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EDH青黒感染デッキ《夜まといのヴェラ/Vela the Night-Clad》

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突然だが、私はMagic: the Gatheringが好きだ。ボードゲームは私の趣味の一つだが、中学生時代にマジックにハマったことがすべての発端だった。何度かの卒業・中断期間を経て、社会人になったいまでも細々と遊んでいる。

Magic: the Gatheringとは?
1993年に米国のWizards of the Coast社が発売した世界でいちばん面白いゲーム。世界初のトレーディング・カード・ゲームであり、将棋やチェスにもなぞらえられる戦略・戦術の奥深さが魅力だ。
将棋やチェスではプレイヤーは軍師となって駒を動かすが、Magic: the Gatheringの世界ではプレイヤーは魔法使いとなって、カードの一枚一枚に描かれた“呪文”を唱えて対戦相手を倒す――という設定になっている。
プレイヤーはそれぞれ自分の好きなカードを40枚〜60枚組み合わせた“デッキ”を持ち寄り、それを自分専用の“図書館”として扱う。各カードは、図書館に収蔵された呪文書をイメージしているのだ。どれだけ独創的で強力な“デッキ”を作れるかどうかも、このゲームの面白さの一つだ。
20年近い歴史のなかで数万種類のカードが刷られており、なかには希少価値が非常に高いものも存在する。カードイラストの美麗さも魅力の一つで、コレクター趣味の人からの需要もあるため、人気イラストレーターが描いたカードは価格が高騰しがちだ。(※Rebecca GuayとかJohn Avonとか)
詳しい遊び方は、実際に遊んでいる人から直接教わるといいよ!



こんな(↓)まとめ記事を見かけたので、たまにはMagic: the Gatheringについて書いてみる。




MTGマジック・ザ・ギャザリングってなんで流行らないの? アルファルファモザイク
http://alfalfalfa.com/archives/6034123.html




今回は、一般人&初心者お断りのめちゃくちゃマニアックな遊び方について書く。
私の友人たちの間でいちばん親しまれている“EDH”というフォーマットについてだ。
※(え? EDHのどこがマニアックなの?)と思ったそこのあなた! あなたはすでに取り返しがつかないほどMagicに染まり切った生活をしています。世間一般ではMagic: the Gatheringというゲームを知っている人のほうが(たぶん)少ないのです。EDHを“常識”だと感じてしまうのは、もはや手の施しようのない“Magic脳”の症状ですがじつは私も罹患しています。





◆ EDHとは?
エルダー・ドラゴン・ハイランダーの略で、もともとは草の根のプレイヤーたちが考え出したカジュアルなフォーマットの一つだった。現在ではWizards社から“統率者戦(Commander)”という遊び方が紹介されているが、ルールはほぼ同じ。


【1】4人対戦で、ライフは40点から始まる。
【2】デッキは100枚(※99枚+“ジェネラル・カード” 1枚)で構築し、基本土地以外のカードは1枚ずつしか入れられない。禁止カードは何枚かあるものの、いままで発売されたすべてのセットのカードが使用できる。
【3】“ジェネラル・カード”とは、デッキでいちばん重要な“伝説のクリーチャー”のこと。まず好きな伝説クリーチャーを一枚選び、それを“ジェネラル”に指定する。Generalとは“将官”という意味だ。デッキには、ジェネラルと違う色のマナ・シンボルが描かれたカードを入れられない。
(※たとえば《オリヴィア・ヴォルダーレン/Olivia Voldaren》をジェネラルに指定した場合、赤・黒・無色のカードのみでデッキを構築することになる。この場合《ラクドスの魔鍵/Rakdos Keyrune》はデッキに入れられるが、《ゴルガリの魔鍵/Golgari Keyrune》は入れられない。《ゴルガリ〜》に印刷されている緑のマナ・シンボルを、《オリヴィア〜》は持っていないからだ。また、《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace》は入れることができる。「プロテクション(白)」と書かれているものの、マナ・シンボルは印刷されていないからだ)
【4】“ジェネラル・カード”はゲーム開始時には机の真ん中(※ジェネラル領域と呼ぶ)に公開しておく。各プレイヤーは自分のジェネラル・カードを、手札にあるかのように唱えることができる。ジェネラル・カードが墓地もしくは追放領域におかれる場合、あなたはそれをジェネラル領域に戻すことを選んでもよい。(※つまりジェネラルに指定した伝説クリーチャーは破壊されても何度でも唱えなおすことができる)ただし、一度唱えなおすたびに2マナずつ追加コストが発生する。
(※先述の《オリヴィア・ヴォルダーレン》の場合なら、初めて唱えるときは(2)(黒)(赤)、二度目には(4)(黒)(赤)、三度目には(6)(黒)(赤)のコストが必要になる)
【5】ライフがゼロになる、カードが引けない、毒カウンターが10個たまる等の通常の敗北条件のほかに、“ジェネラル・ダメージによる敗北”というルールがある:一体のジェネラル・カードから21点以上の戦闘ダメージを受けたプレイヤーは敗北する。このジェネラル・ダメージはライフと関係なく累積し、回復することができない。
【6】敗北したプレイヤーのカードはゲームから取り除かれる。たとえば《袖の下/Bribery》でコントロールを奪った対戦相手のクリーチャーは、その対戦相手が敗北した場合ゲームから取り除かれる。



