2016-01-01から1年間の記事一覧
──────────▼最初から読む▼前回▼次回────────── ▼夕刻、西岸港の広場──。かがり火 パチ…パチ… ワイワイ… ガヤガヤ…黒エルフ「すごい人出ね」女騎士「ここにいるのはみんな船乗りか。探せば腕のいい航海士も見つかりそうだ」黒エルフ「そうね。でも、まず用事を済ませ…
──────────▼最初から読む▼前回▼次回────────── ▼西岸港、執務室──。財務大臣「…というわけだ。申し訳ないが、頼まれてくれるか?」家臣「もちろんです。大臣さまの命ならば、火の海にも涼しい顔で飛び込みましょう」財務大臣「ふふふ、じつに頼もしい。では…
魔国で囚われの身になった女騎士。オークから経理の知識を教わった彼女は、人間国の小さな銀行で働き始めるのだった──。 ────────── ▼最初から読む▼前回:第6話▼次回 ▽プロローグ▽第1話「フライド・コカトリス」▽第2話「ガバメント・オブリゲーション」▽…
// 学校の歴史の授業がつまらないのは、2つの理由がある。 第一に、事実の羅列に終始しがちなこと。その時代を生きた人々のドラマを感じることはできないし、「人間社会はどのような仕組みで動くのか」という体系的なメカニズムを学ぶこともできない。 第二…
// 日本においては、結婚が遅くなったことが少子化に大きな影響を与えている。そして、結婚が遅くなった理由は「ライフスタイルが多様化したから」と説明されることがある。 論理的には、この命題は正しい。 しかし、少子化を解決するうえでは何の役にも立た…
// 社畜のみなさん、お疲れさま。 今日のあなたの労働時間は何時間だっただろう? ある人は定時退社をキメたことを誇るかもしれない。またある人は、長時間労働を自慢げに語るかもしれない。私たちは、勤勉は美徳だと教え込まれて育つ。身を削って働いていれ…
// 『ファインディング・ニモ』は、脚本の教科書に必ず登場する映画の1つだ。安心・安定のディズニー&ピクサー映画。現代的な「お話作り」の基本がすべて詰め込まれているような作品だ。映画としても文句なしで面白いので、お話を書くことが好きな人は観て…
// 1944年7月、アメリカ・ニューハンプシャー州ブレトン・ウッズに連合国の代表が集まり、第二次大戦後の世界について議論した。米ドルが国際的な基軸通貨に選ばれたのはこの時だ。当時、偉大なる経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、米ドルではなく、…
今さらながらクリス・アンダーソン『ロングテール』を読んだ。正直なところ、あまり目新しさは感じなかった。内容が陳腐だからではない、本書の予言がほぼ的中したからだ。小売業界にとってAmazonの登場がいかに革新的だったか。そして、業界をどのように変…
// イラストレーターたちの間では、作業工程を公開しあう文化があるらしい。 アマチュア同士はもちろん、プロの「神絵師」がノウハウを伝授してくれる場合もある。こういう協力・共創の関係が、日本の豊かな二次元イラスト文化の源泉かもしれない。 mazikano…
// 議論をしていて、「あれ?」と感じることはないだろうか。 たとえば「A説があるから、B説は間違いだ」と主張する人がいる。ところが、A説のどのような点がB説よりも優れているのか説明しようとしないし、そもそもA説とB説が同時に成立する可能性も…
// なぜか科学と道徳は混同されがちだ。 先日、Facebookで「ごはんにありがとうと言う実験」がシェアされてきた。密閉容器2つにごはんを入れて、片方には毎日「ありがとう」と声をかけたそうだ。声をかけなかったごはんはドロドロに腐敗したが、声をかけたご…
私は映画の感想を書き溜める習慣がある。 その中から、今回は5本の映画の感想をブログに転載したい。 『北北西に進路を取れ』 『リーサル・ウェポン』 『ビバリーヒルズ・コップ』 『クリムゾンタイド』 『ボーン・スプレマシー』 以上の5本だ。 北北西に進…
コミックス『女騎士、経理になる。』第2巻、 ノベルス『女騎士、経理になる。』第1巻、 2016年6月24日(金)、同時発売です! 発売にともない、一部書店さまでは購入特典がもらえるフェアを実施! さらにトークイベント&サイン会も開催します! ※なお、最新情…
先日、『アナ雪』を観た。 びっくりするほど面白かった。 白状すれば、あまり期待していなかったのだ。というのも、飲み友達の野郎どもがディスりまくっていたからだ。本当、いい意味で裏切られた。まあ、あの男どもが『アナ雪』をディスりつつ『ベイマック…
