女の子の物語では「魔法が解ける」というモチーフが重要になりがちだと、私は以前から考えていた。もう少し一般化して「越えたら戻れない点を越える」と言ってもいいだろう。そういえば『オペラ座の怪人』にはPoint of No Returnという劇中歌があった。
で、現在放映中の少女マンガ原作のアニメ『となりの怪物くん』にも、よく似たモチーフが登場していた。
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となりの怪物くん特設ページ‐ニコニコ動画
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第2話の終盤、主人公・しずくは昼休み後の屋上で、生まれて初めて授業をサボる。そして、そのまま相手役の男・ハルに告白する。このときの感情の流れはごく自然に演出されていて、見ている側はすんなりと感情移入できる。しずくマジ可愛い。
でも考えてみるとちょっと不思議だ。屋上で授業をサボっても、必ずしも女の子が恋に落ちるわけではない。授業をサボることと告白することの間に、直接的な関係はない。ではなぜ、しずくは告白したのか。なぜ私たち視聴者はしずくの告白に自然に感情移入できたのか。
言うまでもなく、授業をサボることでしずくの呪縛が解けたからだ。彼女の抱えていた「勉強しなくちゃ」という強迫観念(=物語的には魔法の一種?)が解けて、自分の気持ちを縛らなくてもよくなった。自分の恋愛感情に素直になれるようになった。……つまり魔法が解けて、越えたら戻れない点を越境して、しずくは告白したのだ。
「授業中の屋上」は“越境”に向いている場所なのだろう。たとえば「夜」とか「雨の日」のように、向こう側とこちら側がつながってしまう場所。日常のなかの非日常の場所。魔法が、解けやすい場所。「屋上」はそういう場所なのだ。空に近い「屋上」という場所には、たぶん高揚感があるのだ。学校の屋上に出たときの胸の高鳴りは、恋をしているときのそれに似ている。空の青さを知って、しずくの呪縛の最後の一枚が剥がれ落ちる。
しずくのなかで恋愛感情が芽生える過程は、第1話ですでに描かれていた。ラブコメなら「男女が出会ってお互いに(ちょっと気になるかも)と思う」ところまで、とにかく早い段階で持って行ったほうがいい、らしい。『怪物くん』の場合は、ちゅーするところまで第1話で終わらせていた。おぉ、駆け足だな!って思った。
駆け足なのは当然で、第2話でしずくに告白(の返事)をさせるところまで持って行くためだ。このあとは典型的な「カップルもの」になるのかな? 続きが楽しみ。
第1話でしずくに恋愛感情を芽生えさせて、第2話で彼女の呪縛が解けていくところを描く。とくに、脇役たちがすごく大事な役回りをしている。他者からの刺激で、しずくは「自分らしくないこと」をせざるをえなくなる。そういう「らしくない行動」の一つひとつが、しずくの呪縛をゆるめていく。
そうやって魔法を緩ませていって、最後に屋上という越境しがちな場所に連れていく。授業をサボるという、呪縛を解くための最後の儀式がなされる。しずくは自分自身を縛っていたものから自由になって、ハルに素直に気持ちを伝えることができたのだ。
と、まあ、長々と書いてきたけれど結局なにが言いたいかというと戸松遥(※声優)の演じるツンデレキャラは最高です、カワイくない演技が最っ高に可愛いですってことですブヒィィイイブッブッブヒィィィイイ!!!
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平常運転ですなんかすんません……。
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※つーか、ハッキリ言って、ここ一年ぐらいツンデレが足りなかったんだよツンデレが。こういうのがいいんだよ、わっかんないかなー?