この他にもマリガンのやり方など細かな追加ルールは残っている。が、それらを列挙しても退屈なだけだろう。
EDHのゲームとしての特徴は、まず勝敗が決まりづらく長引きがちなこと、4人対戦から生じる政治的な戦略が重要になること、そして末永く遊べること等があげられる。
開始時のライフが40点あるため、これをゼロにするのは簡単ではない。したがって一度のゲームが1時間を超えることも珍しくない。普通のゲームなら4/4のクリーチャーはフィニッシャーになるほどの脅威だが、EDHでは“小粒”のクリーチャーになってしまう。10点以上のクロックを準備するまでは、ゲームを終わらせられないのだ。
また、いままでに印刷されたすべてのカードが使えるというルールによって、ゲームの内容はド派手でダイナミックになる。同じカードが1枚しか入れられないとはいえ、各時代の“最強カード”を1枚ずつ集めたような状態になるからだ。たとえば他のフォーマットでは重すぎて非現実的だった《血なまぐさい結合/Sanguine Bond》+《極上の血/Exquisite Blood》の無限コンボも、EDHでは現実的だ。1枚ずつのカードではコンボなんて不可能? そう思う人は、今まで印刷されてきた黒のサーチカードの枚数を思い出してみるといい。
またゲームが簡単に終わらないという性質から、コンボ祭りになりがち。これは悪い特徴かもしれない。
たとえば……
《欠片の双子/Splinter Twin》《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》
《大地の知識/Earthcraft》《リスの巣/Squirrel Nest》
《目覚ましヒバリ/Reveillark》《霊体の先達/Karmic Guide》《狂気の祭壇/Altar of Dementia》
……等々、EDHで可能なコンボは枚挙にいとまがない。
逆にいえば、コンボに頼らずきちんと殴り切れるデッキを構築することを目標に据えてみるのも面白いかもしれない。
また4人で遊ぶからこその政治的な駆け引きが、ゲームを複雑で面白いものに変える。
たとえば誰よりも早くマナを伸ばし、いち早く《真実の解体者、コジレック/Kozilek, Butcher of Truth》を召喚したプレイヤーがいたとしよう。残りの3人は共闘して、そのプレイヤーを止めなければいけない。が、手札にある《流刑への道/Path to Exile》はできれば温存しておきたい。ここで「誰が猫の首にスズをつけるか?」という心理戦が始まるのだ。いかに自分は何もせずに他のプレイヤーに脅威を処理させるかがカギになる……って書くと、すっげー性格悪い人たちの遊びみたいだなって思ったけれど、そういえばMagic: the Gatheringってそもそも相手のやりたいことをやらせないことが大切なゲームだしもともと性格悪い人向けだった。←
さらに、スタンダードやモダンとは違い、EDHにはローテーションと呼べるものがない。一度デッキを組んでしまえば、それを微調整しながら半永久的に遊べる。なかなか遊ぶ時間を作れない社会人にとって、これはEDHのいちばん魅力的な要素だ。




◆青黒感染デッキ《夜まといのヴェラ/Vela the Night-Clad》
さて、ここで私が最近使っているEDH用のデッキを紹介したい。なお、仲間内での勝率はそこそこ。マジック初心者の友人にも貸し出しているぐらい簡単に回せるデッキだ。



