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デマこい!

「デマこいてんじゃねえ!」というブログの移転先です。管理人Rootportのらくがき帳。

イギリスのEU離脱とグレート・リセット願望

// 1944年7月、アメリカ・ニューハンプシャー州ブレトン・ウッズに連合国の代表が集まり、第二次大戦後の世界について議論した。米ドルが国際的な基軸通貨に選ばれたのはこの時だ。当時、偉大なる経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、米ドルではなく、…

ニッチを束ねて市場を作れ/Amazonに勝つ方法

今さらながらクリス・アンダーソン『ロングテール』を読んだ。正直なところ、あまり目新しさは感じなかった。内容が陳腐だからではない、本書の予言がほぼ的中したからだ。小売業界にとってAmazonの登場がいかに革新的だったか。そして、業界をどのように変…

本日発売!『女騎士、経理になる。』ができるまで

// イラストレーターたちの間では、作業工程を公開しあう文化があるらしい。 アマチュア同士はもちろん、プロの「神絵師」がノウハウを伝授してくれる場合もある。こういう協力・共創の関係が、日本の豊かな二次元イラスト文化の源泉かもしれない。 mazikano…

デキる人はみんな使ってる思考の枠組み/ティンバーゲンの4つの「なぜ?」

// 議論をしていて、「あれ?」と感じることはないだろうか。 たとえば「A説があるから、B説は間違いだ」と主張する人がいる。ところが、A説のどのような点がB説よりも優れているのか説明しようとしないし、そもそもA説とB説が同時に成立する可能性も…

ごはんに「ありがとう」と言うと腐らない、だって?

// なぜか科学と道徳は混同されがちだ。 先日、Facebookで「ごはんにありがとうと言う実験」がシェアされてきた。密閉容器2つにごはんを入れて、片方には毎日「ありがとう」と声をかけたそうだ。声をかけなかったごはんはドロドロに腐敗したが、声をかけたご…

ハリウッドのアクション映画と脚本革命

私は映画の感想を書き溜める習慣がある。 その中から、今回は5本の映画の感想をブログに転載したい。 『北北西に進路を取れ』 『リーサル・ウェポン』 『ビバリーヒルズ・コップ』 『クリムゾンタイド』 『ボーン・スプレマシー』 以上の5本だ。 北北西に進…

トークイベントやります。『女騎士、経理になる。』新刊同時発売!

コミックス『女騎士、経理になる。』第2巻、 ノベルス『女騎士、経理になる。』第1巻、 2016年6月24日(金)、同時発売です! 発売にともない、一部書店さまでは購入特典がもらえるフェアを実施! さらにトークイベント&サイン会も開催します! ※なお、最新情…

『アナと雪の女王』と『ベイマックス』と神話

先日、『アナ雪』を観た。 びっくりするほど面白かった。 白状すれば、あまり期待していなかったのだ。というのも、飲み友達の野郎どもがディスりまくっていたからだ。本当、いい意味で裏切られた。まあ、あの男どもが『アナ雪』をディスりつつ『ベイマック…

「心の理論」と物語の創作術

// 面白いお話を作るには、「心の理論」に精通している必要があるのではないかと最近よく考える。生得的なものであれ、後天的なものであれ、他人の外観から内面を推測する能力に優れていないと、お話作りは難しい。そういう能力をただ持っているだけでなく、…

なぜ賃金は上がらない?/人手不足倒産の原因

// 世の中には、人手不足と低賃金が両立してしまう分野がある。介護や警備、海運などだ。 なぜ労働の供給が足りないのに価格(=賃金)が上がらないかといえば、労働市場は「自由な市場」ではなく、需要と供給による価格調整のメカニズムが働かないからだ。…

ヒトに「本能」はあるのか?

ヒトに「本能」はあるのだろうか? たとえば「浮気は男の本能だ、だから浮気は許される」と主張する人がいる。たしかに、男性のほうが女性よりも浮気性な傾向があることは実験により確かめられている[1]。 だが、この主張は2つの点で間違っている。 まず第一…

男が産休・育休を取れない本当の原因

新入社員研修のときの話だ。 「わが社には、産休・育休制度があります。社内規定としては、男性も取得可能ということになっています」 40代の人事担当者は、淡々とした口調で言った。 「でも、みなさん。取らないでくださいね?」 当時、まだTwitterが普及し…

日本が植民地にならなかったわけ/日本の「すごさ」の源泉

// この画像はネット上に出回っているもので、第二次大戦前の世界地図だとされている。日本とタイ以外の地域はすべて欧米の植民地であり、日本が植民地化されるのも時間の問題だった。だから、日本は反撃に出るしかなかった──。この画像には、しばしばそんな…

