたばかりのころ、ファーストフード店で働く高校生が英語で接客していることに驚かされた。外国人観光客が多いから、最低限の英会話は自然と身についてしまうのだろう。東京でも、たとえば六本木のような外国人の多い地域ならば当たり前なのかもしれない。が、少なくとも私の地元の立川では考えられない光景だった。
つまり高校時代の私の英語の成績が壊滅的だったのは環境のせいであって、私自身には何の責任もないのだ。
今日の「わかった」
・英語力を伸ばしたいのなら、まずは英語を使う環境に身を置くこと。
・そして外国語で仕事をするのなら、まずはリスニングの力を身に着けること。
※参考
スピードラーニング[English Only]で更なる英語力アップ−わかったブログ
http://www.wakatta-blog.com/english_only.html
※こちらのブログすごいです。内容の丁寧さ、的確さがハンパじゃないです。いつも楽しく拝読しています。
ほとんどの国民が英語を話せるフィンランド。その秘密を聞いてきた!
http://getnews.jp/archives/234261
※英語の番組を浴びるように見るのも1つの手かも……?
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※大前提として、仕事をするには良好な人間関係が必要不可欠だという考え方を私は持っています。たしかに世の中には、人間関係なんて必要ない仕事も存在しています。が、ここではそういう仕事は考慮していませんし、今回の記事はこの前提に納得できる人だけに向けて書いています。
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