【デッキレシピ】


ジェネラル
《夜まといのヴェラ/Vela the Night-Clad》


クリーチャー 21枚
《解剖妖魔/Flensermite》
《疫病のとげ刺し/Plague Stinger》
《ファイレクシアの十字軍/Phyrexian Crusader》
《胆液の鼠/Ichor Rats》
《囁く死霊/Whispering Specter》
《敗血のネズミ/Septic Rats》
《法務官の手/Hand of the Praetors》
《肉食いインプ/Flesh-Eater Imp》
《ファイレクシアの槽母/Phyrexian Vatmother》
《シェオルドレッドの刈り取るもの/Reaper of Sheoldred》
《荒廃のドラゴン、スキジリクス/Skithiryx, the Blight Dragon》
《屍百足/Necropede》
《疫病のマイア/Plague Myr》
《胆液爪のマイア/Ichorclaw Myr》
《ファイレクシアの消化者/Phyrexian Digester》
《核をうろつくもの/Core Prowler》
《死体の野犬/Corpse Cur》
《荒廃の工作員/Blighted Agent》
《病毒のドレイク/Viral Drake》
《つながれた喉首追い/Chained Throatseeker》
《幻影の像/Phantasmal Image》


スペル 43枚
《容赦無い潮流/Inexorable Tide》
《伝染病エンジン/Contagion Engine》
※増殖カード 2枚


《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》
《活線の鞭/Livewire Lash》
《卓越の印章/Sigil of Distinction》
※装備品 3枚


《死せざる邪悪/Undying Evil》
《精神的つまづき/Mental Misstep》
《Arcane Denial》
《堕落した決意/Corrupted Resolve》
《アーテイのおせっかい/Ertai's Meddling》
《雲散霧消/Dissipate》
《邪魔/Hinder》
《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》
《誤った指図/Misdirection》
※カウンター呪文 9枚


《隔離/Sunder》
《冬の宝珠/Winter Orb》
《水位の上昇/Rising Waters》
《蜃気楼/Shimmer》
※マナ拘束カード 4枚


《思案/Ponder》
《渦まく知識/Brainstorm》
《衝動/Impulse》
《テゼレットの計略/Tezzeret's Gambit》
《意外な授かり物/Windfall》
《嘘か真か/Fact or Fiction》
※ドロースペル 6枚


《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》
《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》
《リスティックの研究/Rhystic Study》
《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》
※ドローサポート・パーマネント 4枚


《堕落した良心/Corrupted Conscience》
《複製の儀式/Rite of Replication》
《乱動への突入/Into the Roil》
《殺し/Snuff Out》
《滅び/Damnation》
《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
※ボードコントロール・カード 7枚


《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》
《太陽の指輪/Sol Ring》
《ディミーアの印鑑/Dimir Signet》
《炭色のダイアモンド/Charcoal Diamond》
《空色のダイアモンド/Sky Diamond》
《精神石/Mind Stone》
《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》
《摩滅したパワーストーン/Worn Powerstone》
※マナ・アーティファクト 8枚


35
土地 35枚
《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》
《古えの墳墓/Ancient Tomb》
《Lake of the Dead》
《汚染された三角州/Polluted Delta》
《湿地の干潟/Marsh Flats》
《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
《霧深い雨林/Misty Rainforest》
《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
《湿った墓/Watery Grave》
《闇滑りの岸/Darkslick Shores》
《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
《沈んだ廃墟/Sunken Ruins》
《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》
《島/Island》×10枚
《沼/Swamp》×12枚



合計 99枚+1枚




“軽くて強い”しかし“打たれ弱い”という感染クリーチャーの性質から、いわゆるクロック・パーミッションを目指して組んでみたのがこちらのデッキ。「クロック・パーミッション」が分からない人はググってね。
デッキの構成はかなりシンプル。100枚のカードはたったの6タイプに分類できる。
1.感染クリーチャー
2.カウンター呪文
3.マナ拘束カード
4.息切れ防止カード
5.マナ加速カード
6.その他