// 面白いお話を作るには、「心の理論」に精通している必要があるのではないかと最近よく考える。生得的なものであれ、後天的なものであれ、他人の外観から内面を推測する能力に優れていないと、お話作りは難しい。そういう能力をただ持っているだけでなく、…
// 世の中には、人手不足と低賃金が両立してしまう分野がある。介護や警備、海運などだ。 なぜ労働の供給が足りないのに価格(=賃金)が上がらないかといえば、労働市場は「自由な市場」ではなく、需要と供給による価格調整のメカニズムが働かないからだ。…
ヒトに「本能」はあるのだろうか? たとえば「浮気は男の本能だ、だから浮気は許される」と主張する人がいる。たしかに、男性のほうが女性よりも浮気性な傾向があることは実験により確かめられている[1]。 だが、この主張は2つの点で間違っている。 まず第一…
新入社員研修のときの話だ。 「わが社には、産休・育休制度があります。社内規定としては、男性も取得可能ということになっています」 40代の人事担当者は、淡々とした口調で言った。 「でも、みなさん。取らないでくださいね?」 当時、まだTwitterが普及し…
// この画像はネット上に出回っているもので、第二次大戦前の世界地図だとされている。日本とタイ以外の地域はすべて欧米の植民地であり、日本が植民地化されるのも時間の問題だった。だから、日本は反撃に出るしかなかった──。この画像には、しばしばそんな…
// 『エリン・ブロコヴィッチ』を観た。 もしもあなたがこの映画について何も知らないなら、おめでとう! 今すぐブラウザを閉じてTSUTAYAへダッシュだ! あらすじも調べなくていいからとにかく黙って観ろ級の傑作。130分の上映時間があっという間だった。 エ…
// ニコニコ動画に投稿されている「17,000ヘクスの地球の歴史」というシリーズがとても面白い。 『Civilization』シリーズは、天才的ゲームデザイナーのシド・マイヤーが生み出した戦略シミュレーションゲームだ。プレイヤーは様々な文明の指導者となって、…
// 進化心理学は既存の文系学問の枠組みをぶっ壊すものだったので、様々な方面から批判を受けた。当然である。「イデオロギーが……ウフフ」とか「○○主義が……オホホ」とか語り合っているインテリ集団に、「生殖だーッ!」と叫びながら半裸で飛び込んできた蛮族…
2009年のスペイン映画『アレクサンドリア』を観た。ローマ帝国の衰退期に活躍した女性天文学者ヒュパティアの物語。地動説を研究していた彼女は、最終的にキリスト教徒によって処刑されてしまう。古代ギリシャに端を発する優れた知識・哲学の数々が、キリス…
イケメンたちのあごが尖っている。 いわゆる『乙女ゲー』と呼ばれる女性向けゲームでは、男性キャラクターの輪郭が──とくに「あご」が尖って描かれがちだ。これはなぜだろう? もちろん二次元イラストには流行廃りはある。『ベルサイユのばら』の登場人物た…
先日、ニコニコ動画で『ドリームクラブ』というゲームの実況動画を見た。 このゲームの存在自体は以前から知っていたが、あらためて驚かされた。 何に? ムッチリしたキャラクターデザインに、である。 手足はわりと短めで、胴体は太めに描かれている。少女…
// 歴史をふり返るとき、私たちはイデオロギーや思想、主義・主張が世界を変えたと考えがちだ。ところが、心理学の研究が進むにつれて、私たちの考え方や行動には生まれながらの一定のパターンがあると分かってきた。 こうなると、疑問が湧いてくる。 思想や…
// なぜ男は若い女を好むのだろう? それは、男がクソだから──。 と、言ってしまってはおしまいなので、もう少し深く考えてみたい。 俗説では「男が若い女を好むのは、若さが生殖能力の高さを示すからだ」とよく言われる。進化心理学者デビッド・M・バスも、…
先日、ひさしぶりに『ワイルドスピード』の第1作を見た。正直、目を疑うほど驚いた。ハリウッドのお約束からすれば、わりと滅茶苦茶な脚本だ。なのに、しっかり面白い。初めて見た高校生のころは分からなかったけれど、この映画の脚本は研究する価値がありそ…
// わりと新しいオタク用語に「バブみ」という言葉がある。 二次元美少女に対して「母親になってほしい」と感じる感情のこと、らしい。 Twitterを開くと、いい歳した男性たちが、自分よりもはるかに年下(という設定)のキャラクターに向かって「ママー!マ…