映画『エリン・ブロコビッチ』が面白かったので感想書く

// 『エリン・ブロコヴィッチ』を観た。 もしもあなたがこの映画について何も知らないなら、おめでとう! 今すぐブラウザを閉じてTSUTAYAへダッシュだ! あらすじも調べなくていいからとにかく黙って観ろ級の傑作。130分の上映時間があっという間だった。 エ…

中国が世界制覇できなかった理由を「Civilization」から考える

// ニコニコ動画に投稿されている「17,000ヘクスの地球の歴史」というシリーズがとても面白い。 『Civilization』シリーズは、天才的ゲームデザイナーのシド・マイヤーが生み出した戦略シミュレーションゲームだ。プレイヤーは様々な文明の指導者となって、…

ネットで見かけるよくある誤解

// 進化心理学は既存の文系学問の枠組みをぶっ壊すものだったので、様々な方面から批判を受けた。当然である。「イデオロギーが……ウフフ」とか「○○主義が……オホホ」とか語り合っているインテリ集団に、「生殖だーッ!」と叫びながら半裸で飛び込んできた蛮族…

なぜ宗教で殺し合うのか/映画『アレクサンドリア』感想

2009年のスペイン映画『アレクサンドリア』を観た。ローマ帝国の衰退期に活躍した女性天文学者ヒュパティアの物語。地動説を研究していた彼女は、最終的にキリスト教徒によって処刑されてしまう。古代ギリシャに端を発する優れた知識・哲学の数々が、キリス…

男にとってのセックスと女の結婚が等価値である理由

イケメンたちのあごが尖っている。 いわゆる『乙女ゲー』と呼ばれる女性向けゲームでは、男性キャラクターの輪郭が──とくに「あご」が尖って描かれがちだ。これはなぜだろう? もちろん二次元イラストには流行廃りはある。『ベルサイユのばら』の登場人物た…

ダイエットの参考にしたい(?)理想体型の男女差

先日、ニコニコ動画で『ドリームクラブ』というゲームの実況動画を見た。 このゲームの存在自体は以前から知っていたが、あらためて驚かされた。 何に? ムッチリしたキャラクターデザインに、である。 手足はわりと短めで、胴体は太めに描かれている。少女…

世界を変えるのに必要なもの

// 歴史をふり返るとき、私たちはイデオロギーや思想、主義・主張が世界を変えたと考えがちだ。ところが、心理学の研究が進むにつれて、私たちの考え方や行動には生まれながらの一定のパターンがあると分かってきた。 こうなると、疑問が湧いてくる。 思想や…

なぜいい歳したオヤジが女子高生を愛好するのか/男が若い女を好きな理由

// なぜ男は若い女を好むのだろう? それは、男がクソだから──。 と、言ってしまってはおしまいなので、もう少し深く考えてみたい。 俗説では「男が若い女を好むのは、若さが生殖能力の高さを示すからだ」とよく言われる。進化心理学者デビッド・M・バスも、…

見なきゃ損!クルマ映画の金字塔『ワイルドスピード』

先日、ひさしぶりに『ワイルドスピード』の第1作を見た。正直、目を疑うほど驚いた。ハリウッドのお約束からすれば、わりと滅茶苦茶な脚本だ。なのに、しっかり面白い。初めて見た高校生のころは分からなかったけれど、この映画の脚本は研究する価値がありそ…

「バブみ」とボヘミアン・ラプソディ

// わりと新しいオタク用語に「バブみ」という言葉がある。 二次元美少女に対して「母親になってほしい」と感じる感情のこと、らしい。 Twitterを開くと、いい歳した男性たちが、自分よりもはるかに年下(という設定)のキャラクターに向かって「ママー!マ…

稼げる人と稼げない人の違い/人材不足と低賃金が両立する理由

// 世の中には、人材不足と低賃金が両立してしまう業界がある。 たとえば介護や警備の仕事が代表的なものだろう。最近では、船員の人材不足により日本の海運業がヤバいという増田記事が注目を集めていた。船員の給与はそれほど低くはないが、労働環境のキツ…

パナマ文書と、なぜ赤字国債が膨らんだのかという話

そう、今さらである。 今さらながら、パナマ文書について語りたいと思う。 フランスの経済学者トマ・ピケティによれば、最も裕福な上位1パーセントの人々が、世界の富の半分を所有しているという。最も裕福な上位0.1%の人々だけでも、世界の富の20%を所有…

女の「上昇婚志向」と、モテない男について

// 「日本の男女平等が進まないのも婚姻率が低下するのも、女性の上昇婚志向が悪い」という意見をたまに目にする。 上昇婚とは、夫の所得や社会的地位が、妻のそれよりも高いカップルが結婚することを言う。現在の日本では、女性の社会進出が進んだと言われ…