1.感染クリーチャー
EDHにおいて、感染クリーチャーはとても強力だ。普通のクリーチャーなら40点×3人の120点のダメージを与えなければ勝てないが、感染クリーチャーなら10点×3人以下で済む。序盤のうちに毒カウンターをばら撒いて、あとは 増殖(Proliferate)を続けるだけでいいからだ。
このデッキでは黒の感染クリーチャーを中心に組んだ。《法務官の手/Hand of the Praetors》《胆液の鼠/Ichor Rats》などの遠隔的に独カウンターを飛ばせるカードや、《荒廃のドラゴン、スキジリクス/Skithiryx, the Blight Dragon》《ファイレクシアの十字軍/Phyrexian Crusader》などの戦闘能力の高い感染クリーチャーを使用できるからだ。
一方、緑の感染クリーチャーを中心に据えて青緑で組むこともできる。その場合は上記のカードが使えない代わりに、《樫の力/Might of Oaks》《激励/Invigorate》などのパンプアップ、《感染の三角護符/Trigon of Infestation》《ファイレクシアの群れの王/Phyrexian Swarmlord》によるトークン戦略などが使える。こちらも機会があれば組んでみたい。



2.カウンター呪文
カウンター呪文は、できるだけマナコストの軽いものを選んだ。クリーチャーを展開して殴るという性質上、土地をタップアウトすることが多いからだ。
《誤った指図/Misdirection》はもちろん強力。また使ってみたら想像以上に強かったのが《精神的つまづき/Mental Misstep》で、相手の《剣を鍬に/Swords to Plowshares》を弾くのが主な使い方だ。なお《死せざる邪悪/Undying Evil》は、《神の怒り/Wrath of God》《抹消/Obliterate》に対する変則的なカウンター呪文という位置づけだ。
EDHでは墓地に落ちたカードを簡単に回収されてしまうので、《対抗呪文/Counterspell》よりも《雲散霧消/Dissipate》や《邪魔/Hinder》を優先している。
できれば《Force of Will》《否定の契約/Pact of Negation》を投入したいが、まだ入手できていない。



3.マナ拘束カード
このデッキは、序盤が長引けば長引くほど強い。また他のEDHのデッキよりも低マナ圏で機能できるという強みがある。したがって戦略上、マナ拘束カードがうまく噛み合うのだ。
《隔離/Sunder》はいわば、青い《ハルマゲドン/Armageddon》だ。“数ターンで勝負を決められる強力なクリーチャーを展開したうえで土地をふっ飛ばす”という、昔ながらの「アーナゲドン」のような動きができる。ピッチのカウンターを握った状況で打てば盤石。
《冬の宝珠/Winter Orb》はその昔、緑単色ストンピィにも投入されていたカードだ。低コストで動けるデッキとは構造的に相性がいいはずだと考えて投入した。悶絶する対戦相手の顔を眺めながら、自分だけやりたいことができる。《水位の上昇/Rising Water》は追加の宝珠として投入した。これを低コストのカウンターと組みあわせた「アグロ・ウォーター」というデッキが昔あった。
《蜃気楼/Shimmer》はちょっと変わったマナ拘束カードで、使いどころが難しい。しかしEDHにはジェネラルに《マナの座、オムナス/Omnath, Locus of Mana》《アーカム・ダグソン/Arcum Dagsson》を使った、非常に強力な単色デッキが存在している。そういうデッキに対してべらぼうに強いのがこのカード。
マナ拘束カードは、有利な状況のときに勝ちを確定させるカードだ。逆にいえば、不利な状況下では無駄なカードになってしまうし、有利なときは使わなくても勝ててしまう場合が少なくない。したがって大量投入する意味があまりないと判断し、枚数を絞った。



4.息切れ防止カード
6枚のドロースペルと4枚のドローサポート・パーマネントがこれに当たる。
パーマネントの4枚はどれも強力で、とくに《リスティックの研究/Rhystic Study》はEDHでこそ真価を発揮するカードだ。どんなデッキに入れても強いが、序盤を長引かせたいこのデッキの戦略とも噛み合っている。
スペルはまだ調整の余地があると感じている。このデッキは、EDHのデッキにしては土地の枚数が少なめだ。全体の35%ほどで、60枚デッキでいえば21枚ぐらいしか土地が入っていない。ゼロックス理論的に言って、軽量のドロースペルをもう少し足してもいいかもしれない。
抜くとしたら《意外な授かり物/Windfall》か。もちろん強すぎるほど強いカードなのだが、このデッキでは使いどころが限られてしまう。手札を使い切ったときに使わなければ弱いこのカードよりも、《定業/Preordain》《先触れ/Portent》で序盤から手札を整えていったほうが強いかもしれない。



