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デマこい!

「デマこいてんじゃねえ!」というブログの移転先です。管理人Rootportのらくがき帳。

オタクのすなるコミケといふものに――

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コミケに参加してきました!


まず、今週のお題に答えましょう。/私がブログを始めた理由は、本職があまりにも非創造的だからです。自分の「頭の中にあるもの」を吐きだせる場所を求めていました。クリエイティブなことをしている人に憧れますし、尊敬の念を覚えます。
あけましておめでとうございます、Rootportです。



   ◆ ◆ ◆



12月29日〜31日の三日間、東京ビッグサイトで行われたコミックマーケット79に参加した。サークルで出展される方のお手伝いだ。すさまじい人の数と熱気に圧倒された。
今回のコミケ参加者は、のべ52万人だという。1日目、2日目がそれぞれ16万人ずつ、3日目には20万人が押し寄せた。京都・祇園祭の動員人数がおよそ100万人だと考えると、その規模感を掴める。オタク・カルチャーを愛する人々が、世界中から集まってくる。
知らない人のために説明すると、コミックマーケットとは同人誌の即売会だ。プロ・アマを問わず、マンガやイラスト、小説などの同人誌が売買される。しかし「売り手とお客様」という人間関係を嫌い、すべての来場者を「参加者」と呼ぶのも特徴だ。人気の同人誌を求めて、大手サークルの前には長蛇の列ができる。会場の入口からトイレにいたるまで、あらゆる場所で“長時間並ぶ”イベントだった。


初参加した私は、コミケ“クリエイターの見本市”だと感じた。
どんな商売も、まずは人と人とのつながりから生まれる。コミックマーケットには著名なマンガ家から高校の文芸部まで、あらゆるクリエイターが集まっている。コミケは創作物を発表する場であると同時に、出会いの場でもある。
実をいえば、コミケに行かなくても同人誌は買える。たとえば、“とらのあな”のような同人誌専門店が全国展開している。現代は電子化の進んだ時代だ。アマゾンやサークルHPからの直接販売など、入手方法はいくらでもある。同人誌を読みたい“だけ”ならば、わざわざコミケに出向く必要はない。
では、なぜコミケに行くのだろうか。
それは作り手の顔を知りたいからだ。創作の「舞台裏」を覗きたいという心理があるからだ。印象的だったのは、そこらじゅうで名刺交換が行われていたことだ。ペンネームを載せた名刺を作り、自分の同人誌と共に渡していた。連絡先を交換しておけば、なにか企画を立ち上げた時のメンバーに困らない。新しい企画が会場内で次々に生まれている。そして、なかには商売として大成功する企画もある。
わざわざコミケに出向くのは、人と人とのつながりを作り、新しい“何か”を生みだすためだ。


これって、いわゆる“見本市”に似ている。
たとえば東京モーターショー東京ゲームショーなどが、その筆頭だ。マニアックなところではFOOD EXPOなんてモノもある。各業界の最前線に立っている人たちが集まれば、新しい商売(=面白いモノ)が自然と生まれるはず――そういう発想のもとに、見本市は開かれる。
モーターショーが自動車の見本市、ゲームショーがゲームの見本市ならば、コミックマーケットはクリエイターの見本市だ。可能性を秘めた人々が集まり、なにかエキサイティングなことをしようと画策している。新しい何か、世の中をアッと言わせるような何かが、この場所から生まれ続けるだろう。


   ◆ ◆ ◆


コミックマーケットの参加者のうち、クリエイターではない人たちに目を向けてみよう。そういう参加者は“アルファ・コンシューマー”と呼ばれる層に分類できるはずだ。ただの消費者ではなく、商品を愛し、共に育てていこうとする消費者だ。アルファ・コンシューマーの背後には、その何倍もの数の「無言の消費者」がいるとされている。一匹見つけたら三十匹いるという黒いアレみたいだ、という比喩を思いついたけれど失礼すぎるからやめておく。
消費者は均一ではない。商品を愛してやまない人(=お金を惜しまない人)をてっぺんに、ピラミッド状の分布を見せる。この視点に立ったとき、外国人の参加者がいたことは特筆すべきだろう。北米系、欧州系、アジア系。様々な外国人の姿を、会場内で見かけた。
コミケに来るほどオタク・カルチャーを愛している外国人の背後には、その何倍もの数の、オタク・カルチャーを“まあ好き”な外国人が存在している。実際、留学生と飲みに行った時は『ワンピース』か『エヴァ』、『ドラゴンボール』の話をしておけば、とりあえず話題に困らない。
オタク・カルチャーは今後、こういう国外のファンにも目を向けていくべきだろう。すでにその流れは始まっており、アニメ『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』はその端的な例だ。カトゥーンっぽい作画だけでなく、“日本人にしか通じないネタ”が慎重に取り除かれている。各話がハリウッド映画のパロディになっていたのはそのためだ。そして下ネタは世界中で通用する。
オタク・カルチャーのメインターゲットは日本国内の若年層だ。今後、日本では縮小していく層でもある。文化を廃れさせないためには、ターゲットを広げる必要がある。任天堂がDSとWiiによって実現したように、より幅広い年齢層へと訴えるか、あるいはかつてキッコーマンが醤油で実現したように、より広い地域へと乗り出すしかない。
Youtubeに違法アップロードされる英字字幕付きのアニメや、P2Pによるマンガの流出など、問題は山積みだ。だが国内的に閉じこもるのでは、文化そのものが死滅する。文化の最前線に立つという自覚があるのなら、外に向けて発信し続けるべきだろう。


Panty & Stocking with Garterbelt The Original Soundtrack

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【告知】コミティア95に参加します!
JAS-SKY-MOKKOR
http://mokkor.client.jp/
複数の作家、イラストレーターの手で一冊の同人誌を作ろうという企画です。わたくしRootportも参加させていただきました。第一回このラノ大賞・大賞受賞の大泉貴先生、同・優秀賞受賞の木野裕喜先生をはじめ、ライター・イラストレーターともに豪華すぎるメンバーです。拙作はどうでもいいですが、どの作品も一読(一見)の価値アリです!
ぜひともよろしくお願いします!






※今回、コミケで扱われる文化を一まとめに“オタク・カルチャー”と呼んでしまいました。かなり乱暴な議論だと認識しています。ご気分を害される方がいらっしゃるかも知れません。お詫びいたします。申し訳ありませんでした。





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