男がペニスの大きさを気にする理由を進化論で考える

// なぜ男はペニスは大きさを気にするのだろう? 一見するとバカバカしい疑問だが、じつはかなり奥が深い。ヒトは霊長類のなかで、もっとも巨大なペニスを持つ動物なのだ[1]。 勃起したペニスはゴリラでは3cm強、オランウータンでは4cm弱。ヒトに最も近いチ…

Amazon以外にもこんなにある!書籍通販サイトまとめ

// 『女騎士、経理になる。』第1巻発売中です。一部書店さまでは店舗購入特典もあります。(定期) #女騎士経理 pic.twitter.com/V0FLlySqI8 — Rootport (@rootport) 2016年3月12日 私が原作を書いた『女騎士、経理になる。』第1巻ですが、一部の店舗では品薄…

『女騎士、経理になる。』第1巻発売!店舗特典もあるよ!

2月24日(水)『女騎士、経理になる。』コミックス第1巻が発売されます! デンシバーズで連載した原稿に加えて、以下の内容を収録! ・書き下ろし「女騎士でも屈しない会計講座 (全5回)」 ・巻末おまけマンガ「オークさん (全4ページ)」 かなり豪華な内容に…

確定申告は怖くない/freeeを取材してきた

先日、友人と飲んだときの話だ。彼は昨年、副業を始めたばかりだった。 「今年が初めての確定申告だよね。もう1月末だけど、準備してる?」 「してない」 「は?」 「だって確定申告って2月半ばからでしょ。受付が始まったら、適当な会計ソフトを買って、ち…

あの人がいつも間違ったことを言う理由。/ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』感想

まずは簡単な算数の問題を1つ。 チョコレートとガムは合わせて110円です。 チョコレートはガムよりも100円高いです。 ガムの値段はいくらでしょう? どうだろう、すぐに正解が分かっただろうか? 行動経済学者ダニエル・カーネマンは、これとよく似た問題を…

低所得化や教育費の高騰は少子化をもたらすか?/書籍『失敗すれば即終了』の補足(2)

「教育費の高騰は、少子化の原因ではない」 「若者の低所得化は、少子化の原因ではない」 私が黙らせたいのは、こういうアホなことを言う人々だ。 以前の記事で説明したとおり、少子化のメカニズムは上記の図1枚に要約できる。ヒトは親からの教育的投資が無…

少子化の原因が分かったので対策書く/書籍『失敗すれば即終了』の補足

1.2人──。 これは2050年における老人と現役世代の比率だ。現在は老人1人に対して現役世代2.4人だが、30年少々でこれが半減してしまう[*1]。ホモ・サピエンスには20万年以上の歴史があるが、これほど苛烈な高齢化社会が出現したことはない。まるで〝サイエン…

政治ができるのはヒマなやつだけ/ブラック企業がのさばる理由

日本は国際的に見て失業率が低く[*1]、また平均的な労働時間は減少傾向にある[*2]。つまり日本の労働問題のキモは、他国のような失業率の高さではなく、ごく一部に劣悪な労働環境が存在することだ。一部の職場では「過労死」と「賃金の低下」という、一見す…

女騎士、経理になる。/第6話「エクイティ」(8)

──────────▼最初から読む▼前回▼次回:第7話────────── ▼銀行家の邸宅、馬具置き場──。 パタパタ…バタンッ 幼メイド「勇者さまぁ~!たいへんですぅ~!」 勇者「そんなに慌てて…何があったの?」 幼メイド「衛兵さんたちが、いーっぱい来たのです!たぶん、勇者…

女騎士、経理になる。/第6話「エクイティ」(7)

──────────▼最初から読む▼前回▼次回────────── 黒エルフ「…こっそり、見る…?」ブツブツ 司祭補「あらぁ、わたしには見せてくれませんの?」 女騎士「わ、悪く思わないで欲しいのだ…」 司祭補「わたしに読まれたら困るようなことが書いてあるのかしらぁ~?」 …

女騎士、経理になる。/第6話「エクイティ」(6)

──────────▼最初から読む▼前回▼次回────────── 女騎士「…それは、儲けが出ないからか?」 黒エルフ「いいえ。そもそも、そんな額の現金が手元に無いからよ。あたしたち銀行のカネの大半は、取引先に貸し付けているわ」 司祭補「もしも航海に必要なお金を集め…

女騎士、経理になる。/第6話「エクイティ」(5)

──────────▼最初から読む▼前回▼次回────────── ▼西岸港──。 オーイ、オーイ… 海軍元帥「今回の航海も成功のようですね」 秘書「全隻が無事に戻ってきました。どの船も新大陸の商品を満載にしていますよ」 海軍元帥「たとえば、カカオのような?」 秘書「はい。カカ…