5.マナ加速カード
8枚のマナ・アーティファクトがこれに当たる。もちろん《Mox》を増やしたほうがいいのは分かっている。が、資金的な理由から却下だ。同じ理由から《Underground Sea》も今のところ投入の予定はない。
ただ、納得のいく動きをしてくれるのが《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》、《太陽の指輪/Sol Ring》、《ディミーアの印鑑/Dimir Signet》の3枚だけで、残りの5枚にはイマイチな印象があるのも事実だ。
《威圧のタリスマン/Talisman of Dominance》ぐらいは入れてもいいかも。《ダークスティールの鋳塊/Darksteel Ingot》が強いのは知っているけれど、3マナまで到達しているならクリーチャーを展開したいことと、《抹消》や《ジョークルホープス》を打たれる前に勝ちきるのがこのデッキの目的なので採用を見送っている。



6.その他
ボードコントロールを担当している7枚と、ジェネラルのヴェラさんがこの枠に入る。いちばん調整が足りていない部分。
《堕落した良心/Corrupted Conscience》は意味不明なぐらい強いカード。《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》をこれでパクって殴り切ったことがある。
ジェネラルのヴェラさんは6マナのソーサリーみたいな使い方をする。場に出るだけで感染生物が威嚇を持ち、ブロックされなくなるからだ。相手のブロッカーをどけることをそもそも考えていないので、クリーチャーの単体除去はかなり少なめ。さすがに少なすぎるかな、と感じている。《複製の儀式/Rite of Replication》は追加の感染クリーチャーのつもりで入れたが、毒殺のプランがどうしても上手くいかないときはヴェラさんとのコンボでもう一つの勝ち手段にもなる。
ラヴニカの《サイクロンの裂け目/Cyclonic Rift》はこのデッキのために刷られたようなカードなので、手に入り次第すぐに投入する予定。



7.土地
最後に土地について。このデッキにとっていちばん怖いのは、こちらの脅威をきれいに対処されて息切れしてしまうこと。そのため、できるだけデッキを圧縮したい。フェッチランドは多めに入れてあり、まだ増やしてもいいとさえ感じている。
また《古えの墳墓/Ancient Tomb》《Lake of the Dead》は序盤の立ち上がりを高速化するために投入してある。とくに《Lake〜》は《冬の宝珠》との相性がバツグン。このシナジーを活かした「ブラックアイス」というデッキがかつてスタンダードに存在したほどだ。




     ◆ ◆ ◆



半分ぐらい自分用のまとめとして書いた今回の記事だが、読んだ人のなかで1人でもEDHに興味を持ってくださる人がいれば幸いだ。
今回紹介したデッキは、先にコンセプトありきでジェネラルを選んだ。が、EDHのデッキはふつうジェネラルを先に決めてしまうのが一般的だ。このデッキは「感染クリーチャーを使ったクロックパーミッションを組む」というコンセプトありきで、それに適したヴェラさんを選んだ。しかし、ふつうは使いたい伝説クリーチャーを選んだあと、そのクリーチャーを活かすためのカードを集めてくる……という組み方をする。
たとえば私の仲間内では、次のようなデッキがプレイされている:
《数多のラフィーク/Rafiq of the Many》を強化して一発で21点以上のダメージを叩き出すデッキ。
《霧を歩むもの、ウリル/Uril, the Miststalker》にオーラをてんこ盛りにして相手を殴殺するデッキ。
《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemind》《好奇心/Curiosity》のコンボをはじめ、瞬殺コンボを山盛りにした赤青デッキ。
このほか、《艦長シッセイ/Captain Sisay》《略奪の母、汁婆/Wort, the Raidmother》《結界師ズアー/Zur the Enchanter》などを使ったデッキをよく見かける。



なんといっても、EDHはカジュアルなフォーマットだ。勝つために神経をすり減らすよりも、使いたいカードを楽しく使うほうが大切だと私は思う。長らくMagicを引退していたプレイヤーにこそおすすめできるのがEDHだ。伝説のクリーチャーはマナコストが重く、使い勝手の悪いものが多かった。かつて日の目を見なかった彼らをいかにして活かすか、知恵を絞りたい。
押し入れに眠っているカードたちを使って、EDHを初めてみてはいかがだろうか。楽しいよ!