女騎士、経理になる。/第6話「エクイティ」(4)

──────────▼最初から読む▼前回▼次回────────── ▼翌日、銀行家の邸宅──。 銀行家「昨夜は『レモネード屋』からの利子回収を手伝ってくださりありがとうございました」 司祭補「いえいえ、できることをしたまでですわ♪」 黒エルフ「…もっとも、利子よりもやっ…

女騎士、経理になる。/第6話「エクイティ」(3)

──────────▼最初から読む▼前回▼次回────────── ▼半刻後──。 司祭補「…お話は分かりました。要するに、この町の不景気がいちばんの問題なのですわね」 女騎士「そうだ!景気さえ良くなれば何の問題も起きなかったのだ!」 黒エルフ「簡単に言ってくれるわね。…

女騎士、経理になる。/第6話「エクイティ」(2)

──────────▼最初から読む▼前回▼次回────────── 司祭補「この町を離れることになったのも、精霊のお導きかもしれません。引っ越した先でのご成功をお祈りいたしますわ」 毛皮商「ありがとうございます!では、家族が待っていますので…」 司祭補「ええ、お気を…

女騎士、経理になる。/第6話「エクイティ」(1)

魔国で囚われの身になった女騎士。オークから経理の知識を教わった彼女は、人間国の小さな銀行で働き始めるのだった──。 ────────── ▼最初から読む▼前回:第5話▼次回 ▽プロローグ▽第1話「フライド・コカトリス」▽第2話「ガバメント・オブリゲーション」▽…

「日本人は働き過ぎ」って本当? 調べてみた。

// 豊かさとは何か? 科学ジャーナリストのマット・リドレーは、豊かさとはより単純な生産活動で、より多様な消費活動ができるようになることだと定義した[*1]。「よりわずかな生産活動」と言い換えてもいいだろう。旧石器時代の人々は、森を一日中歩き回ら…

それでも、夢を追うしかない。/2016年の挨拶とブログ書籍化のお知らせ

一昔前は、夢を追うか、安定した職業に就くかの二者択一が成り立った。らしい。 「らしい」と言うのは、1985年生まれの私にそんな選択肢は無かったからだ。バブル崩壊とともに終身雇用は幻想になり、いい大学を出ていい企業に入っても将来が安泰ではなくなっ…

2015年に観たアニメ個人的まとめ

ヒトの脳は時間を正しく認識できない。 印象深いできごとはつい最近起きたように感じるし、新しい情報にたくさん触れると時間の流れを遅く感じる。初めて歩く道は実際よりも遠く感じ、子供のころは1日が長い。時間の認識がこれほどいいかげんなのだから、気…

ごちうさにシャロは必要か?/ストーリーテリングとキャラクターシステム

// ハリウッドの脚本家たちが発展させた「三幕構成」は、実用に耐えうるほぼ唯一の物語創作論だ。しかし、シド・フィールドの教科書を読了して最初に感じることは「So what?(だから何?)」だろう。三幕構成はエピソードやシーンの並べ方を決めるためのもので…

女騎士、経理になる。/第5話「プライス・オブ・ライフ」(8)

────────── ▼最初から読む▼前回▼次回:第6話 ▽プロローグ▽第1話「フライド・コカトリス」▽第2話「ガバメント・オブリゲーション」▽第3話「リテラシー」▽第4話「ウェル・シェイプト・カップ」▽第5話「プライス・オブ・ライフ」───────── ▼同時刻、港町─…

女騎士、経理になる。/第5話「プライス・オブ・ライフ」(7)

────────── ▼最初から読む▼前回▼次回 ▽プロローグ▽第1話「フライド・コカトリス」▽第2話「ガバメント・オブリゲーション」▽第3話「リテラシー」▽第4話「ウェル・シェイプト・カップ」▽第5話「プライス・オブ・ライフ」───────── ▼翌日、波止場の食堂──…

女騎士、経理になる。/第5話「プライス・オブ・ライフ」(6)

────────── ▼最初から読む▼前回▼次回 ▽プロローグ▽第1話「フライド・コカトリス」▽第2話「ガバメント・オブリゲーション」▽第3話「リテラシー」▽第4話「ウェル・シェイプト・カップ」▽第5話「プライス・オブ・ライフ」───────── ▼帝都銀行の支店、応接…

女騎士、経理になる。/第5話「プライス・オブ・ライフ」(5)

────────── ▼最初から読む▼前回▼次回 ▽プロローグ▽第1話「フライド・コカトリス」▽第2話「ガバメント・オブリゲーション」▽第3話「リテラシー」▽第4話「ウェル・シェイプト・カップ」▽第5話「プライス・オブ・ライフ」───────── ▼港町、大桟橋──。 水夫…